イタリアのアートフェアで見た南北の差。
初めまして。イタリアで彫刻をしている杉本ユニです。
今回はイタリア国内で最大級のアートフェア、Artissimaに行ってきた事を書きます。
ボクがアートフェアに行く時はもちろん現在イタリアのギャラリーがどんな作品を取り扱ってるのか、それと作品が売れる瞬間、ギャラリストとコレクターがどんな会話をして感情を盛り上げているのかを見に行っています。
ボクはずっと建築業界にいたのでアート業界はもちろん、そこに関わる人達と話したことは日本にいる時はありませんでした。だから日本、海外を問わず新参者のボクはアートフェアは新鮮で刺激的な場所です。
◼️今でも古典的表現が大好き。
今まで6回ほどイタリア各地のアートフェアには足を運んでいます。基本的にボクが見たアートフェアでは平面作品が非常に多いです。そして意外と古典的な表現の写実的な絵画も売っていたりとバリバリなコンテンポラリーアートって感じではないんです。
ボクは周りの人達から聞くところによるとイタリアは今でも古典的な彫刻が大好きなようです。確かにボクが住んでるトスカーナのギャラリーは趣味が渋いです。マリノ・マリーニ、アルトゥーロ・マルティーニの影響を感じる作品を多く見ることが出来ます。ボクも具象彫刻が大好きなので個人的には本当に癒されます。ボクが住んでる地域は大理石やブロンズの工房がたくさんあり彼らはイタリア彫刻に誇りを持っています。
◼️北と南で大きい地域差。
イタリア国内ではよく北イタリアと南イタリアは分断している、と言われています。ボクは普段、南イタリアに属する地域にいるので南側の意見を聞くことになるんですが彼らは北イタリアの人間を快く思っていません。ボクの周りの人間(イタリア 在住の日本人も)は北の人間をスノッブ、イタリア語でインテリ気取り、キザな野郎のような言葉で呼んでいます。
逆に北イタリア人もボクには「イタリアの足を引っ張ってるのは南側の人間。」と結構辛辣な事を言ってきます。
正直、ボクはコンペで作品の設営の準備などで北イタリアと南イタリアのどちらにも行って現地の人間と接した印象は北イタリアの人間の方が日本人に近かったです。
仕事に対する責任感と精度が全然違います。南イタリアは良くも悪くもフレンドリー。仕事の詳細を詰めておかないと放置されるのはしばしば。
逆に北イタリアでは南イタリア で感じたような悪い印象は全くありません。役割をしっかり果たしてくれますし仕事している雰囲気がとても好感が持てます。日本で働いていた時の感覚で物事が運ぶので安心出来ます。
◼️北側はアートフェアもマジでしっかりオーガナイズされている。
ボクにとってArtissimaが初めての北イタリアのアートフェアでした。
そしてすぐに今までアートフェアと違う事が分かりました。
新参者の印象でアレなんですが「ホントにコンテンポラリーアートが売ってる!」と思いました。笑
これがボクの正直な感想でした。ボクが今まで見てきたアートフェアは田舎のフェアだったんでしょう。Artissimaと全然違うモノだと感じました。英語が飛び交い梱包された作品を運ぶ人達がたくさんいました。そしてVIP限定のゾーン。
ボクが今まで見たアートフェアでは結構みんな暇そうでスマホ見ながらゴロゴロしていました。
しかしArtissimaのギャラリーは作品の営業に真剣です。コンセプチュアルな作品も必死でコレクターに説明していて「違うなぁ。」と痛感しました。
これぞまさにアート市場だ・・・
バカみたいにずっと思っていました。ちなみにボクの地域のギャラリスト達は「最近全く作品が売れない。昔は云々、、、」とボクに現在の愚痴を聞かせてくるのです。(汗)
なんとかイタリア北上を目指そうと心に固く決心した今回のアートフェア訪問でした。
この最後の画像の作品は本物のパンです。匂いが本物でした。売れたのかなぁ?