2021ファジアーノ岡山にフォーカス 「データで迫る上門知樹の魅力と1点の秘密」
1、 前置き
岡山のサポである私としては、岡山に残るという決断を上門 知樹という選手が選んでくれる筈であると信じてまとめていましたが、残念ながら今季を持って、J1のC大阪への移籍が決定し、移籍金を置き土産にJ1に個人昇格することとなった。そこで、データで迫るというタイトルではあるが、公式記録を中心に、データを深く掘り下げて行くことで、14上門 知樹という選手が、どれだけ凄かったのか、改めてデータでの可視化と、言語化することで迫っていくというフォーカスです。
もちろん、試合で実際に見ている方からすれば、上門 知樹という選手の魅力は、深く理解されているとは思いますが、この批評を作成しようと思った動機の1つは、まず、C大阪のサポーターの方にも、上門 知樹という選手についてのデータと私見で、まとめた文章を発信することで、上門 知樹という選手について少しでも知ってもらうことにより、C大阪でも愛される選手、そして活躍してくれる選手になって欲しいと思ったからです。
そして、2つ目は、岡山サポーターとしても、公式記録の範囲で内ではありますが、改めてデータからも見ていく事で、上門 知樹という選手の魅力を再評価できるデータを確認していく中で、これだけの将来性と可能性を秘めた選手が、岡山に2年間もいてくれたという事をデータでも伝えていきたいと思ったからで、上門 知樹という選手に感謝しているからこそ、岡山を離れる今だからこそ、より深く知ることで、冷静に受け止めるきっかけの1つになることで、これからも応援していこうという気持ちに切り替えることに繋がればと思い、微力ではありますが文章を作成しようという気持ちに至りました。
それでは、公式記録メインとなりますが、私見を交えつつフォーカスを14上門 知樹という選手に当てていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
2、出場記録分析(岡山在籍時:2020-2021)
2-1:通算出場記録
こうしてみると、ハードワークしている中でも、ほぼ全試合フル出場と言っても良いぐらい出場している。今季の方が、得点が多くて、アシストが少なくなっているのは、2列目からFWへと移った影響が大きい。ちなみに、岡山で多くの得点を決める事は、守備のタスクが多いチームなので、どうしても難しくなる傾向にある。
愛媛(山形に移籍が発表)の藤本 佳希は、愛媛では、得点を多く決めているが、岡山だと1ゴール決めかことができるかどうかという厳しい結果に終わっている。その岡山で、これだけ決めることができていることからも高い得点能力のある選手であることが良く分かる。
次は、実際に、どれくらいフル出場しているのか見ていきます。
2-2:フル出場試合
こうしてみると約半分の試合で、フル出場していることが分かる。サッカーにおいてFWというポジションは交代の優先度が高く、フレッシュな選手を投入することが多い中で、これだけのフル出場の試合数がある。加えて、上門 知樹という選手は、攻守にハードワークしており、最後まで走り切った中で、これだけのフル出場試合数。怪我に強いだけではなく、疲れを感じさせないメンタルの強さも感じるデータと言える。
では、90分換算で、見てみるとどうでしょうか?
2-3:出場時間(90分間換算)
脅威の95%越え。これは、ほぼ全試合フル出場していたと考えても良い数字だと思います。これだけの出場時間がありながら、欠場も体調不良の1試合のみという事を考えると、主軸として、これだけ計算できることはチームとして大きく、岡山の安定した堅守と成績への貢献度は、極めて高かったことは、このデータからでも分かる。
次にスタートポジションは、どこが多かったのか見て行く。
2-4:スタメン時のポジション
左SHが、適性ポジションではあるが、チーム事情により、右SHやCFを任される事もあった。今季であれば、得点力不足の影響もあり、CFを任される事となったが、その分得点が伸び、アシストは減った。2年間見てきた限りであると、持ち味が最大限活きるのは、左SHではあるが、攻撃的ポジションであれば、どこでもできる器用さがあるので、C大阪でも出場機会を掴める可能性は十分あり、活躍に期待したい。
次にチーム内での得点比率を見て行く。
2-5:チーム内の上門の得点割合
今季に限って言えば、チーム内の3割以上の得点を上門 知樹が決めている。SHであった2020シーズンも2割に迫る得点比率。チームにおいての得点源として、大きな存在であったことが分かる。
これが、得点関与比率になると、更に上がるので、見て行こう。
2-6:チーム内の上門の得点関与割合
こちらは、ゴール+アシストのデータではあるが、2シーズンとも驚異の3割越え。移籍初年度から、チームの軸として機能していた事が分かる。この辺り、有馬 賢二前監督の選手の良さを活かす起用が活きた結果とも言えるが、改めて岡山は、大きな選手が流出してしまったと感じるデータとなった。
得点ペースとしてはどうか?
2-7:シーズン得点ペース
チーム状態が悪い時期も有った中で、この数値。年間通してチームが良い状態を長くキープできていれば、もっと伸びた可能性はある。ただ、それでも今季に関しては3割。終盤戦の岡山が、上位に負けない内容と結果で、脅威的ペースで、勝ち点を伸ばしていたが、その内容を年間通してできていれば、上門 知樹も、もっと得点を伸ばしていても不思議ではない。
そして、得点関与ペースではより良い数字になる。
2-8:シーズン得点関与ペース
ゴールとアシストの数字になるが、こちらに関して言えば、3試合1ゴールに関与するペースである。2年間で見ても3割越え。偶然にも野球の首位打者争いができるパーセントであることを考えても高い数字であることが感じられる。
次にシュート成功率は、どうであったのか?
2-9:シュート成功率
この数字は、残念ながら低い数字となっている。2年間で見ると1割を切っている。ただ、ミドルシュートが主体であった事を考えると、高い数字と言える。一般的なFWのシュート成功率の高さというのは、ボックス内での仕事できる選手であることが状況であるが、未確認ながらイメージでは8割以上が、ミドルシュートである上門 知樹のケースで考えると、高い数字と言える。
ただ、今季に関して言うと、FWになったことで、裏への抜け出しでの得点パターンやゴールに近い付近での得点も増える傾向にあった。この辺り、J1で、更なる進化を遂げてくれるかもしれない。
そして次は、あまり話題にでないデータで、上門 知樹の凄さが分かる。正直、上門 知樹のプレーの安定感の良さの秘密が全て、ここにあると断言しても良い。
2-10-1:被警告対象回数
イエローカードやレッドカードを貰った枚数ですが、83試合で、意外にもわずか1枚。岡山サポならご存知だと思いますが、上門 知樹という選手は、前線から厳しく献身的に守備する選手であり、自陣に戻っても体を張って守備する選手です。その中で、これだけカードが少ないという事が、どれだけ凄いのか?警告に成り易いケースを考察していくことで、その凄さを確認していく。
① ラフプレーをしてしまったケース
まず、この部分ですが、必要以上に激しいアクションをしてしまった場合に警告を貰うことが多いですが、上門 知樹という選手は、正当なチャレンジを2年間でしっかり行っていた。足の裏を見せるとか、必用以上に激しく体を当てるなどの、そういった相手が怪我するリスクがあるプレーを見た事がない。ただ、接触の激しいプレー自体は、しっかり行っていて、正当にチャレンジしていたので、この辺りを見ても、相手選手とサッカーへの強いリスペクトを感じます。
② 攻守のアクションが遅れてしまったケース
そして、アクションが遅れてしまうという事が90分間通して少なかった。この辺り、岡山の難しい守備タスクと、得点を奪うという2列目及びFWとしての役割を100%こなせたことの秘訣に感じられるが、攻守において、組織の中で、的確に状況判断できていたことが分かるデータである。右足の技術の高さにスポットが当たりがちではあるが、実は、こういった判断が優れている点が、上門 知樹という選手の武器の1つである。
③ 非紳士的なプレーをしてしまったケース
FWの選手にありがちな、チームや自身が苦しい時に、感情を表に出して、人や物に当たる、暴言を吐くという事は私の記憶の範囲では一度もなかった。あくまで、サッカー小僧であり、あらゆる感情は、ボールに籠める。自身のプレーに悔しがることはあっても、人を責めることはなかった。この辺り、選手や監督、サポーターに愛される理由の1つであることは間違いない。そして、多くのゴラッソが生みだした通り、サッカーの神様にも愛されることにも繋がっている。
④ 繰り返しのファールをしてしまったケース
結構、苦しい時に同じ選手にやられることで、同じミスをしてファールを繰り返して、結果的に警告対象になってしまう選手がいるが、上門 知樹という選手は、学習能力も高く、同じミスは繰り返さない。または、巧くいかない時に工夫ができる選手。考える事ができる選手であることが分かる。だからこそ右SHやFWというポジションでも左SHと遜色のない活躍ができ、すぐに違うポジションでのタスクを理解し、自身のプレーの幅を広げる事ができたと言える。
⑤ 決定機阻止でのファールをしてしまったケース
FWだからこういったシーンは少ないのは、当然とはいえ、83試合で、そこにいなかったというのも地味に大きい。カウンタ―を受けるシーンなどで、そういったシーンが生まれる事もあるが、チームとしてそういった事がしっかり整理されていることも相まって、チームの中で、どこにポジションを取るべきか、または、どの選手に任すべきかという判断が正確にできていたことが分かる。
⑥ 手を使った反則をしてしまったケース
良くボールを奪われて手を使って奪い返そうとするシーンや、悪質なハンドなどで警告対象になる選手がいるが、上門 知樹という選手は、すぐに切り替えて次にすべきアクションがしっかり出来ている。あくまで、サッカーという競技の中で、ルール内で、その時に、すべきことをしっかり実行する。そういったことができる選手であることが分かる。そして、これは攻守の切り替えの早さに繋がっている。
⑦ 足のコントロールを誤ったファール
スライディングタックルや空中へのボールへの守備へのチャレンジで、大きな怪我に繋がる可能性ある位置に、結果的に足を出してしまうプレーが、上門 知樹には少ない。プレースタイルも関係しているとはいえ、足を使った守備が巧く、そういったファールは少なかった。攻守共に足を使ったプレーは上質で、②とも関連するが、90分間通してそのプレー継続してできるのが、上門 知樹の強みと言える。
① ~⑦のまとめ
上門 知樹という選手がどういった選手であるかは、警告対象に成り易い理由と、上門 知樹が実際にどういった選手であるかを見てきた岡山サポであるからこそ、上門 知樹の良さがここで深く理解できた。
2-10-2上門 知樹というサッカー選手
この批評タイトルである「1点の秘密」。それは、攻守のあらゆるプレーにおける高い集中力を90分間維持できる力である。上門 知樹という選手は、ミドルシュートのほとんどでしっかりミートし、ミスキックがほぼない。それは、プレー1つ1つに全神経で意識を集約することで、正確なシュートやパス、的確な寄せやプレスバック、正当な守備のチャレンジ、間で受けるポジショニング、自身にあった距離感を維持するプレーに繋がっている。感情を人ではなく、サッカーに集約させる事で、実力を100%、いや120%だせる。それが、上門 知樹という選手である。J1という舞台で、この高い集中力を支えるメンタルの強さからのプレーが、どこまで通用するのか。また、どういった選手に成長していくのか、今から楽しみでしかたない。
では、この①~⑦の特性を持った上門 知樹といった選手が、どういった結果を残して来たのか。ベストゴール限定ではあるが、最後にチェックしていく。
2-11:週間ベストゴール(公式記録)関係
岡山での全ゴール数は、20ゴール。その3割がノミネート。ここに載っていないゴールでも素晴らしいゴールばかりであるが、3割以上がベストゴールというMr.ゴラッソとも言える確率となっている。選手によっては、年間通して一回あるかないかの選手がいるなかで、2年間で、積み重ねてきたノミネート回数は、7回。シーズンを通して、コンディションが安定していて、その一瞬にかける高い集中力が、そこにあると改めて感じることができる。
上門 知樹という選手が、どういったプレーをする選手で、どうサッカーに向き合っているのか、ここまでデータを振り返ってきたなかで、少しでも伝っていれば、嬉しく思います。そして、上門 知樹という選手が、2021シーズンをもって岡山を離れて、2022シーズンからC大阪で、J1に挑戦するという公式発表がありました。今回、データで上門 知樹という選手の岡山での軌跡を振り返っていく中で、上門 知樹という選手が、本当にサッカーが好きな選手であることが、筆者自身も改めて気付くことができました。
そして、プロサッカー選手を目指す若い子供達には、是非、上門 知樹という選手の良い所をお手本にして、プレーしていって欲しいとも感じました。それだけ、サッカーのプレーの部分だけではなく、メンタルの部分でも尊敬できる選手。試合で良いプレーをして勝利するために、必用なことをピッチで体現してくれた選手であり、心技体のバランスのとれた魅力的で、素晴らしい選手。上門 知樹という選手が、岡山を離れてもそのプレーを見て育った子供たちが、次世代の上門 知樹へと成長し、またその選手も子供たちのお手本となって欲しいと、心より願うばかりです。
そういった選手が、岡山でプレーしてくれたという事に感謝しつつ、サッカーの向き合う中で、どこまで上門 知樹という選手が、昇りつめる事ができるのか。今は、2022シーズンに、ファジアーノ岡山で見ることができない悲しい気持ちが、強いとは思いますが、いつか心から上門 知樹という選手の活躍と飛躍を祈り、応援できる日が来た時には、上門 知樹は、こういった選手で、岡山で、こういったプレーをしてくれた凄い選手であると、感謝の気持ち胸に刻み、心より新たなスタートを切る2022シーズンをファジアーノ岡山と上門 知樹という選手を応援して、みなさんと一緒にサッカーを楽しみたい。
そして、その時には、ファジアーノ岡山での上門 知樹という選手の記録と記憶は、永遠に心の中に残ることで、ファジアーノ岡山でプレーする上門 知樹を心の中でみることができると思います。
今季であれば、最終節のセレモニーで挨拶をした椎名 一馬選手や有馬 賢二前監督、そしてC大阪に移籍する上門 知樹選手という岡山への想いは、消えることはありませんし、その想いが貴方の心にあり続けるからこそ、サッカーでの喜怒哀楽があり、感動がある。そして、応援したいという気持ちが強くなる。サッカーの試合とは、こうした歴史と想いの交流であり、それだけのドラマがある。そして、想いが強くなればなるほど天皇杯の槙野 智章の決勝のゴールのような劇的でドラマチックな試合が生まれるかもしれない。そして、想いが強いほど、より感動的なものとなる。喜び、怒り、哀しみ、楽しみ。こういった感情全てが想いであり、その全てがチームの歴史であり、強さである。
J2昇格以降、何かを掴んでの歓喜は、長らく遠ざかっている岡山。しかし、不思議と普通のプレーや1つの仕草で、涙する、涙しそうな機会が増えてきた。それは、きっと今まで岡山でプレーをしてきた選手の想いやその記憶が、無意識に私や貴方の心の中で、共に戦っているからであり、これからサッカー観戦をして、1つのチームを応援して行く中で、心の中で一緒にファジのために戦ってくれる選手は、増えて行くことは間違いない。
だからこそ別れが辛くなるが、新たな出会いがある。サポーターは、本人の意志で辞めない限り、続けることができる。辛いことはサポーターで共有し、小さい事でも嬉しいことはみんなで喜ぶ。心ひとつに、チームとサポーターが、相思相愛でこれからもあって欲しい。そして、心から応援したいチーム、スタッフ、監督、選手が、サポーターがいるチームが、あることは幸せであるとこれかれも感じていたい。
上門 知樹という選手には、C大阪でもサポーターや監督、選手、スタッフ、サッカーに愛される選手になって欲しい。だからこそ、悲しい気持ちも確かにあるが、これからの活躍を心より願う気持ちは強い。そして、C大阪の関係者のみなさま、どうか上門 知樹という選手をよろしくお願いします。
最後に、上門 知樹という選手が、岡山で記録した週間ベストゴールのノミネートゴールをみていただけたらと思います。最後まで読んで頂き有難うございました。
2-12:ベストゴールノミネート動画(上門 知樹)
2020シーズン週刊ベストゴールへのランクインゴール一覧
2020:J2;第17節:Away:大宮vs岡山
週間ベストゴール4位(9月2~6日)
URL:https://youtu.be/TiOuiDOaAWM?t=173
2020:J2:第36節:Home:岡山vs栃木
週間ベストゴール2位(11月25~29日)
URL:https://youtu.be/ajvFZUPxhmc?t=226
2021シーズン週刊ベストゴールへのランクインゴール一覧
2021:J2:第7節:Away:愛媛vs岡山
週間ベストゴール5位(4月6~11日)
URL:https://youtu.be/XcHbNZBc9O8?t=137
2021:J2:第16節:Away:松本vs岡山
週間ベストゴール4位(5月26~30日)
URL:https://youtu.be/p67YlqpqqRo?t=169
2021:J2:第33節:Away:東京Vvs岡山
週間ベストゴール9位(10月6~10日)
URL:https://youtu.be/JKNPwQblBWM?t=23
2021:J2:第34節:Home:岡山vs松本
週間ベストゴール2位(10月16~17日)
URL:https://youtu.be/c59yNKoSY0s?t=223
2021:J2:第36節:Home:岡山vs新潟
週間ベストゴール3位(10月30~31日)
URL:https://youtu.be/tTUyAtSMj3Y?t=167
2-13:アンケート関係
進行中のアンケート
後日、決勝を開催予定です。引き続きアンケートへのご協力よろしくお願いいたします。
2021シーズンファジアーノ岡山MVP関係アンケート
上門知樹選手 セレッソ大阪へ完全移籍のお知らせ
は、こちら(別サイト:ファジアーノ岡山公式HP)。
URL:http://www.fagiano-okayama.com/news/p1473057160.html
上門 知樹選手 完全移籍加入のお知らせ
は、こちら(別サイト:セレッソ大阪公式HP)。
URL:https://www.cerezo.jp/news/2021-12-23-17-30/
文章・図=杉野 雅昭
text・picture=Masaaki Sugino
おまけ:読んで欲しい批評
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自分の感じた事を大事にしつつ、サッカーを中心に記事を投稿しています。今後とも、よろしくお願いいたします。