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2festival
12/20 柔らかな髪
お風呂上がりのゆいさんの長い髪をドライヤーで丁寧に乾かすのが最近の習慣だった。ゆいさんがとても喜んでくれるのがかわいくて、私はドライヤーを片手にゆいさんがお風呂から上がるのを待つようになった。
「ゆいさんの髪、ふわふわ」
「癖毛だから広がるのよ」
緩やかなウェーブを描く髪を丁寧に指で梳く。綿毛のように柔らかな髪は私の直毛とは違っていつまでも触っていたかった。
「ふふ、くすぐったい」
私が念入りに髪を整えているとゆいさんが肩を揺らして笑った。
そんな些細な仕草も、私には特別な時間だ。
「ゆいさんは髪、切らないでね?」
「どうしよっかなぁ。はるかはバッサリいったものね」
付き合い始めることになった時、私は胸下まで伸ばしていた髪をバッサリと切った。心の中にずっとあった重荷を、髪と一緒に捨ててしまったのだ。
「もう伸ばさないの?」
「今は伸ばさないかな」
一日の終わりにこうして交わす会話も習慣になっていた。
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