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コンペの話。どんな勝負も勝ち切らないと意味がない。
初めまして。イタリアで彫刻をしているスギモトユニです。ボクは12月6日にイタリア北部の街、ヴィツェンツァという街で行われたアートのコンペティションでファイナリストに選ばれていたので授賞式に参加にしに行きました。
会場は第二次世界大戦時に地下病棟と防空壕を兼ねたBunker di Caldognoという施設で行われました。会場には展示を許されたアーティストの作品のみが並びました。その中から9人のファイナリストが選ばれます。ボクはその9人の1人でした。
ヴィツェンツァには作品の搬入と展示のために一度来ているのですがボクが住んでるカラーラの街からは遠い。カラーラを朝5時に出発して会場に到着したのは15時。正直、めんどくさかった。
それでもヴィツェンツァに来たのは一位になった人間に与えられる特典です。今回のコンペティションはファイナリストからさらに選出された2名に来年に個展を行う権利と場所を提供されるのです。ボクはそれがどうしても欲しかったので約7時間もかけて授賞式に参加しました。
結果から言うと上位2名に選ばれませんでした。
普通に悔しい。
今まで何度もイタリアで入賞した経験はあります。そして授賞式にはいつも黄色人手はボク1人で否応にも目立ってしまうのももう慣れました。そしていつも内心こう思っています。
「白人供、全員ボコボコにしてやる・・・。」
実際にボコボコにしないけどアート的にもボコボコにする事は叶わず。選ばれたの2人とも女性だし・・・。一応、ファイナリストという事とアジア人という事で何か色々言われたけど忘れました。格闘技経験が長く闘争心が強いので顔が笑ってないのはいつもボクだけで「なんで負けたんだ・・・畜生。」とずっと考えていました。
「なんで負けたのに笑うんだよ、あほんだら・・・」
なんてイタリア人のパーティームードの中ガチで思ってます。
やっぱり格闘技の良いところは勝っても負けても相手と自分が直接、攻撃出来る事だなぁと思いました。相手に負けました、と直接ギブアップが取れる。しかしアートは全部判定決着。ファイナリストの作品は殆どトントンな感じだったのでボクと上位2名と何が違うんだろう・・・と色々思案を巡らしました。
そして色々喋ってて上位2名の女性の共通点を見えてきて少し残念な気分になりました。
・主催者と付き合いが長く仲良し。
・主催者の各地で開催してるアートイベントの運営の手伝いをしている。
・2人とも未婚。
こういうのよくあるなぁと日本の芸大での記憶を思い出しました。教授が審査員してる展覧会で大体、教授に可愛がられてる女子が入賞しててキモいなあ、、と当時から思ってたけど今回もそういう感じなのかな、と思ってしまいました。
でも上位2名の2人はボクにも非常に親切だし良い人達です。
という感じで受賞式が終わりボクがゲストハウスに帰ろうとしたら主催者にパーティーがあるよ、と引き止められました。
ボク「お金ないし帰りますわ、それにアナタのキュレーションしてる来週からの展覧会でボクの作品も選ばれてて準備で忙しいし・・・帰りのバス無くなるしお金ないし。」
主催者「イヤイヤ、ファイナリストはみんな飲食タダだから!帰りの車も用意するし!生ハムのブロックあげるから!」
ボク「じゃあいる。」
結局食べ物で釣られて残ることにしました。ボク、アホかなって感じですね。
ボクはゴリゴリの格闘技と建築現場で育った人間なので正直、アート世界にいる人間と全然合わないんですよね(笑)
ちゃんと喋れるようにならないといけないのは分かってるんだけど服装とか髪型とか仕草見てたら「うーん、友達にはいないタイプで苦手だな。」本能的に避けてしまう。
ボクの友達は殆ど肉体労働者でガタイ良くて耳が変形してて刺青入ってる感じで真逆過ぎる。
そんな感じで生ハムとチーズとワインを日本じゃ考えられないくらい食べてお土産の生ハムをもらって帰りながら今、この文章を書いています。
でも真面目な話、本当にボクはどんなコンペにも勝ち切らないといけない。一位を取らないと意味ないんです。知名度と人脈が他人より弱い段階だと一位で個展の権利というのはボクは絶対欲しかった。いつもコンペでは一位じゃない。賞金もらって終わりとかそんな感じで後の展開が発生しにくい現状をなんとかしないといけない。
だからこそ今まで以上にたくさんの事をかけて作品を作らないといけない。そしてボクという人間の存在を世の中に認めて貰わないとこれから制作を続けらない。
どう考えたってお前が1番だよって思わせる気合いとインパクトが必要。
周りとトントンじゃ生きてる意味ないんだよ、と改めて決意した。
格闘技は勝っても負けてもスッキリするし相手をリスペクト出来るけどアートは自分以外、敵だよなぁ。
あぁ、格闘技は趣味だからスッキリしてるのかも。