あなたにもわかるパラグラフとエッセイのフラクタル構造:論理的な文章の書き方
英語の文は基本、主語と動詞を含む節から成り立ちます。文章は、文が集まったものです。This is Japan.は、文章ではなく文です。
文章を書いていて、ちょっと長くなったから、この辺で改行して段落にするか、というのはアウトです。ながーいのを適当に、チョン、チョン、チョン、と切るというのでは良い文章になりません。
良い文章には構成が必要です。文章なので「構成」といいましたが、これは構造と同じことです。全体を構成する要素を関係によって結びつけるという構造が必要です。
典型的な、というのは、原則的にということと同じですが、パラグラフの構造は、以下のようになっています。
1)Topic Sentence
2)Supporting Sentence 1
3)Supporting Sentence 2
4)Supporting Sentence 3
5)Concluding Sentence
Topic Sentenceでそのパラグラフが何についてのことかを示します。最後のConcluding Sentenceは、そのパラグラフが何について何を述べたものかをまとめます。真ん中の、Supporting Sentence三つは、Supportingと呼んでいますが、具体的な中身が書かれている部分です。その部分をまとめて「Body」とも呼びます。Body部分が三つの文から構成されている、とも言えます。
Body部分の各文がパラグラフを構成する要素となりますが、その部分で何をどう言うかによって、要素間の関係、結びつき方が変わります。様々です。ある関係で結びつけられた要素は、言い方を変えると「役割」が付与されることになります。例えば、因果関係(Cause-Effect)で結びつければ、一方が原因でもう一方が結果となります。関係は、並列関係(Listing)、時間関係(Time Order)、比較対象(Comparison/Contrast)などもあります。
実際には、文といっても、複文とか関係節とか入ってきたり、また、一つのアイデアが二つの文で表現されたりしますし、関係も複雑な関係(理由を三つ挙げるとか)もあるので、ややこしく複雑になりますが、原則として、一つの文を一つの要素として、5つの要素から構成される構造としてパラグラフ(という枠組み)を理解しておけば、あとは、現実に合わせて、組み合わせを変えていけばよいわけです。逆に言うと、パラグラフの構造の原則が分かっていれば、どの部分が例外的に理由があって変更されているかもわかります。そういう理解のための枠組み(frame of reference)、型を持つことが重要です。
さて、次は、エッセイですが、英語のエッセイは、日本語の随筆とは違うということをまず認識する必要があります。日本語で言えば、「小論文」くらいに該当するものです。小論文としてのエッセイがどういう構造になっているかというと、パラグラフと「同じ」です。「同じ」というのは相似であるということです。単に大きさだけでなく、構造が相似になっています。相似になっている構造のことをフラクタル構造といいます。
典型的なエッセイの構造は、
1)Introduction
2)Body 1
3)Body 2
4)Body 3
5)Conclusion
となっていて、上で見た、パラグラフと同じ構造になっています。パラグラフの場合は、それを構成する要素は「文」でしたが、エッセイの場合は、構成要素は「パラグラフ」です。ですから、5つの要素からなるエッセイというのは、5つのパラグラフからなる文章といえます。そして、それぞれの要素の役割も同じです。Introductionでは、そのエッセイが何についてどんなことを述べていくかが、書かれています。(というか、それを書くことになっています。)Conclusionは全体のまとめです。本文部分がBodyです。
本文部分のパラグラフは、上で述べたパラグラフの構造から、5つの文で構成されていて、真ん中のSupporting Sentence三つにTopic SentenceとConcluding Sentenceがつきます。Supporting Sentence三つの部分は、具体的に書く内容次第でした。それは、エッセイでも同じで、エッセイのBody部分は、そのエッセイで具体的に伝える内容が書かれる部分です。
では、IntroductionやConclusionのパラグラフは、その中身部分Supporting Sentencesには、何を書けばよいでしょうか。ここに、とても重要なコツがあります。Introductionは、そのエッセイが何についてどんなことを述べていくかを書く役割になっています。「どんなことを述べてい行くか」という部分がそのエッセイのBody部分の構成について述べる部分です。そして、それは、Body部分の各パラグラフのTopic Sentenceと重なります。つまり、三つのBodyパラグラフの、それぞれのTopic Sentenceを三つ持ってきて、それをIntroductionのSupporting Sentencesとして並べます。それによって、ここから先、Body部分で何についてどんな順で話が展開されるか、という構成を説明することが出るわけです。
Conclusionのパラグラフも同じです。Body部分のパラグラフの各Concluding Sentenceを持ってきて、Conclusionパラグラフの中身にすればよいのです。これで、エッセイ全体で何について何を言いたいかをまとめることができます。
これがエッセイの構造の仕組みです。ただし、BodyのパラグラフのTopic SentenceやConcluding Sentenceの文をそのままコピーして、IntroductionとConclusionにペーストして並べないでください。言い換えてください。同じ内容でも違う角度から表現しなおしてください。まったく同じ文だと読み手が飽きます。
パラグラフとエッセイの関係について述べましたが、このフラクタル構造は、もっと大きな単位にも当てはまります。「小論文」くらいのものを5つまとめて構成を整えたら、ちょっとした「論文」になりますでしょう。ちょっとした論文くらいのものを構成要素として5つくらいまとめたら、ちょっとした「本」くらいになるでしょう。
文章の構造はフラクタル構造になっている、というのが今日のまとめです。
以上、杉浦正利
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