#6 子どもを「認めてあげる」ということ:ほめると子どもはダメになる
こんにちは!スガッシュです。
ビジネスガッシュ!第6回は、
榎本博明さんの「ほめると子どもはダメになる」です。
タイトルからして、とても主張がはっきりしてますよね。笑
主張がはっきりしていると、その主張に全然共感できなくても
つい手に取ってしまう人です…。
「子どもを褒めることが大事だ!自己肯定感を育てるべきだ!」とはよく教育界で言われていることですが、一方で「しつけをきちんとしないと非常識な子どもになる!」という主張もよく聞きますよね。
この本では、明確に後者寄りの主張が繰り広げられていきます。
色々と共感できる部分があったり、できなかったり・・・
私は、サッカースクールでコーチをしていた経験があり、
とても教育には関心を持っている人間です。この本を読んでみて私としては、「子どもを認めることが一番大事やろなぁ…」と考えさせられました。
親御さんや教師の方、ぜひ本書を手に取って
教育についてさらに考えを深めてみてはいかがでしょうか?
*「褒めて育てる」教育論が強調されすぎている?
今やどの教育本を手に取っても、「褒めなさい」と必ず書かれています。
褒めて育てる教育論はとても一般的なものになりました。
TVでは教育評論家も、「子どもの立場にたって褒めてあげることが、自己肯定感につながるから、たくさん褒めてあげてくださいね」と言います。
この風潮に対して、警笛を鳴らしているのが本書。
「褒める」ことの大事さが強調されすぎていて、「叱る」を否定するような空気感が生まれていないか?ということがこの本では語られていきます。
叱ることを否定するような空気感の中で、褒めて育てられた現代の子どもたちは、自己肯定感を持ってたくましく育ったか、と言われればそうではない!より傷つきやすくなっているのではないか?それが自殺や、SNSや、ゲームへの没頭に繋がっているのではないか?「やりたいことがない」若者の増加につながっているのではないか?…と本書は主張していきます。
*「褒める」を実践する欧米と日本では文化が違う
日本には、何でも欧米各国の事例を真似ようとする癖があります。
褒める教育法は、元々欧米の親が「アイラブユー」と深い愛情表現を示し、子どもをたくさん褒めるような姿が注目され、その教育法が日本に伝わったのがきっかけです、「褒める教育」は、欧米の真似なんですよね。
でも日本と欧米では、文化も価値観も異なる。だから上手くいってる欧米の事例を真似すればOK!は短絡的すぎ。しっかりと本質を見極めるべきです。
例えば、欧米では生後間もない頃から親子別室での就寝が基本。
赤ちゃんが泣いていても、あえて放っておくような文化を持つ国もあるそうです。あえて親子を切断させ、自立した大人を育てようとするのだそう。
放っておいても自分で立ち上がれるはずだ!と信じているのだそう。
そして、そんな切断生活を中和する意味で、「アイラブユー」という愛情表現がよく使われるのだそうです。親子川の字で寝る、という言葉もあるような日本とは、文化が根本的に異なります。
つまり、教育の土壌がそもそも異なっているのに、欧米の教育を表面だけ真似して、「アイラブユー」的な愛情表現の重視・「褒めることが大事だ!」と信じすぎるのは危険だ、ということですね。
*褒めれば良い?叱れば良い?
「褒める」ことの重要性が説かれる根拠の1つに、「自己肯定感を育てることができる」という発想です。褒めることで子どもに自信がつき、自己肯定感の強い子どもになるから、褒めよう!というロジック。
それでは、本当に褒めれば自己肯定感が生まれるのか?
それを本書では様々な研究や調査から検証していきますが、実は日本では、「褒めて育てる」教育法が普及しているにも関わらず、「自分はダメな人間だ」と思い込む、自己評価の低い人が増え続けていることが、ほぼ明らかになっているのです。
この結果を受けて私は、「褒めることって、残酷なことでもあるもんな~」と思いました。「褒める」ことって、誰かを評価する代わりに、誰かを評価しないことでもあるんですよね。
例えば、かけっこで1番の子は「早かったね~」と褒められることが多いです。だけど2位以下の子は、1位の子が褒められている姿を見て「自分はダメなんだ」と感じることになる。優劣・勝ち負けを決めて、誰かを評価するということは、残酷なことでもあるんです。
つまり、「褒める」とは競争社会を教えることなんですよね。
優秀な人やモテる人が称賛され、収入も上がり、
そうでない人は人並で、自信が持てなくなっていく。
そんな社会構造を教えることにもなるんです。
これを教えることは、いつかは必ず必要になること。
なぜなら競争社会で生きていくことになるのは必然だから。そんな社会で、なんとか力強く生きていかなければなりません。
だけど、あくまで「いつかは」です。
幼く心の弱い子どもたちにとって、「褒め」の残酷性は時に、
心をつぶしてしまう・自信を無くしてしまう要因になり得ます。
そんな残酷性を無視して、ただひたすら褒めればいいという教育が蔓延しているからこそ、自己肯定感の低い人たちは増えるべくして増えているのだと思います。
では一方、「叱る」はどうでしょうか?
本書では、叱ることで社会のルールや常識を教え、子どもたち本人が自力で頑張ることを促すことで、本物の自己肯定感を育てることが大事だ!それが、競争社会を生き抜く力になるんだ!とあります。
確かに、社会のルールをきちんと教えてあげることは必要。
また、自力で本物の自己肯定感を獲得するプロセスも、いつかは必要。
だけど、あくまでここでも「いつかは」です。
競争社会の厳しさを目の当たりにするには、あまりにも自己肯定の芽が出ていなくて、現実につぶれてしまう子がかなり多くいるのも事実です。
「褒める」も「叱る」も、決して否定はしていませんが、
「褒める」も「叱る」も、子どもに社会の厳しさを突き付けるハードルの高いこと。その「いつか」を見極めることが必要なのだと思っています。
*子どもを一人の人間として「認める」大切さ
私はこの本を読んで、もっともっと目を向けるべきは、
「褒める」でも「叱る」でもなく、「認める」だと思いました。
「褒める」も「叱る」も、心の弱い子どもにとってはハードルが高いんですよね。競争社会に耐えきれる強い心を育むことを忘れてはなりません。
だから、まず子どもを「認める」という考え方が重要だと思っています。
「認める」とは、子どもの意図を認める、ということです。
例えばかけっこであれば、かけっこで1番になれたから褒める、というより、何位でも「全力を尽くしたかどうか」にフォーカスして、その姿勢を認めてあげるということ。
頑張ろうとしたことを、ちゃんと認めてあげるということです。
「認める」ことで、「自分が考えることを大事にしていいんだ!」
「頑張ろうとした意図が大事なんだ!」と、子どもに感じさせることができます。身近な親や先生から、頑張ろうとしたこと・考えたことを認めてもらえる。これが、自己肯定感の最初の芽を育てることになる、と思うのです。
この「自己肯定感の芽」が出て初めて、社会を知るのが良いと思います。
例え自分より結果を出す優秀な友達がいても、自分の考え・意図は正しいものなんだ!という「芽」があるから踏ん張れる。「芽」があれば、耐性がつき、褒められても、叱られても、心をつぶさずに立ち直れるんですよね。
社会のルールを教えたり、競争社会の現実を教えるのは、
「芽」が芽生えた上でのことだと思います。
…「褒める」「叱る」「認める」。
あなたは、子どもたちにどんな関わり方をしていますか?
一度、自分の教育方法を見直すのに、読んでみてはいかがでしょうか?
以上、「ビジネスガッシュ!」第6回
「ほめると子どもはダメになる」でした!
ではまた!
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