教育エビデンス 性別や性的嗜好を理由としたハラスメントの防止
アメリカは同性婚が認められLGBTQ+の啓蒙活動も盛んに見えますが、宗教上の理由などによりまだまだ根強い差別が存在します。州によっては学校で性的嗜好について教えたり議論することを避けなければいけないという法律も。大人たちの方向性がバラバラな社会で、子どもたちの性別や性的嗜好を理由としたハラスメントの防止に効果のある介入とはどのような事例があるのでしょうか。
【キーテーマ】
感情・ソーシャルエモーショナルラーニング・ハラスメント
【結論】
アメリカで実施されたプログラムのうち以下については、性別や性的嗜好を理由としたハラスメントの防止に強いエビデンスが認められている。
Second Step - Social-Emotional Learning
幼児教育〜小学生、中学生
幼児〜小学生向けプログラムでは22〜28週間の全4ユニットのカリキュラム
共感性、感情の扱い方、問題解決のスキルを学ぶ
中学生向けプログラムは1回あたり20分程度の週1回のセッションを26週行う
強い感情の取り扱い、クラスメイトの理解と良好な関係構築、クラスメイトとの深刻な紛争を避けたり解決したりするための知識やスキルやマインドセットを学ぶ
問題行動や良好な人間関係の構築、成績の向上やグロースマインドセットの育成にも効果が認められる
【実験デザイン】
ジョンズホプキンズ大学の研究所が不安感や憂うつ気分の改善を目的とし、効果測定が実施された複数のプログラムを分析し、強いエビデンスがあると認められたものを選定した。
エビデンスレベル:ランダム化比較試験
【編集後記】
このプログラムでは直接的にLGBTQ+に関する知識を教えるのではなく、感情の扱い方や良好な人間関係構築スキルを学ぶことで、結果的にハラスメントが減りました。「◯◯はハラスメントなのでしてはいけません」と伝えるだけでは人間の行動はなかなか変わりません。大人のハラスメント防止研修にも応用できそうですね。
文責:識名 由佳
Emotional Regulations / Evidence For ESSA. Retrieved September 13, 2022, from
https://www.evidenceforessa.org/programs/social-emotional?field_measured_outcomes=%5B55%5D