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【オススメ本】嵩和雄『イナカをツクル わくわくを見つけるヒント』コモンズ、2018

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2001年に熊本県阿蘇郡小国町に移住し、(財)阿蘇地域振興デザインセンター研究員、(財)学びやの里研究員を経て、現在NPO法人100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センター で副事務局長を務める嵩(かさみ)和雄氏が日本農業新聞に連載したコラムをまとめた書。

サブタイトルに「わくわくを見つけるヒント」にあるとおり、まさにイナカのわくわくが伝わる一冊となっています。

私が特に印象に残っているのは下記の言及です。

・「田舎」が可能性のある「イナカ」に変化しつつある現在(p.6)。

・図書館は単なる本の貸出場所ではなく、人が集う、地域の文化の拠りどころでもある。こうしたコミュニティベースの図書館は地域にとっての宝(p.30)。

・地方都市にまず移住し、その後ゆっくり自分にふさわしい地域を探していくことを「ニ段階移住」と呼ぶ。(中略)住みたい地域に近い地方都市にまず住んで、本格的に探していこうという考え方(p.32)。

・孫ターンなら、地元在住者の孫であるという理由で身元保証が担保されている。これは非常に大きなメリット(p.36)。

・「地方移住するにあたって、どんなトラブルがありますか?」(中略)私の知るかぎり、ほとんどのケースは人間関係であろう。その多くは、相互の理解不足から始まる(p.40)。

・寄付をする側は「お得度」だけでなく、税金としての「使われ方」にも思いをはせてほしい(p.50)。

・ハード面の防災・減災という観点も重要だが、地域の人間関係資本によるレジリエンスの力を改めて見つめ直したい(p.54)。

・農地取得時の下限面積は引き下げられたが、地方移住のネックになるのはこの農地法である。都市からの移住希望者が空き家を買おうとすると、農地も一緒に買取をという話になるからだ(p.62)。

・移住を決断するのは本人だが、そこには受け入れる地域の行政と住民の当事者意識が関係する。(中略)受け入れ側の当事者意識によって、移住者の定住率は大きく変わる(p.102〜103)。

以上です。

ぜひイナカや移住に興味がある方はもとより、受け入れ側の行政や地域の皆さんにも読んでいただきたい一冊です。

(参考)目次

01 「田舎」と「イナカ」
02 いのちをつなぐスープ
03 映画の中の農村
04 ゴジラから逃げる日
05 課題解決がビジネスに
06 農村型のワークシェアリング
07 農的暮らしと農地問題
08 地域のなりわいをつくる
09 半農半Xとリスク分散
10 なりわいを継ぐ
11 決断力と現場力
12 ソトヨメたちの集い
13 ムラの知の拠点としての図書館
14 二段階移住のススメ
15 交流から移住へ
16 孫ターンが増えている
17 集落の教科書
18 作法かルールか?
19 お試し暮らしと体験学習の宿泊体験
20 民泊新法と農泊
21 訪日観光客と農山村
22 ふるさと納税とふるさと意識
23 ふるさと納税と地域振興
24 アンテナショップとご当地土産
25 地域力とレジリエンス
26 被災地を支えるヨソモノ
27 集まって住む意味
28 人間関係資本を見直す
29 土地の所有と利用権
30 未来への投資としての人材育成
31 空き家バンクは過疎問題を解決できるか
32 共感を生み出すローカルメディア
33 42年ぶりの結婚式
34 技術を伝承する難しさ
35 地域文化を継ぐもの
36 家を遺すために
37 縮減社会におけるインフラの維持
38 聖地巡礼
39 国防としての地域政策
40 小さな拠点としての共同店
41 ローカル・トラック
42 場と役割
43 覚悟を決める
44 石の上にも……
45 わくわくを創る

(参考)出版社URL

http://www.commonsonline.co.jp/books2018/2018/09/01/inaka/

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