#14 「生きているのが奇跡」な環境で、なぜ生き延びられたのか
こんにちは、ゆきなです。
イギリスはもうすっかり秋で、最高気温が20℃ない日も増えてきました。みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
この記事のカバーに書いた「なんで生きているの?」という言葉は、精神科の主治医が私に対して実際にした質問です。
当時は今よりも強烈に、自分は生きていてはダメな人間で一刻も早く死ななければいけないと思っていたので、とても傷つき、何も答えられませんでした…。が、今では主治医の純粋な疑問からでた言葉だったと穏やかな気持ちで受け入れることができています。
自分なりにある程度答えが定まったので、当時答えられなかったこの問いに答えてみようと思います。
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主治医が変わるたびに贈られる「生きているのが奇跡」という言葉
これは死にたい気持ちがある患者なら言われることかもしれません。私自身、今でもマニュアル一貫だと思う気持ちもあります。それでも、信頼のおける主治医に「よく生きていたね。生きているのが奇跡だよ。」といわれ、その理由も腑に落ちるものだったので、生きているのが奇跡という前提で話を進めさせていただきます。
すべての責任を取らされるつらさ
私が受けた虐待は、法律的に見れば、身体的・精神的・性的なものと、ネグレクトもあったと思います。しかし、これじゃあ薄っぺらな内容になってしまうので、もう少しリアルな内容で一番つらかったことを書くと「すべての事象の責任がわたしにあり、その責任を常に取らされ続ける」ことでした。
父親・母親・祖父・祖母・いとこ・いとこの両親・教師・近所の大人・近所の子ども・その親・習い事の先生・習い事で会う子ども・その親… わたしの周りにいる人間が不機嫌なのは、私の責任。人生がうまくいかないのも、私の責任。(私が把握できる範囲で)問題行動を起こせば、私の責任。
「お前が悪い。お前のせいだ。消えろ。死ね。」
すべての理由は私の振る舞いや態度や行動のせいで、防げないのは私がバカで能力が足りなくてダメ人間だから。そんなダメ人間はいらない、消えろ。捨ててこい。
これが私の子ども時代の全てでした。海外暮らしで癒えた心で振り返ると、私に本当の意味で責任を求めていたのは両親と教師の一部だけだったんだと思います。
この「この世の悪はすべてお前のせい。お前が悪い。悪を消せないなら死ね。」というルールが本当に何よりもキツくて、そのあとに待っている暴言や暴力が弱く思えるほどキツくてたまりませんでした。
その上で、自分の人生の準備をしなければならない
そんな八方塞がりの毎日の中でも、自分の人生の準備をしなければならず、今思えば心も脳も体もズタボロだったと思います。
地獄の中にも一筋の光が…
それは、生き物たちの存在です。
私の家は団地だったので、犬や猫の動物を飼うことはできませんでしたが、幸いこの地球にはたくさんの生き物たちが、人間と共存しているため、その生命たちに毎日救われていました。
血を吐くような地獄の中でも、アリたちを眺めていたらほんの少し心が安らぎ、自分ももう少し頑張れるかもしれないと勇気が湧いてきました。
育ての親は動物たち
そうこうしているうちに文字が読めるようになり、私は図鑑に没頭するようになりました。動物図鑑、虫図鑑、キノコ図鑑… ありとあらゆる図鑑を読み漁りました(笑)
とくに哺乳類からは学ぶことしかなく、考え方やモノの見方・問題への対処法などありとあらゆることを学びました。その生き物の考え方や感覚を自分のものにするために、動物園でアシカだけを丸一日、6時間以上見続けたこともありました。
もし〝その〟チャンスがなかったら…
私は確実に死んでいました。
もし、家の近くに動物園がなかったら…。もし、図鑑を読める環境になかったら…。もし、自分の脳が文字を認識できない脳だったら…。
もし… そのチャンスがなかったら。
これは、誰のどの人生でも言えることだと思いますが、私の場合は特に、もし1つでも欠けていたら、主治医のいうように廃人になって人としての機能を失うか、自殺していたでしょう。自分でも断言できるほどに、やっぱりこうして生きていられているのは奇跡だと思います。
結局、なにがこうさせたのか
1単語でまとめてしまうと〝運〟に尽きるとは思うのですが、それではあまりにも乱暴なのでもう少し深掘りしてみます。
DNA × 環境 × タイミング
とくに大切なものを3つ挙げるとしたらこの3つでしょう。運動神経や知力、努力できるできないは遺伝だと言われますが、人間がもつすべての遺伝情報は刺激によって発現したり、しなかったりします。
なので、環境による刺激やタイミングによって、同じ人間でも努力できる寄りの人間になったり、できない寄りの人間になったりするわけです。そして、その刺激はほんの一部分なら自分で生み出すことができます。
ネガティブから生まれたポジティブに感謝だけど…
私の場合でいうと、虐待やいじめといったネガティブな事象から受けた恩恵は多くあります。というと、表現に居心地の悪さを感じますが、ネガティブしかない環境で育てば、なんらかの恩恵は受けざるを得ないので、この表現を使いました。
じゃあ、暴言や暴力は問題ないんじゃん。
と安易に結論を出す方や、自分の愚行を肯定する材料にする方がいるかもしれませんが、私はその方々に強くNOを突きつけます。
なぜならば、ネガティブな環境で育った代償が大きすぎるから。
私は16才の夏頃、昏睡状態に陥りました。身体的な病気ではなく、ストレスと絶望の蓄積が原因で、です。昏睡状態に陥る前と後には、日本語が理解できないだけでなく、家の鍵を開けること、電気をつけることなど、考える必要のないこともわからなくなりました。息をすることすら忘れてしまうことも多々ありました。
暗黙のルールがわからない
それだけではありません。生まれた時から、人間とのコミュニケーションを十分にとれない環境にいたため、日本人になることができませんでした。日本に生まれ、日本で育った〝普通〟の人たちが考えることもなく、当たり前に守っている暗黙のルールを私は知りません。
誰に質問してもまともな回答が返ってこないので、いまだに学習することができていません。30年間、自分なりに試行錯誤を続けてきましたが、それでも習得のしゅの字もできていません。
意外と多いんじゃないかな
個々で理由は違えど、この暗黙ルールがわからなかったり、守れなかったりして苦しんでいる人は意外と多いんじゃないかと思います。
私のようにまったくわからない人は少ないとしても、10あるうちの1か2しかわからない(守れない)人、半分しかわからない(守れない)人。程度はちがえど多くいるんじゃないかなと勝手に想像しています。
日本で生きるだけが人生じゃない
そんな生きづらさに苦しんでいる人には、頭の片隅にでいいからこの言葉を置いておいてほしいと思います。
そうはいっても海外はハードルが高いし、怖いし…って思う人がほとんどだと思うので、そういう人たちに向けて海外ツアーをしてみたいなぁなんて漠然と計画を立ててみたりしています。
世界を知ると息ができるようになる
これは自分の実体験なのですが、日本以外の国を知ったことで「海外に住みたい」という夢とともに、ほんの少し息ができるようになりました。
だから、日本で苦しんでいる方に海外を知る機会をプレゼントしたいんです。だって、今苦しくて何もできてなくて死んじゃったほうがいいかもって思っても、あなたにはたくさんの可能性と勇気が眠っていることを私は誰よりも知っているから。
私、心ない大人の犠牲になって潰されてきた、一人ひとりの可能性と能力を誰よりも本気で引き出す自信があります。
地獄の閻魔様からプレゼント🎁
幼い頃から、背負いきれない責任を背負わされ、毎日必死に向き合い、闘ってきたからこそ得られた知見や能力。これは本当にえんま様からのプレゼントだと思っています。
私は生命がキラキラと燃えているのを見ると、とてつもなく感動して涙が出ちゃうんです。その感動がなによりものご褒美で、これまでたくさんの大人たち、子どもたち、動物たちをさまざまな方法でサポートしてきました。
そしてようやく、次のステージが見えてきました。
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