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暴力団員が身分を偽って「暴力団お断り」の施設を利用した事例

□詐欺罪における財産上の損害

日本の刑法典においては、欺罔者の欺罔行為の結果として、交付者に「財産上の損害」が生じる必要があることまでは明示されていない。
→財産上の損害をどのように定義付けるかについて、学説上争いがある。

被害者の全体財産の経済的減少を要求する立場(全体財産減少説・林など)も主張されていたが、そもそも詐欺罪は財物・利益という個別財産の移転を本質とする犯罪であり、全体財産に対す

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被害者を利用した間接正犯


□間接正犯とは直接行為者を道具のように利用して犯罪を実現した際に、単独正犯として処罰する。

 (利用者) ⇒ (被利用者) ⇒  危険
     利用行為    実行行為 

※第三者を利用する場合と、被害者を利用する場合が存在する。

□判例の検討・・・最決平成16年1月20日刑集58巻1号1頁、百選73事件

○事実概要
(ア)ホストクラブのホストであった被告人Xは、・・・被害者Yに対して

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