石川県に九谷焼を焼きに行ったら、いつの間にか出会いに溢れていた話︎(前編)
初めまして。
Sansan株式会社でプロダクトデザイナーをしている杉本です。
先日Sansanのクリエイター組織、「Juice」の取り組みの一環である「ものづくりツアー」で、石川県にある陶芸工房で九谷焼体験をしてきました。
この「ものづくりツアー」はどこで何を作るのか、全て自分たちで考え、企画を通して若手メンバーとマネジャーの交流を深める施策です。企画を実現させるために必要な申請ごとや、経費精算のフローも実践的に学んでいきます。
準備から実際の陶芸体験、そして帰るまで…と振り返ってみると、大変なことも多かったのですが、それ以上に素敵な出会いに溢れていたなと思います。それはなくてはならない出会いもあれば、偶然の出会いもありました。
出会った人たち、見た景色、食べ物たちとの「出会い」を通して、準備から当日までの約2ヶ月を前編と後編の2本立てで振り返りたいと思います。
チームメンバーとの出会い
まずはなんと言ってもチームメンバーとの出会いです。一緒にものづくりツアーに行くメンバーは私含め4名でした。デザイナー同士ではありますが、部署や所属するグループがバラバラなので普段一緒に業務をすることはあまりありません。もちろん今回初めてお話しする方もいました。
まずはどこに行って何をするかを考えるところから始まりましたが「0から何かを作ってみたい!伝統工芸を体験したい!ということで、色々と調べた結果、石川県の九谷焼制作を体験することに決まりました。チームメンバーで話している間は「手軽にいける近場も良いけど、北海道とか沖縄とか、普段なかなか行くことのない環境や、珍しい体験ができる所も良さそうだよね〜」と色々候補が上がり、旅行の計画を立てているような気持ちで楽しかったです。
場所も決まり、あとは行く準備。購買申請(企画と予算を提出して役員承認をもらうための弊社の決済フロー。ここで決済がおりないと何もできない。)をして、ホテルと新幹線予約して…と頭の中では順調でしたが、いざ購買申請をしようと画面を開くと、とにかく分からないことだらけで焦りました。
まずどこから申請するべきか、項目に何をどう入れるべきか、申請の順番などなど…。私1人だったら新幹線の片道切符も買えていなかったのでは…というレベルです。
チームの皆さんに丁寧に教えていただき、最終的に全て申請も通り、無事に現地に向かう準備が整いました。本当に感謝しかないです。
どこに何の情報が必要かということはもちろんなのですが、1番大切だったのは「いかに相手の体験を想像しているか」ということでした。正直、購買申請に体験という言葉が私のなかで全く紐づいおらず、与えられた項目を埋めるだけの形式的なものという認識だったのです。どこまでいっても相手のことを考えて行動するのは大切なことなのだと改めて気づきました。
金沢おでんとの出会い
細かな調整や手配が続き、気がつけば当日を迎えていました。九谷焼きの体験は午前枠から予約をしていたので、前泊で現地入りしないと間に合いません。前日の夕方、業務を終えてから新幹線に乗り金沢駅に到着。メンバーとは、SlackやZoomなどオンライン上でのコミュニケーションが主だったので、親睦会もかねて夜は皆で金沢おでんを堪能しました。
メンバー同士では初めての飲み会でしたが、普段とはまた違った雰囲気で会話もラフに楽しめました。普段の業務について、飼っている猫の話、旅行の話などなど…。(猫トーク多めで癒しでした笑)
やはり直接オフラインで顔を合わせてコミュニケーションするのは大事だなと思った夜でした。
加賀・山中温泉の風景との出会い
ホテルで温泉に浸かり、ゆっくり休み、朝ごはんを食べていよいよ九谷焼きの陶芸体験工房へ!(温泉付きホテルにして良かったです。疲れた体に染みました。)
まずは金沢駅から特急のサンダーバードに乗り、加賀温泉駅に向かいます。片道約20分。乗っている間は外の景色が見えなかったのですが、加賀温泉駅に降り立った瞬間、目の前に広がるたっぷりの自然に思わずため息が出ました。「のどかですね〜」とメンバーからも声が。
そこからさらにバスで山中温泉駅に向かいます。田園風景からどんどん山の中へ進んでいき、ついに到着。ここが本当にいい所だったのです…。
夏休みという言葉が一番似合う新緑と川のせせらぎ。そこに佇む体験工房。晴天も相まって景色だけでもう来て良かったと思いました。
九谷焼との出会い - 絵付け体験 -
今回お世話になった「シルクロ陶芸体験工房」さんは石川県加賀市の山中温泉にあります。私も知らなかったのですが、加賀市が九谷焼発祥の地だそうです。
実は当初、金沢市にある陶芸工房を予約しようと考えていたのですが直前で予約が埋まっていることに気がつき、慌てて探し直したのが「シルクロ陶芸体験工房」さんでした。その時は予約ができることを第一優先で考えていたのでどんな場所にあるかなどということは全く考慮していなかったのですが、偶然にも発祥の地であり、これも一つの出会いだったなと感じています。
そんな「シルクロ陶芸体験工房さん」は「九谷焼窯元きぬや」さんの2階にあります。1階はギャラリーになっており色彩豊かで細やかな絵付けが施された九谷焼がフロア一面に並べられています。丁寧で美しい絵付けに思わず見入ってしまい、体験前にしばらく皆で鑑賞タイムに入ってしまいました。「これ普通に買って帰りたいな〜」「すごい職人技術だなあ」などと話しているところへお店の方から2階への案内が。
1階から繋がる螺旋階段を上がりきると、すぐに電動ろくろが目に入ってきました。「うわ〜、陶芸工房だ〜」とワクワクすると同時にそのモダンでおしゃれな空間に、さらに気持ちが高ぶりました。
まずは奥の部屋に通され、絵付け体験からスタートです。絵付けとは本焼きした陶器の釉薬の上に顔料でデザインを描いていく手法なのですが、九谷焼は特に『赤、黄、緑、紫、紺青』の五彩を中心とした色彩からなる画風が特徴だそうです。
実際にテーブルにもカラフルな顔料が並べられていました。
さあ、描こう!と皆で筆をとったのですが、いざ真っ白な平皿を目の前に何でも好きなものを描いて良いとなると何を描けば良いのか分からなくなってしまうもので。私自身もこれを描こうというのを特に決めていなかったので、一旦スマホを手に何を描くか模索するところから開始しました。
15分ほど経った辺りでようやくそれぞれお皿に筆を走らせ始めたのですが、これがとても難しい。画用紙に絵の具で絵を描くような感覚を想像していたのですが、その感覚で描こうと思っても全く思い通りにいかないのです。1回筆を走らせただけでは綺麗に色が出なかったり、塗りつぶしたいと思っても上手く顔料が広がらず一部だけ盛り上がってしまったり。
また、絵付けしているときの顔料が茶色でも、焼き上がったときは緑色になるといった、特殊な顔料もあるので、仕上がりの配色を頭の中でイメージしながら描くというなかなか難易度の高い体験でした。
一発勝負ではなく、ティッシュペーパーで消して書き直せることが唯一の救いでした笑
試行錯誤しながらもなんとかコツを掴んで仕上がってきたのですが、面白いことに、なぜかみんな青色の顔料ばかりを使ったデザインにしていました。途中で何度か顔をあげてチームメンバーの様子を伺うとみんな青色。もちろん(?)私も青色。気づけばSansanのブランドカラーの1つである青色に引っ張られていました。無意識に青をチョイスするあたりが、みんなSansanのデザイナーなんだなと思いました。
あっという間に1時間が経過し、絵付け体験が終了。難しくはありましたが、なかなか味のある作品ができたのではないかなと。
午後にはろくろ体験があるため、一度お昼休憩をとろうと一階に降りたのですが、並べられている九谷焼の絵付けを見て、改めてその美しさに感動したことを覚えています。実際に自分達で体験したからこそ分かる職人技の凄さでした。
前編はここまでになります。
この後はいよいよろくろ体験に挑戦していきます!思いがけず、とても素敵なカフェと絶品ビーフシチューにも出会いました。
下記リンクより後編もぜひご覧ください!
ものづくりツアー 他チームの様子はこちら
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