
クロスマートに入社して1年経った振り返り
1.自己紹介とこの記事を書くきっかけ
はじめまして。クロスマートの杉原です。
コーポレートサイト用の宣材写真とともに失礼します。

滋賀県出身で関西で学生時代をすごし、就職を機に上京しました。
誠実さ・真面目さ・まめさを評価してもらうことが多いです。
半年前に未経験でセールスからPM(プロダクトマネージャー)に役割が変わった駆け出しPMです。
ストレングス・ファインダーでは
調和性・責任感・公平性・成長促進・ポジティブ
というおおよそスタートアップにいなさそうな強みの資質を持っています。

モブみが強い一方で非常に自分らしいなと感じるラインナップでした。
より細かい自己紹介はWantedlyにあるので興味のある方はそちらを見て頂けますと。
クロスマート社にJoinして1年が経過したので(まだ1年か)
振り返りの意味も込めてnoteに挑戦してみようと思いました。
ちなみに2021年2月22日、クロスマート社はシリーズAで2.7億円調達しました。(近くで見てたからこそわかる経営陣の頑張りの結果です)こちらの記事もよければ見ていってください。
想定読者
■はじめましての方:
クロスマートがどんな領域で戦っている会社か伝われば嬉しいです。
さらにいうとクロスマートを応援してくれるとなお嬉しいです。
■既に杉原と面識のある方:
「お、今こんなことしてるんだ」「杉原頑張ってんじゃん」と伝わればいいなあ、と思ってます。久々に会話するきっかけになればいいなと。
■駆け出しPMで情報収集しにきたらこの記事に出会った方:
なにからすればいいの?とかどんなふうにやっていったの?というきっかけの一つになれば嬉しいです。あんまり具体的にこんなふうにやってるよ!って記事見かけなかったりするので・・・
2.転職を考えた理由

新卒でSpeeeというWEBベンチャーに入社し、創業事業であるSEO事業部で2年間新規の法人営業、その後2年間営業企画を経て、退職しました。
辞めて1年経った今でもSpeeeの人にはめちゃめちゃ感謝してまして、新卒で入ってよかったなあ、と思う機会が今でも多くあります。
人事制度、組織の雰囲気を含め、「上場を目指すベンチャーが打つべき施策やその肌感覚」を一社員として中から体感することが出来た経験は貴重だなあと感じます。
また、辞めた後もコミュニケーション取らせてもらう方も多く、Speee出身者で起業される方、スタートアップ界隈で名前を耳にする方も増えてきて、Speeeマフィア(Speeeコミュニティ)に身を置けたのはラッキーこの上ないなと感じています。※今回の調達で数年ぶりに会話させて頂く方もいました。Speeeコミュニティバンザイ。
そんな周りの環境に恵まれている中で転職を考え始めたのは、
「あれ、これでよかったんだっけ?」
と思うシーンが日に日に増えたことでした。
組織、会社へのロイヤリティは非常に高く、やりたい職種・恵まれた上司という状況だったのですが、SEOという事業ドメインにずっとい続けることへの危機感、が一番最大の理由でした。
当時の自分の実力とこれまでの成長曲線を考えた時に、マーケットで自分の力を試そう、と考えました。
3.クロスマートを選んだ理由

転職活動はエージェントを一切使わず、リファラルと直応募で選考を進めていきました。事業×人×待遇みたいな基準でスタートアップ〜アーリーベンチャー中心に10社弱くらい話をさせて頂きました。(中には上場ベンチャーもありましたが)
当時「既得権益をテクノロジーで打破していく」ということに腹落ち感を持っていて、業界規模が大きく負も大きい金融業界の、Fintechベンチャーを中心に見ようとしてました。

最終的にBASE、クロスマートの2社で迷い、ご縁のあったクロスマートに入社を決めました。このあたりの詳細はこちらに。
クロスマートにであったきっかけは尊敬する起業家の結婚式の二次会で初めてお会いした方に紹介された「Spready」というサービスを通じて、クロスマート代表の寺田さんに出会うという珍しい経由でのご縁でした。(お会いした初日にクロスマートにお誘い頂いて、最初は胡散臭い人だなという印象しかなかったですが、今はとっても素敵な社長です。)
より生々しい転職話が聞きたい場合はぜひオンラインでもオフラインでも茶をしばきましょう。
4.クロスマートってどんな会社?

クロスマートにはXTechという親会社がいます。
XTechはざっくりいうと新規事業・M&A・ベンチャー投資を実施する会社で親会社も出来て3年目のベンチャー企業です。(すでにグループ400名、グループ売上80億ですがw)
その中でクロスマートは新規事業の立ち位置に当たり、食品流通のDXを推進するスタートアップです。親会社がいるとはいえ外部の資金調達も実施するため、親会社は株主的な側面が強いです。
「外食系のスタートアップで働いている」と説明すると約98%の人から「飲食店向けのサービス?」と言われるのですが、メインターゲットは飲食店ではなく、飲食店の使う食材の仕入先である「食品卸」向けのサービスです。
日本全国に食品卸は70,000事業所あると言われていて、令和のこの時代でも発注方法の7~8割はFAXや電話で行われている非常にレガシーな業界です。
とある一部上場の大手酒卸と商談した際に「1日に10,000枚のFAXが来てそれを30人の受注スタッフで回している」「小部屋で一日中留守番電話を聞きながらシステムに数量を入力する役割の人がいる」など令和とは思えないアナログな業務に驚きを隠せませんでした。

そんなアナログ極まりない卸の受発注現場を効率化するサービス、
飲食店がLINE もしくは 指定のFAX用紙を使うことで、受注側の卸売業者がデータで受注できるサービス、「クロスオーダー」を主力事業としているのがクロスマート社です。

またLINEで発注する土台を活用し、現状卸売業者が紙で作成・配布しているチラシをオンラインで作成し、販促のできるサービスもリリースし、こちらも堅調に数字が伸びている状況です。

この他にも近日中に新規サービスのリリースも予定しており、食材流通に関わる領域のサービスを続々展開している会社です。
5.クロスマートで何しているの?
これは前半と、後半で大きく変わります。
振り返りも踏まえながらやってきたことを書いてみます。
5-1. セールス時代(2020/02~07)
入社した当初の期待役割はフィールドセールスとして売上のトップラインを伸ばすことでした。当時6人目の正社員、インターン生が約20名の規模の組織でしたが、アポ獲得した案件がどこにもまとまっておらずSlackに散在している、ヒアリング項目も言語化されておらずバラバラ、トップセールスの営業音声も個々人で保有しているのみ ととにかく仕組みがない状況だったので、ナレッジや情報を集約し、アクションをするための土台を作っていったのが最初の仕事でした。
またとにかく最初は信頼残高を積むことがとにかく重要だと考えていたので、がむしゃらに2年ぶりの営業活動を頑張り、(商材の販売難易度の違いなどもありましたが)入社1ヶ月のタイミングで4件の成約を頂くことができました。当初の顧客数はまだ1桁だったことを考えると初速はなかなかよかったのではなかったかと思います。
その後コロナの影響もあり、訪問不可の流れ、リード数の不振などが顕在課題になり、インサイドセールスよりの仕事の比重を高めるようになりました。営業用の動画を作ったり
リスティング用のLPを作ったりしました。
フィールドセールス時代は、自分より社歴の若いメンバー中心の組織で、またSpeee時代に培ったアセットがそのまま利用できたので、比較的うまくやることができて、言葉を選ばずに言うと天狗になってました。
インサイドセールスに役割が変わったあたりから徐々にやったことのない領域や、ステークホルダーが多岐にわたる機会も増えるようになり、うまく進まない領域も増えてきたことを覚えています。

特に、リスティングLPに関しては、現在公開されているものの前に、割と自信をもって作った割に、結果としてあまりよいアウトプットを出せず、協力してくれた方を大いに振り回してしまった反省が心に刻まれています。(しかもそのとき天狗だったので、「プロセスを丁寧に踏んだんだからいいだろ」とよくない傲慢さが出ていたことも覚えています。)
作り直しの時めちゃめちゃ心痛かったなあ・・・。ここに供養しておきます。
5-2. プロダクトマネージャーへの転換期(2020/07~10)
FS→ISと役割を移す中で、とはいえ徐々に顧客数が増えてきたので次はCS領域を少しずつやっていこう、となったのがちょうど2020年の6月頃だったのですが、その頃、「開発生産性が低い」と開発体制が問題提起され始めました。クロスマート社の開発体制は親会社・グループ会社から出向で参画頂いているメンバーが多いこともあってか、小規模の組織にも関わらずビジネスサイドと開発サイド間での分断がありました。具体的にはビジネスサイドでの要望を開発サイドに渡したあと、要件定義〜仕様作成〜実装までを全て開発サイドが実施することで開発優先度がビジネスサイドが望んだものと違っていたり、実装された内容がやや要望とずれたものになっていたりしました。
この時「ポテンシャルでよければ、PMやりたいです」と手を挙げたのがPM就任のきっかけでした。この時の魂胆は「おそらくビジネスサイドのメンバーの中では適正はあるはずだし、仮にうまくやれずに潰れても開発のことがわかるCSは役立つから意味があるだろう」とやや消極的な打算もありました。
結果として最初の2~3ヶ月は結構しんどく、割と無理ゲーをやってる印象が強かったです。開発メンバーとの会話はそもそも単語からわからないことも多く(パディング?モーダル?非同期処理?なにそれ?)、当初大量にストックされていた要望の仕様を作成しようとしましたが、やり方が分からず、どこまで詰めればいいのかもわからず、開発メンバーに工数見積を依頼するも「期日は仕様次第なので、仕様が詰まっていない以上わからないです」という言葉を幾度となく言われてしょんぼりし、仕様作成後すぐ実装着手できるかと思えば、「デザインないと着手できないですね」と自分の予想にないスケジュールが発生し、思ったとおりにいかないことだらけでした。
一方で開発体制の立て直しの為に親会社XTechの西條さんの力を借りることが出来、週一でQA(通称西條さんQA)を実施していたのですが、開発スケジュールを全くコントロールできていない中で週一のQAが来るのが辛く、木曜日が憂鬱でした。
2020年7月当時のFB
期待を込めての側面もあったかと思いますがかなりストレートにFB頂いてました。

振り返ると、このときは、なんの知見もないくせに、全部自分でやらなければならない謎のプレッシャーがあり、周りに頼ることができなかったことが諸悪の根源だったと思います。
PdMになったばかりの頃は、自分が全方位で守って、4番バッターでホームランを打たなければならないという謎の責任を背負ってしまっていた。今思うのは、自分を含めた各メンバーができないことをさらけ出し、チーム全員で守り、攻めていくためにはどうすれば良いかを考えることの方が限りなく大切だ。
— 奥原拓也 / クラシルPdM (@okutaku0507) January 5, 2021
PMは自分のプロダクト(プロジェクト)の意義の証明責任や説明責任を持たなければならないけど、必ずしも1人で全て背負い込む必要はなく、他チームに異なる視点の意見をもらったりしていい。むしろそうすべき。でもだからといって「あいつが言ったから」と他責にしてもいけない。ここのバランス大事。
— 久津佑介(HisatsuYusuke) / プロダクトマネージャー (@Nunerm) January 4, 2021
今でも仕様を詰めるところはあまり得意ではなく、ユーザーフローと要件定義はせめてしっかりやって、仕様はむしろ開発メンバーに依頼することが増えましたがそういった割り切りができるようになったのも「PMが全部やる必要はない」という割り切りができるようになったからだと感じます。
あくまでいいものを作ることがゴールで、チームでいいアウトプットを出す、ということを意図的に意識できるようになってからは少しずつ変わった気がします。あとは本当にチームの優秀さに助けられています。何度周りに頼りすぎかと思ったことか。
2020年11月頃のFB


5-3. 今プロダクトマネージャーとしてどんな感じでやってるか(2020/11~)
・ユーザーフローの意識
とにかくユーザーフローを意識する、言語化し線で書くことで漏れが見つかる
・ユーザーヒアリング&観察
可能な限り現場に足を運んで観察する、質問する。ユーザー起点でしかいいプロダクトは作れない
直近では特にこの2点を意識して開発するようにしています。
ユーザーフローの意識
とくにユーザーフローはデザイナーに本当に口酸っぱく言っていただき(聞き分け悪くてごめんなさい)、UXマップと読んでいる、今のフローと導入後のフローをまとめた図を最初に書くようにしています。


その後要件、ワイヤーを書いてデザイナーに共有し、一緒に仕様詰めを手伝ってもらいます。連携前はよくてこのくらいの粒度。Figmaでやります。

・ユーザーヒアリング&観察
受発注のサービスは基本卸の深夜の受注作業のタイミングで利用されます。なので提案中顧客や既存顧客に許可を得て、深夜(だいたい22:00~25:00くらい)の受注作業に見学にいっています。そんなにめちゃめちゃ頻度が高いわけではなく、まだ月1いけばいいくらいの頻度ですが。

想定していない使われ方や、IT業界に馴染みの深い人であれば一瞬でできてしまうことをアナログにやっていたりするので、自社サービス以外で解決できる課題も見つかったりします。
また、直近ようやくできるようになったことが、プロトタイプ時点でのユーザーテストです。デザイン時点での機能をユーザーに最低限の説明のみで触ってもらい、どこで躓くかを可視化して改修に役立てるようにしています。

これは本当にやってよかったと感じることが多く、結構初手の仮説は外れるので、良かれと思って付けた機能が余計にユーザーを惑わせたり、逆にわかりづらいかなと思ってテストしたところ案の定わかりづらくて躓いたりと明確に課題発見に役立っています。
そうして仕様がつまったものをエンジニアに共有し、実装・QAと実施していきます。全てが全てこのプロセスを踏むわけでは全然ないですがざっくりこんな感じです。

6.これから何をしていきたいか
PMとしては正直未だ1~2合目くらいの感覚ですが、それでも優秀すぎるチームに恵まれたおかげでずいぶん開発のリズムを掴むこと自体はできてきたように感じます。
仕事納め。クロスマート入社して、天狗になって、打ちひしがれて、チームに支えられたらこそなんとかやってこれた1年だったなあ、と。来年はもっともっと成長してチームを先導できるように頑張ろう。
— Sugihara | クロスマート (@sugihara_xmart) December 28, 2020
とはいえ、環境依存でしかないし、出来てないこともたくさんあるので今後は下記あたりを頑張っていきたいです。
・個人としてのPM力の向上
要件定義、仕様作成、施策優先度策定の透明化
開発メンバーをわくわくさせるような企画の立案
PMをネタに1時間話せるくらいの体系だったなにかの確立
・引き算の開発の実施
徐々に機能が充足していくなかで不要機能を落としてシンプルさ、を保つ
何を捨てるかを決める仕組みづくり
・3年後、5年後のプロダクトの解像度の向上
まだ1年先が精一杯。半年先までしか解像度は高くない。
こうあったら素敵だよね、この世界観を実現させたいよね、の手触り感のあるビジョンをつくる
こんな形でまだまだ途上のチームではありますが、やりたいことに対して手が足りなくなってきた状況です。クロスマートに興味のある方はぜひ下記覗いてみてください。
最後に、特に駆け出しPMの方へ
自分語りがすごく長くなってしまいましたが、ここまでご覧いただきありがとうございます。振り返ると天狗になって、打ちひしがれて、ようやく少しずつリズムを掴み出せた1年でした。
中でも個人的にはPM駆け出し期になにをどうインプットすべきか、が本当にわからず困っていたのであの頃の自分にアドバイスするなら、の観点でおすすめなツールやコミュニティを紹介して締めたいと思います。
・pmconf2020
Twitterきっかけで運営に参加させて頂きましたが、ここの登壇資料はすごく勉強になりました。最先端を走る人たちの試行錯誤のエッセンスが詰まってるのでとてもおすすめです。
・pmconf特集のmeety
カジュアル面談プラットフォーム「Meety」のpmconf特集。これでめちゃめちゃ登壇者の方に自社の悩みぶつけてました(おそらくサービス的には設計外の使われ方な気がする)ここで最前線のPMの方の働き方の基準に触れられたのはすごく貴重だったなあ
・カイゼン・ジャーニー
書籍を読むのが絶望的に苦手な杉原でもすっと読めた本。一人のカイゼンがチームを巻き込み、サクセスしていく様をストーリー形式で記載したわかりやすい本です。
・プロダクトマネジメントの基本を学ぼう
SNSやネット記事をさまよう中でたどり着いた記事。Tably及川さん、小城さんやUdemyで講義もしている曽根原さんも関わっている記事。
2021年には同メンバーで書籍もでるらしく、こちらもおそらくバイブルになりそうです。とりあえず予約しました。
・プロダクト筋トレSlack
なんだかんだ一番身になってるのはこれかもしれないです。2021年2月22日段階で370名近くのPM(およびPM志望)の人があつまるSlackコミュニティ。日頃のもやもやを投稿すると他社のPMの方が見解投げてくれたり、場合によっては手を動かしてくださるケースも。勉強会や輪読会も行われてる素敵なコミュニティ。
こんなところでしょうか。
少しでも駆け出しPMの人の役に立てれば幸いです。
さあ、引き続きがんばっていきましょう!