そんとくさんとあっけらかん(損得さんと呆気羅漢)pt.1
二人は幼なじみです。
あっけらかんは、小さな街の小さなお寺の子供です。
そんとくさんは、そのお寺の隣にある小さな八百屋の娘です。
街の人はあっけらかんのお父さんを菩薩さんの様だと言い、
お母さんのことを弁天さんの様だと言います。
仏さんと神さんが一緒に住んでおられるありがたいお寺なのです。
あっけらかんにも難しい名前があるのですが、いつもあっけらかーんとしているので、
いつの間にかそう呼ばれるようになってしまいました。
名付け親はお父さんの菩薩さんでした。
「あなたはいつもあっけらかんと出来る、あっけらかんの羅漢ちゃんだね」
それを広めたのはお隣の八百屋の、損哉さんと得江さんでした。
お客さん達に「あの人はまるで菩薩さんのようだ、弁天さんのようだ」と、
買い物に来る度に言うものだから、いつの間にか街の人たちは
そう呼ぶようになりました。 {続く}