将来の暮らしを真剣に考えてみる ③
前回(①・②)までに、私の故郷大分県日田市上津江町と県庁所在地である大分市が抱える問題について見て来ました。
今回は、全国の自治体が抱える問題について見て行きたいと思います。
平成の大合併
「平成の大合併」とは、政府主導による自治体の合併を指します。
平成11年(1999年)〜同22年(2010年)にかけて、行財政基盤の弱い市町村を合併させて行政の効率化を目指す目的で、自治体の総数をおよそ3200からおよそ1700に、ほぼ半減しました。
合併特例債
「合併特例債」とは、合併した市町村が新しいまちづくりに必要な事業に対する財源として、借り入れする事ができる地方債(借金)のことです。
事業費の95%まで借り入れできて、毎年度返済する元利償還金の70%が普通交付税によって措置されます。
活用期間は、合併初年度を含む20カ年度。
(分かりやすく説明すると、まちづくりの為の事業の95%を借金でやる事ができて、返済の70%を国が払ってくれる制度を、合併後、最大20年間利用できるという制度です)
そして今、合併から20年が過ぎて、国が普通交付税で肩代わりしてくれていた借金の払いが無くなり、自治体が自分の力だけで利子を含めた借金を返さねばならない状況になっています。
自治体の「財政非常事態宣言」
平成の大合併以降、昨年までに全国で9つの自治体が「財政非常事態宣言」を発出していて、その中には東京都日野市や大阪府阪南市など大都市圏の自治体もあります。
(下は財政非常事態宣言に関するネット記事です)
https://www.j-cast.com/2023/10/29471853.html?p=all
個別自治体の財政状況
(東京都日野市)
東京都内の自治体である日野市でさえ税金収入がほぼ横ばいであるのに対して、人件費や公債費(借金の返済)等を含めた必要な予算額が収入の倍以上となり、基金(自治体の貯金)の取り崩しや、地方債(新たな借金)の発行でしのいでいます。
(1番新しく2023年に財政非常事態を宣言した山梨県市川三郷町)
合併特例債の借金返済の為に国から貰っていた普通交付税が段階的に減らされて行くのに対して(上のグラフ)税金収入は年々減り続けている(下のグラフ)状況。
「財政非常事態宣言」をするに至った要因の一つとして、市川三郷市役所は
『合併に際し本町は約98.1億円の合併特例債が発行可能とされました。令和4年度までに97.6億円を発行しており、その償還(借金返済)にかかる公債費の増加が経常収支比率悪化の要因の一つとなっています』
と分析しています。
現在までに「財政非常事態宣言」をした自治体には・・・
◯国からの普通交付税が年々減らされ、数年前から赤字財政に転落しているにもかかわらず、抜本的な行財政改革が出来なかった(やらなかった)。
◯「財政非常事態宣言」をするまで、住民に対して厳しい財政状況をちゃんと説明する努力をしてこなかった。
・・・という共通点があり、「財政非常事態宣言」をした後の住民説明会は、住民の激しい追求で紛糾しています。
今、自治体(政治家)に求められるもの
これまでに、『将来の暮らしを真剣に考えてみる①と②』で、少子高齢化と人口減少による税収の減少から「行財政改革の必要性」を説いて来ました。
しかし、今回③で自治体の借金の返済額が増えて行く状況も考えなければならない事が分かりました。
毎年、自治体の広報誌(市報等)に財政状況が掲載されますが、私の感覚では、それで正確な状況を把握して危機感を持つ住民は少ないのではないでしょうか。
やはり、政治家(首長と議員)が、それぞれの立場で・・・
●財政状況の詳細を積極的に住民に明らかにする(議会での真正面からの質疑応答❗️)
●財政状況に合った行財政改革の道筋を明確に示す(今の政治家・住民ともに痛みの伴う財源捻出と政策の実施❗️)
の2つが必要不可欠だと思います。
そして、それをしてこなかった自治体が「財政非常事態宣言」に至った現実を、政治家(首長と議員)も住民も明日の自分事としてしっかりと肝に銘じる必要があります‼️
自分の故郷がなくならない為には、今、政治家と住民の覚悟が求められているのだと思います。