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刻まれた年月の「重み」
本日は友人が運営しているギャラリーneo_/Senshuで開催中の、日本画家・石村雅幸氏と彫刻家・安藤榮作氏の二人展「幾千万の魂跡」を観に行った。
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入口のドアを開けると檜の香りに迎えられる。
展示室内は撮影可能なので、何枚か撮らせていただいた。
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絵画・彫刻ともに、木をモチーフにしている。
木はそれ自体が一つの生命体であり、さらにそこに無数の生物の命が集まり、形を成して、朽ち、また次の命を育てていく、生命のサイクルが営まれる場である。
デジタル技術は用いずに作家の手によって無数に描き込まれ、彫り込まれて目の前に現れた作品は、日頃スマホで見ているデジタルデータには無い「重み」をもっていた。
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私が本当に撮りたいものが見えてきた気がした。Instagramを覗くたびにどこか遠くの撮影スポットに出かけたくなるけど、では自分はその場所に行って、目の前の被写体に何を感じ取ろうとしているのか?そう自問したら答えは出ず、今までの自分の考えの浅さに気づいた。
これだから私の活動に作品鑑賞は欠かせない。
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会場に安藤氏の著者(エッセイ集)のサンプルがあったので手に取ってみたところ、最初のページを開いてすぐに、その内容が私の中に入ってくるのを感じたので迷わず購入。
最初の一節「創作」から一部を引用したい。
最初のうちは順調に進むのだが、そのうち、遥かなたに高い峰が見え始める。
(中略)
多くの作家がその峰を前にすると恐れをなして、そのふもとで「のようなもの」を作ってしまう。
そういう作品にはごまかしやあきらめの空気が漂う。
(中略)
たった一人、ただの人になり、自分の感覚と経験を頼りに、ひたすら登り続けることでしか、越える道はない。最初強烈な息切れがやってくる。それでも登り続けるとそのうち自分の残した手跡から自分が生きてきたいやらしさや心の弱さが見えてくる。あきらめの誘惑がしのび寄る。苦しくなると自分の作品をよく見ようと、目にフィルターをかける自分が現れる。
しかし幾度も試され、打ちのめされ、へとへとになってその峰を越えると、そこには神様の微笑が待っている。
私もそんな道を歩もうと思う。