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教育エビデンス:ラーニングスタイル別指導の効果

「この生徒はビジュアルラーナーだから文字よりも映像で勉強した方がよい」など教授法は個々のラーニングスタイルに合わせるべきという意見がありますが、ラーニングスタイルに合わせて授業を行うことは成績向上にどのような効果があるのでしょうか。イギリスの研究機関が2021年時点での国内の先行研究を調べた結果を紹介します。

キーテーマ

ラーニングスタイル・ 教授法

結論

ラーニングスタイルとは、
生徒にはそれぞれ効率的な学びのスタイルがあり、自分のスタイルにあった勉強方法の場合に、学習はより効率的になるというアイディア。
例:ビジュアルラーナーは、本よりも映像で学ぶ方が良い。
例:オーディオラーナーは、本よりもディスカッションや物語形式で学ぶ方が良い。
ラーニングスタイル別の教授法導入の効果について、十分客観的な実験や調査が不足しているため、効果について結論づけることはできない。ただし、限られた調査の結果は効果が低い、もしくは逆効果であった。
生徒が単一のラーニングスタイルのみを持っていることはほとんどないため、本人の報告に合わせすぎると、成績に負の効果が現れる可能性がある。
特に小学校の生徒は、学び方の好みがまだ非常に柔軟であるため、特に注意が必要である。
生徒に特定のラーニングスタイルを持っているというレッテルを貼ることは、努力すれば成功するという信念を弱め、失敗の言い訳を与える可能性がある。
生徒を学習活動に参加させるためには、動機づけや自己規制などの他の側面に注目することがより有望であると思われる。
教師は、生徒が自分の学習の成功に責任を持ち、自分なりの成功の戦略や方法を開発できるよう支援することを目指すべきである。

実験デザイン

イギリスのEEFがラーニングスタイル別の教授法の効果に関する先行研究の平均的な影響を要約した。
結果、十分に客観的な実験や調査は2021年時点では存在せず、限られた調査においては成績に与える効果は低い、またはマイナスであった。

留意点

十分に客観的な実験や調査が存在しないため、「効果がある」と結論づけることはできませんが「効果がない」と結論づけることもできないことに留意が必要です。
エビデンスレベル:複数の研究の平均


編集後記

ラーニングスタイルというラベルが、言い訳に使われる可能性があるというのはドキッとしました。確かに「私はビジュアルラーナーだから本よりYouTubeが良い」という発言は裏返せば「私はビジュアルラーナーだから本から学べないのは仕方がない」という言い訳につながりそうです。効率が飛躍的に伸びる自分にあった教授法がどこかに存在するはずだというアイディアは魅力的なので、十分なエビデンスがないというのは少し残念ですが、特に子どもと接する時は「あなたは◯◯ラーナーですね」とレッテル貼りをしないように気をつける必要がありそうです。

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過去記事のまとめはこちら


文責:識名 由佳 

Learning Styles . (2021). EEF. Retrieved May 3, 2022, from
​​https://educationendowmentfoundation.org.uk/education-evidence/teaching-learning-toolkit/learning-styles


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