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戦略 | 作戦 | 戦術 | 兵站の定義と関係性
1.はじめに
私が働いている会社では、まもなく年度末を迎えます。
この時期になると、事業の未来について話し合う機会が増え、社内でも「戦略」や「戦術」といった言葉がよく使われるようになります。
しかし、改めて考えてみると、私自身「戦略」や「戦術」という言葉を本当に正しく理解できているのか、自信がありません。
そこで今回は、複数の方の記事を参考にしながら、「戦略 → 作戦 → 戦術 → 兵站」について、それぞれの定義を整理してみたいと思います。
また私の主務であるWebマーケティングを事例として活用し、さらに理解度を高めてみたいと思います。
2.情報源
①戦略、作戦、戦術そして兵站「経営者とは、肩書きや地位を指す言葉ではなく、能力を指す言葉だ」-清水亮さんの神ブログの再編再掲(尾原和啓 | 清水亮)
②4つの軍事用語とプロダクトマネジメント(Kenta Iwamoto)
③戦略・戦術・作戦・兵站、それぞれ説明できますか?(しょうご)
④戦略、作戦、戦術の違いとは?(株式会社オルガナ)
3.戦略・作戦・戦術・兵站の定義
戦略(Strategy)とは?
戦略とは、長期的な目的を達成するための大局的な計画・方針です。
戦略は資源利用の指針(≒優先順位)を設定する役割を持ちます。
オンライン広告で例えると、「オンライン広告を実施すべきか?いくらの予算をかけて、どんな成果を求めるか?」を定義するのが戦略です。
基本的に戦略は頻繁に変更されるものではなく、持続的に機能する必要があります。
また、戦略とは幾多もの作戦から成り立つものです。
私が働く会社も含めて、多くの事業会社ではオンライン広告だけでなく、SEO、CRMなど複数の作戦に取り組んでいます。
作戦(Operation)とは?
作戦とは、戦略を達成するための具体的な行動計画です。
中期的な視点で、戦略を実現するためのステップや活動を組み立てます。
戦略よりも柔軟性が求められ、状況に応じて修正されることもあります。
例えば、戦略として「オンライン広告で月間100件のコンバージョンを獲得するために、月間100万円の広告予算をかける」と決めた場合で考えてみます。
作戦は、戦略で決めた「目標(CV100件)」や「予算(100万円)」を達成するために、 「どの広告チャネルを使うか?どのターゲットを狙うか?どのように成果を最大化するか?」 を決める段階を指します。
作戦①:広告配信のチャネル選定
「検索広告を活用し、購買ニーズが強いユーザーには優先的にアプローチしていく。興味関心層にはディスプレイ広告やSNS広告を活用する」
作戦②:ターゲットユーザーの選定
「過去のコンバージョンデータを分析し、成果の出やすい30〜40代のビジネスパーソンをメインターゲットとする」
戦術(Tactics)とは?
戦術とは、作戦を実行する際の具体的な施策や手法のことです。現場レベルで、どのように運用し、改善していくかを決めます。
ここは作戦を実行するための具体的な施策やテクニックを決める段階となります。
オンライン広告の例えで考えると、各媒体やターゲットに応じて、どのように広告を運用し、効果を最大化するか? を細かく設計していくフェーズを指します。
戦術①:リスティング広告の最適化
● 「月間の検索ボリュームが大きい高単価キーワード(例: DX導入、SaaS活用)」と「検索ボリュームは小さいがコンバージョン率の高いロングテールキーワード(例: CRM 比較 料金)」を分けて広告グループを作成
● Google広告のレスポンシブ検索広告を活用し、広告見出しや説明文のバリエーションを増やしてテスト
● 広告ランクを上げるために、品質スコアの低いキーワードを除外し、広告文とランディングページの関連性を高める
● クリック率(CTR)を上げるために動的検索広告(DSA)を活用し、ユーザーの検索クエリに合わせた広告を自動生成
戦術②:ディスプレイ広告・SNS広告の運用
● クリエイティブのA/Bテストを実施し、「シンプルなテキスト訴求」と「画像+キャッチコピー訴求」のどちらがCTRが高いか検証
● コンバージョン率の高いユーザー層を見極めるため、年齢・性別・地域・興味関心ごとに細かく広告セットを分け、効果の良いものに予算を集中
兵站(Logistics)とは?
兵站(へいたん)とは、戦略・作戦・戦術を支えるための資源やサービスの管理・供給。つまりリソース管理を指します。
必要な人員、物資、資金、情報を適切なタイミングで適切な場所に提供する活動で、兵站が適切に機能しなければ、いかに優れた戦略や作戦があっても実行は困難となります。
例えばオンライン広告を安定的に運用していくためには人材、ツール、データ管理、予算管理、ワークフローの整備などが必須になります。
Webマーケティングにおいて、兵站が適切に機能しないと、
✓人手が足りず運用の最適化が遅れる
✓予算の管理がずさんになり、ROIが悪化
✓ツール活用が不十分で分析が機能しない
といった問題が発生し、戦略・作戦・戦術の成果が大きく損なわれます。
例えば、オンライン広告の分野は多くのツール導入があってはじめて施策のPDCAを回すことができます。
Google Analytics 4、BIツール(Looker Studio, Tableauなど)を使って効果測定&データ可視化を行い、ヒートマップツール(Microsoft Clarity など)を導入し、LPのユーザー行動を分析しています。
軍隊の大半は兵站であることを考えると、Webマーケティングにおいても戦略や作戦を下支えするリソース管理は重要だと思います。
4.戦略・作戦・戦術・兵站の関係性
これらの概念は階層的に関連しており、次のように整理できます。
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1. 戦略(Strategy) → 戦略は資源利用の指針を設定する
2. 作戦(Operation) → 戦略を達成するための具体的な行動計画
3. 戦術(Tactics) → 作戦を実行する際の具体的な施策や手法のこと
4. 兵站(Logistics) → 戦略・作戦・戦術を支えるための資源の管理・供給
以上です。ビジネスやマーケティングにおいても、これらの概念を正しく理解し、適切に適用していきたいと思います。
記事は以上です。最後まで読んで頂きありがとうございました。