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秋田杉葉除菌エタノールが拓く新しい林業の価値〜有限会社エフ・ジー代表取締役社長佐藤さん

「杉の雫」から辿る、今回の対談は、有限会社エフ・ジーより代表取締役社長の佐藤さんが登場します!杉の雫に使われる秋田杉の葉は、エフ・ジーさんが採集してくださっています。

今回の対談のテーマは「杉の雫を通じて林業に迫る」。こちらは対談の前半戦になります。佐藤さんが指摘する林業の問題や、経営者としての難しさについて語っていただきました。高専時代のクラスメイトならではの、テンポの良い会話にもご注目ください!(*対談記事内、敬称略)

有限会社エフ・ジーにて(左:佐藤さん、右:株式会社サノ高嶋)

対談相手の株式会社サノ開発担当者・高嶋とインターン生・三政の対談はこちらから!


高専時代のクラスメイトだった二人

高嶋
「何年前ですか…出会いは?笑」

佐藤
「この二人の出会い!ちょうど30年前かなあ…」

高嶋
「30周年!」

佐藤
「高校生の頃に出会ったので、四半世紀以上前ですね。卒業してからはしばらく会わなかったけれど、クラス会で会ったかな。みんな卒業して色んな職業についたから、会う機会も多くないと思う」

高嶋
「そうだよねえ〜」

佐藤
「だけど、俺ほど(職種が)変わった人もいないんじゃなかなあ笑」

高嶋
「原子とか細かいことを勉強していたのに、今や林業だからね〜。単位がまず違う!」

佐藤
「いきなり尺貫法にいったからね!俺が入った頃はまだ林業は尺貫法を使っていたからね、立方じゃなかったんだよ。一石(いっこく)二石(にこく)とかね!独特の単位や言葉がたくさんあったね、なかなか大変でしたよ。あの当時は何もわからなかったよ笑」

高嶋
「秋田に帰ってきて林業の世界に飛び込んで…」

佐藤
「この世界に入ってから10年くらいは平社員で名刺すら持ってなかったよ。名刺を持って歩くようになったのは、ここ10年くらいなんじゃないかなあ」

高嶋
「クラス会でもらった木の名刺が印象的だったよ」

佐藤
「うちの名前自体が『何の会社ですか?』って聞かれることが多いからさ。名刺渡した時に『あ、林業だな』ってわかってもらえるといいなと思ってやり始めたよ。最近、印刷の発色の関係で白紙に戻ったから、また会社名を説明しないといけないなあ!笑」

高嶋
「確かにね、名前で何をしている会社かみんなわかるかなあ…」

佐藤
「そう、みんな『エフ』まではわかる、『フォレストだべ!』って。そうなると『ジー』ってなんだ、と言われて。もう聞かれすぎたから、『ファイティング・ゴッドだよ!』って答えていたよ!笑」

一同爆笑

佐藤
「でもそれがきっかけで覚えてもらえるようになった!笑」

高嶋
「よかったね〜でも、本来の意味は『秋田の森林と未来を育む(Forest Grow)』というところだよね笑」

佐藤
「そうそう!」

林業の現状と課題

高嶋
「最近は忙しいんでしょう?」

佐藤
「そうだね、コロナ禍で外国産の木材が入ってこなくなって、木材が足りない中で値上がりもしているし、国産材で賄わないといけないから増産することになっているね」

伐倒作業をしている様子(有限会社エフ・ジー提供)

佐藤
「昭和の大植栽で植えた木がちょうど伐期を迎えていて、皆伐しないといけなくて。秋田県は再造林率が10数%しかなくて、それを5年後くらいに50%まで持っていく…という計画を県も出している。だから切ったら植えないといけない」

佐藤
「林業の中でも、うちらみたいに素材生産をメインにやっている会社もあれば、逆に造林関係の植栽や下刈りのような山の手入れでやっている人たちもいるんですよ。だから、増産するには人を雇ったり、機械を増やしたりしないといけないけれど、限界はあるでしょう。だから(今の課題を)どうするの?という状況ではある。お互いに仕事がいっぱいいっぱいになっちゃっているから、大変なんじゃないかなあ。現状としては、小さい林業の会社は増えていくけれど、会社内の人数は減っているのがあるね」

佐藤
「今は小さな会社が増えてきて、まとまりが悪いというか、収集がつかないんじゃないの、とは思うね。仕事は溢れているけれど、こなせていないのが歯痒いなと。仕事に追われて仕事したくないけれど、尻を叩かれている感はあるなあ…笑」

高嶋
「今その場しのぎで人を増やしても、また外国産木材が入ってくるようになったら、溢れた人はどうなるの?っていう問題もありますね」

佐藤
「技術も追いつかないしね。でも外国産木材ってしばらく入って来ないんじゃないかなあ。コロナの影響でストップしているからね。外交問題とか色んなことが絡んで、木材だけでなく色んな物が値上がりしている。木材単価が上がったから林業の景気がいいと言われがちだけど、全てが値上がりしているからそうとは言えないね。林業のことだけ考えていればいいと思っていたけれど、やっぱり周りを見ていかないとついていけなくなるな、とは考えています」

経営者としての難しさと新しい林業の形態

高嶋
「経営者は、色んなことを考えないといけないですよね」

佐藤
「そうそう、去年はコロナ禍で丸太ばかり切っていてもダメだなと思って、薪の販売も始めたりして。もしもの時に切った木が売れないと困るから。『杉の雫』のための杉の葉を集めることも、丸太の生産が滞った時とか、別の逃げ道を作った方が会社としてはいいかなあ、とは思っています。だからちょうどよかったのかなあって」

杉の葉と杉の雫

佐藤
「本当に自分たちとしては、『杉の葉なんて商品になるんですか』みたいな。だから、まだまだ可能性を感じるなと思います。林業といえば、建築材かバイオマス燃料か、そのくらいしか使い道がないんじゃないかと思われていたからね、別の使い道があるとなれば、違った見方も出てくるだろうし。林業の別の形態が生まれてくるんじゃないかなと思いますね」

高嶋
「なんて素晴らしい!」

佐藤
「いやいや!思っているだけで、行動に移すのは難しい!社員にはそういう話をするけれど、やっぱり現場の仕事もあるから、仕事の量はバランスを考えないといけない。これからの時代、同じことばっかりやっていても潰しが効かないし、つまらないからね」

高嶋
「すごい、経営者だね!経営者でもあり、現場に立つ人でもあり…!」

新人指導の様子・伐倒方向確認(有限会社エフ・ジー提供)

佐藤
「経営者には経営者の仕事があるって言うから、現場に出ている場合じゃないなと思う時もあるけれど、やっぱり現場に行って把握しておかないと、『現場も知らないのか』って言われてしまうし…現場に行けば行ったで、社員はプレッシャーを感じるみたい…笑」


前半はここにて終了。お二人の出会いや林業の現状、経営者の難しさについて語っていただきました。後半では、ちょっと踏み込んで「林業とは何か」について語っていただきます!これまで考えていた「林業」の常識がちょっと変わるようなお話を伺うことができました。

後半戦はこちらからどうぞ!