蜜木きいち

趣味で小説を書いています どうしようもないことをどうしようもないまま愛せるようになりたい。

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マガジン

  • さくらいと蜜木のリレー小説

    さくらい(aoioia)と蜜木きいち(sugarsugar)のリレー小説です〇 タイトル未定。

最近の記事

【学園パロ】生き抜け! アエテルヌム学園!🌠

※何でも許せる方向け。キャラ崩壊注意。 ※さくらいうみべ(@umibe_ghost)さまのうちのこたちのパロディです。本編とはなんら関係ありません。神に誓って。 ※本家様は素晴らしいので是非……。 🌼 🌼 🌼  キーンコーンカーンコーン……今日も学校の始まりを告げるチャイムが響く。 「おーいお前ら、さっさと席につけー」  からからと扉が開いて、全面にハートと蛇の絵柄が入ったシャツをまとう男が入ってきた。とても教師とは思えない出で立ちながらも、彼はさも当然のように教卓へ

    • 【小説】かみさまの寵愛を【ハル、エデン】

      ★さくらいうみべ(@umibe_ghost)さまのハルくん、エデンちゃんの二次創作です。 (※孤児院でハルくんに恋するモブの子目線) (※妄想捏造注意) 本家様の小説も絵も、素晴らしいので是非。   ★ ★ ★  最近、あたしの世界がきらきらしている。  ほのかに芽吹きだした新緑はつやつやと光を浴びて気持ちよさそうだし、ちいさな、本当にちいさな蕾はぷるんとまるくて宝石みたいに見える。理由はきっと、あの子がやってきたから。  あの子はスケッチブックと鉛筆を持って、木陰によく

      • 【小説】時計台、透き通る青【ツルギ、モニカ】

        ☆さくらいうみべ(@umibe_ghost)さまのツルギさん、モニカちゃんの二次創作です。(※妄想捏造注意) 本家様の小説も絵も素晴らしいので是非。   ☆ ☆ ☆  教会の時計台から、静かな海を眺める。  徐々におかしくなっていくこの国とは違って、透き通るような青が空一面に広がるこの景色に、自虐なのか崇拝なのか、俺は時々目が離せなくなる。  それが鏡面のような凪の水面に映し出されて、ふと、自分が消えてしまうような感覚に陥った。  透明な世界にひとりで佇む、ちっぽけな自分

        • 【日記】凡人っていいな/超人的シェアハウスストーリー カリスマ

          カリスマが好きだ~~~!!!!(くそでか大声) ハウスの7人みんなが好き。誰か1人でも欠けたら成り立たない奇跡。彼らを見つけてくれてありがとう、自分。彼らを産んでくれてありがとう、公式。 きっかけ そもそものきっかけはオモコロの記事だった。 偶然見つけて、おもしれ~! こういうパロ好きなんだよな~! になった。 新しいことをしたらいいよとゲッターズ飯田さんがよく言うので、何となく、今まであまり触れてこなかったコンテンツとして彼らに手を出してみた。 同運営のヒプマイは、

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        • さくらいと蜜木のリレー小説
          3本

        記事

          【小説】納豆炒飯の歌

           時々作る納豆炒飯が、今まで成功したことがなかったのに今日は美味しくできてしまった。  成功しないのに何故作り続けたかといえば、投稿サイトで見つけたレシピの写真が美味しそうだったからでも、無理難題にいつの間にやら意地になっていたからでもない。ただ、たまごと納豆とごはんはいつも冷蔵庫にあったからだ。しかも、たまごかけ納豆ごはんにできるほどたまごが新鮮でない、という前提つきで。  その2つが揃う機会は節約生活の中で大いにあったので、その都度思い出しては、この納豆炒飯を作ってい

          【小説】納豆炒飯の歌

          【小説】パンツの日なんて来なければ

           いつまで経っても変化のない日々は安心する。それなのに私は間違えてしまった。  まず、部屋の片づけなんて始めたのが悪かった。友達が遊びに来るからと室内の物を整理し、とても見るに耐えない惨状の、でもいつか使うものたちは押し入れに押し入れる。と、思ったところでそこに空いたスペースなんてなかった。当然だ。  おしりを出す家庭アニメのように雪崩の被害にあうのはごめんなので、なんとかこの子たちの居場所を作ろうと物を出して出してほぼ全部出した。正しい中身の入っているかわからない圧力鍋

          【小説】パンツの日なんて来なければ

          【小説】君はいつも美しい【ジュード、イエナ】

           夢を見るんだ。  夢の中で僕は少し黄ばんだ、かつては白かった壁の前に向かって立っている。そこには僕と、母さんと父さんとばあちゃんたちが畏まっている写真や、僕が水遊びをしているとき、僕が初めて立ったときの写真がいくつも飾ってあって、どの写真の僕も笑ってる。そのうち一枚の額縁が裏返っているのを見つけて、僕はそこに手を伸ばす。しかしちびの僕では背伸びしても指先を角っこに擦るのがやっとで、木製の裏板には届きそうもない。伸びろ伸びろと念じたら、ぐんぐんと背が高くなって、あっという間に

          【小説】君はいつも美しい【ジュード、イエナ】

          【小説】僕の神様【さくらいうみべ様絵】

          「ねえ、許してくれる?」  彼女はいつもそう言って僕を見た。その度に僕は彼女の柔い髪の毛を撫でたんだ。  僕はよく、とてもつまらない、取るに足らないようなことで彼女を叱った。夕食の味付けが濃いこと、シャツにしわがあること、シャンプーの位置が昨日と違っていること。彼女はけして言い返さず、しかし興奮する僕をじっと睨みつけた。その威圧的な態度に僕はさらに声を荒げた。時には暴力に至ることもあった。嘘だ。僕は毎回のように彼女の白い頬を殴りつけた。すべすべの柔肌が苺のようにぶつぶつと赤

          【小説】僕の神様【さくらいうみべ様絵】

          【小説】バイキンを叩くゲーム

           明日彼が来れない、とわかったときから、私の足は使命感のようにゲームコーナーを目指した。普段敬遠するこの場所は、ひたすらに雑多返して、馬鹿みたいに音量が大きくて、娯楽にのめりこんでゆく人間臭がたちこめている、気がする。今は別に気にならなかった。どころか、苛立たしい腹の内の置き所がここであるかのようにぴったりとはまった。隅から隅まで探し、探し、儲けのない賭け事からUFOキャッチャー、プリント倶楽部までぐるりと回り、ちゃちなバッティングセンターで空振る子供を覗き込んでから、ようや

          【小説】バイキンを叩くゲーム

          【小説】わたしには何も

           わたしには何もありませんでした。その日は敷き布団と掛け布団とそれぞれのカバー、それとぬいぐるみをひとつ、それだけの価値がありました。なんども洗い直したカーディガンから散らばるたばこの残り香の幻想が、いつまでもいつまでもわたしを責めたてているのです。お前には何もない、何もないと。  その声の主はわたしです。わたしはわたしの声しか覚えていられないのです。あの日のわたしは単機能電子レンジと同じ価値でした。その前の日はカクテル二杯とチョコレートケーキでした。わたしには何もありません

          【小説】わたしには何も

          【小説】やさしいレンズ⑤【終】

          (①) (②) (③) (④) 「……親に、何も言わずに来たのか」  布団の上で、ユウトは黙ってうつむいた。怒られると思ったのだろう、萎縮して、首を小さく引っ込めていた。僕は胸の締めつけられる思いだった。  こんなにおびえてまで、ゆかり号が見たかったのか。  朝早くに出発するゆかり号を見るには、まだ暗いうちに家を出なければならない。でもそんなことは、カオリさんが許してくれないだろう。だから、家を飛び出してきた。ゆかり号を見るためだけに。  僕はユウトの頭をくしゃりとなでた。

          【小説】やさしいレンズ⑤【終】

          【小説】やさしいレンズ④

          (①) (②) (③) 「こんばんは、どちら様でしょうか」 「ここにうちの優人がいると、ご近所の方から聞いたのですが」 「はい、いますけど、何か……」  まだ喋り続けているにも関わらず、カオリさんは僕を押しのけて玄関に入ってきた。 「優人!出てきなさい!」  キーン、と甲高い声が廊下に響いた。しかし返事はない。いるはずの母までが、息を潜めているようだった。 「ちょっと失礼します」  そう言い置くと、カオリさんはヒールの高いパンプスをさっさと脱いで、返事も聞かずに上がり込もうと

          【小説】やさしいレンズ④

          【小説】やさしいレンズ③

          (①) (②)  ゆかり号の終了がいよいよ明日に迫った日、僕は終電に揺られていた。写真部でコンクールの祝勝会があったのだ。外は月に雲がかかり、暗い窓には僕のみじめな顔が映るだけだった。 「マサ兄」  改札を抜けると、聞き覚えのある声に気づいた。見ると、リュックサックを背負ったユウトが隅っこに突っ立っていた。なんだ、お前か……そう思った直後、僕は慌ててそばへ駆け寄った。 「お前、何でここに!今何時だかわかってるのか?」 「マサ兄、僕……」 「ああ、お兄さんですか?」  うつむく

          【小説】やさしいレンズ③

          【小説】やさしいレンズ②

          (①)  次に見かけたとき、ユウトは駅のポスターの前に立ち尽くしていた。カメラもノートも持たずに、ただじっと見つめている。映っているのはやはり電車だったが、いつも僕が乗っているものではなく、ずいぶん年季の入ったものだった。  すると突然、ユウトはその場にしゃがみこんだ。 「どうした?」  慌てて駆け寄ると、ポスターの字を読んでいるのだった。 「……やっぱり。これ、ゆかり号だよ。昔、母さんと乗ったことがある」 「へ、へえ……」  確かに、ポスターの隅には「ゆかり号」と名前が載っ

          【小説】やさしいレンズ②

          【小説】やさしいレンズ①

           帰りの電車の中で、僕は一枚のプリントを握りしめていた。夏休み前に応募したコンクールの結果が帰ってきたのだ。あまり大きくはないものだったが、部員のほとんどが入賞し、中でも部長は優秀賞をとって、先生を喜ばせた。例年の中でも素晴らしい成績だった。  しかし僕はため息をついた。何度見直しても、「優人」の二文字だけが見あたらない。僕はこの部活内で唯一の、選外だった。  電車を降りると、突然まばゆい光が視界をさえぎった。カメラのフラッシュだ。持ち主を見やると、小学生くらいの少年がデジカ

          【小説】やさしいレンズ①

          【小説】彼女はいつもピンク色

          「これ、落としましたよ」  振り返ると、優しそうな目をした青年が私のペンを持っていた。手帳にはさんでおいたのに、さっき鞄にしまうときに落としてしまったのかもしれない。慌ててお礼を言って、受け取るときに指が当たってしまった。顔をあげると、目が合った。私は思わず動きを止めた。いや、時間が止まったと表現するのが適切かもしれない。突然、世界がキラキラと輝き出したかに感じられた。頭の中に、祝福の鐘が鳴り響くのが聞こえた。  彼も同じように、やりきれない、といった顔でこめかみをかいた。そ

          【小説】彼女はいつもピンク色