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作る喜び、美しさへの希求
2024年119日目。
5年ぶりに開催された磯蔵酒造さんの「ちょっ蔵 新酒を祝う会」へ向かう途中、うかつにも入蔵券を忘れるという失態を犯し、会場で酒を飲むことは諦めて一旦家に帰って自家用車で会場に向かうも、常磐道の事故渋滞で行手を阻まれ、友部駅前のコインパーキングは満車で入れず、その他いろいろあってなかなか前に進めず疲労困憊、これは神様からの「無理に参加するな」(前2日も十分飲んだだろう)というメッセージだという結論に至り、私自身は参加を取りやめ。仕事関係者も来るらしいという妻に何とかチケットを託し、自分は周囲から強くお勧めされ、かつ5/6で終了してしまうという水戸芸術館「須藤玲子:NUNOの布づくり」展へ。
まったく予備知識なく行ったのですが、冒頭の「企画者ごあいさつ」での「クラフトとインダストリアルデザインの垣根を取り払い」という文を手かがりに鑑賞。最初は「ふーん?」という感じだったのですが、数々のテキスタイルがどのように生み出されてきたのか、ということが見えてくると、目の前の景色は一変しました。
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高級ホテルや美術館の内装などで使われているとのこと
なるほど
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アートartという言葉は、ラテン語のarsが元になっていて、元来は「芸術」ではなく「技能」「技術」、あるいは「手しごと」「人工」みたいな意味も包含する言葉。
その意味で、「完全に自動」でも「純粋に手しごと」でもない、少し前の時代の機械を職人的な作業者が感覚も含めて動かして生産されるテキスタイルは、artの本来の意味に近いものとして捉えうるのだろうと感じました。(話は飛びますが、そうした何人もの人の手を介して作られる様は、監督、俳優、カメラマン、照明など複数のプロフェッショナルの協業により作られる元来の「映画」にも似ているなとも思いました。)
何より、何かの社会課題を掲げて作られる作品よりも、純粋な「作る喜び」や「美しさへの希求」があり、久々に美術展を観て胸がすく想いを抱きました。これでいいんですよ、これで。(そのこととは別に、テキスタイルの制作に関わっている皆さんは、映像で見る限りことごとく高齢者だったことには引っかかりました。その意味では儚さもあるのかも。)
そうそう、水戸芸術館現代美術ギャラリーは企画展の際に小部屋で「クリテリオム」という若手アーティストの展示も行なっていて、こちらも観忘れてはいけない。ついに100回目を迎えた今回は沼田侑香氏のアイロンビーズを使った作品。
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双対箔(『三体Ⅲ』)で攻撃されとる…
部屋に入ってきた若者らがみんな判を押したように「すげー!」を連呼していたのが印象的でした。同世代の感性なんだなあ。
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