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作品の輸送と協力される事へのリスク。

初めまして。イタリアで彫刻をしているスギモトユニです。

私は12月19日からイタリアのプラートで始まる展覧会の準備のためにプラートという街に行ってきました。

こういう展覧会の形式を何と言うんでしょうか?ボクは美術で育った人間ではないので分からないんですが最初に作品の選考があって合格者だけが展覧会に作品を出品できます。コンペティションみたいなもんです。それに選ばれて作品を運びに行きました。

最初はいつもの運送屋に作品の発送を注文しようと思っていたんですが今回の作品は通常のボクの作品より大きく180cmの高さがありました。輸送費は保護用の箱をボクが用意しても約400ユーロもかかると聞いて唖然としていました。

この作品の運送問題はホント首を絞めてきます、、、。

ボクは性格的に他人に何かお願い事をするのが苦手な人間だけど背に腹はかえられぬ、という事で周りの友人(と思われる人間)に声をかけて一人、協力者を捕まえる事が出来ました。その協力者は会場のあるプラートの郊外に実家があり週末に帰るという事でボクは作品と共に同乗させてもらいました。

前日に作品を車に積載出来るよう分解して梱包して準備は万端で当日を迎えました。その子はしっかり時間通りに来たので「イタリア人なのに珍しい事もあるんだなぁ。」と思ったのも一瞬でした。

「私、これから歯医者行かないといけないの。予約取ってないからいつ終わるかは分からないけどすぐ終わる手術だから心配しないでね。」

「お、、おう。」

こっちは作品を運んでもらうし感謝しかないんだけど徐々に不安になりながらドライブは始まりました。

ボクは日本にいる時からそうですが話すのがあまり好きではありません。まして外国人の女子と二人で片道2時間も移動する機会はそんなに多くなく最初から激しいストレスに襲われました。

車内で円滑な会話のためにボクは電子辞書を握りしめて助席で待機しました。ボクは2時間もダンマリを決め込めるほど精神的タフさを持っていません。

でもまぁ、普通に車の窓から見える景色や相手の住む街の話を聞いてるだけで不思議と時間は消費されたので助かりました。

そして一度、歯医者のために高速を降りて歯医者の待合室で手術が無事終わる事を祈って待機。問題なく手術も終わってプラートの会場へ向けて車を走らせました。

その後はずっと手術が終わって気軽になったのかその子の話を聞かされていました。ボクが日本にいる時は出会う事はなかったのですがその子は敬虔なクリスチャンだったんです。以前からその事は知っていたけど一対一で話す機会はなかったのでクリスチャンだと何してるのか、教会でミサとかしてるの?とか兄弟愛って何?とか途方もなく初歩的な質問で意外と話は盛り上がってくれました。

日本の南無阿弥陀仏とは全く異なるキリスト世界で教会に通ってその子は何を得たいのか、少し見えて有益な時間でした。何となくみんな兄弟愛を持って分け合って幸せになりましょう、的な事を言っていたような気がしました、、、、。

そんなこんなでプラートの会場へ無事到着。作品を会場に持って行った後、組み立て作業でボクは会場に残るので協力者のイタリア人は実家に帰って行きました。

別れ際にハグをしてくるんですがボクは同性、異性に限らずハグが大の苦手なんですが我慢しました。

「キミの展覧会の成功を祈ってるよ。」

みたいな事をハグされながら言われたけどボクはかなり棒立ちで「し、、しぃ。」というのが限界でした。

いつもの事なんだけどボクの嫌そうな感じと微妙な逃げ腰で変な空気になります。ボクの顔も引きつってるし「早く帰って。」っていう雰囲気が出てるのをイタリア人も感じていると思います。

みんなボクに凄い優しいし感謝してるけどホント、イタリアのハグと頬っぺたをお互いに接触させる挨拶がマジで苦手なんだよなぁ、、、、。

平気で日本人の身体的距離感を破壊してくるイタリア人達。これがイタリア人といるリスクだなぁ、、、。

喜んでハグしてる日本人、全員スケベ野郎なんじゃないのか。

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