梅雨は夜なのだと思う日没を待たずに灯る明かりが増えて/飛和
うたの日無冠の短歌を紹介するシリーズ第34回
2022年05月26日『日没』の一首
梅雨の頃は夏至のころなのに薄暗い日が多いですから、日没前の19時前くらいに気分的にはもう夜という感じがして、なんとなく電気を付けてしまう。実景としてとらえて良さそうな一首です。でも、なんだか不思議な雰囲気の歌ですね。「梅雨」と「夜」という、近い気がするのに取り合わせてみるとなんだかねじれてしまうものを=で結んだことで、逆に際立っている不思議な感覚があります。「明かり」が何かの比喩かもしれませんが、まあ、作者のみぞしるというやつでしょう。
あとは初句に一瞬、清少納言を感じますが、作者が意図していないような気はします。でも、枕草子の一節にあってもおかしくはなさそうな。梅雨は夜。五つのころにも暮れなずむうちに、いくつかあかりの灯りはじむるもをかし。(古語は苦手なのでてきとーです。そもそも梅雨って単語はいつからあるのか)
上手く評をかけないと思いつつ、どうしても選びたくて選びました。
夏は、夜 (中略) 雨など降るもをかし/清少納言