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【まいにち短編】#9 桃太郎がもしモモコだったら

昔々あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。

(省略)

おばあさんが持ち帰った桃の中から
まるでお人形のように目がくりくりしている女の子が生まれてきました。

名前をモモコと名付けました。
おじいさんとおばあさんは、モモコに愛情をたっぷり注ぎ、それはそれは大切に育てました。

モモコはたいそう責任感と正義感の強い女性に成長しました。
ある時、村では悪い鬼の噂が広まりました。

モモコは、おじいさんとおばあさんに言いました。
「私、鬼ヶ島へ行って、悪いことをする鬼を退治いたします」

おじいさんとおばあさんは、とても心配しました。
「あなたは女の子なのよ、そんな恐ろしいこと…」
「誰かが立ち上がらならければなりません。私が、参ります」
「でも、女の子だし、筋力も男性に劣りますよ…」
「大丈夫です。私は今日まで剣術を習い、鬼にも負けない力を身につけました」

そういって、モモコは旅立ちました。

「お姉さん、お姉さん、どこに行くのですか?」
途中で、犬が話しかけてきました。
「悪い鬼を退治するために鬼ヶ島に向かっております」
「そりゃ大変なことだ。僕が代わりに鬼を退治してあげるよ」

モモコは少し悩みましたが…
「いえ、結構です。あなたの魂胆は、私に気に入られるためでしょう?
信念がないものを仲間にはできません」

犬は図星を突かれてしまい、何も言えなくなりました。

その後も同様に猿と雉に声をかけられましたが、断りました。

鬼ヶ島では、鬼たちが近くの村からぬすんだ宝物やごちそうをならべて、酒盛りの真っ最中です。
「……よし」
モモコは鬼たちに奇襲を仕掛けます。

しかし修行の甲斐も虚しく、刀が折れてしまいました。

「どうしよう…やはり私では力が足りなかった…」

そんな時です。旅の途中でお供を断った、犬、雉、猿が
「モモコさん、僕たちを頼ってください!!」
「もう下心などありません!!」
「僕たちはただあなたの力になりたいだけなのです」
と、モモコの元に集まりました。

「あなたたち……本当にありがとう…」

「よっし、いっちょやったりまっせ!!!!」

そう言って、
犬は鬼のおしりにかみつき、猿は鬼のせなかをひっかき、雉はくちばしで鬼の目をつつきました。
モモコも力を振り絞り、折れた刀をふり回して交戦します。

やがて鬼の親分が、
「まいったぁ、まいったぁ。降参だ、助けてくれぇ」
と、手をついて謝りました。

「あなたたちがいなければ、鬼たちは倒せなかった。本当にありがとう」
モモコはそう言って、犬、雉、猿と吉備団子を分け合い一緒に食べました。

モモコは犬、雉、猿を連れ、村に帰りました。

「おじいさま、おばあさま。ただいま帰りました」
「おおモモコよ……、よくぞ無事で帰ったな…。ん?こっちの動物たちは…?」

モモコは笑顔で答えます。
「旅で見つけた、最高の宝物です!」

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