12/2 離床を阻む温度
「ん…はるか〜…?」
唇を重ねてからしばらくゆいさんの寝顔を眺めて堪能していた私の名前を、ゆいさんがまだ寝惚けた様子のくぐもった声で呼ぶ。
私はいつもの要領で「はいはい」とゆいさんの身体を抱き寄せた。
と、同時に、まだ寝惚けているとは思えない程の強い力でゆいさんが私の身体を抱き留める。驚いて顔を覗き込むとゆいさんは寝惚けながらもふにゃりと楽しそうに笑っていた。
ぴったりとくっ付いた身体からゆいさんの体温が伝わってくる。温かい、優しい温度。平熱が低めの私には、いつでもゆいさんの体温は温かかった。それはとても心地好く、まだ布団から離れるのには時間がかかりそうだった。
私は諦めてゆいさんの腕の中にすっぽりと収まることにした。そしてこの温度が、こらからもずっと傍にあって欲しいと、密かに願った。
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