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メアリーと死のアイスクリーム

 腸チフスのメアリー(Typhoid Mary)ことメアリー・マローンといえば、20世紀初頭のアメリカで流行していた腸チフスの原因菌を無自覚のうちにばらまいてしまった健康保菌者(無症候性キャリア)として有名な例であるが、実は彼女が数多くの富豪宅で住み込み料理人として振る舞った得意料理にこそ問題があったのだ。
 腸チフス菌は加熱で死滅するため火を通せば一応問題ないのだが、彼女の作るおいしい桃のアイスクリームは当然ながら生なので危険であった。(アイスクリームだけが原因ではないが、彼女の近辺で腸チフスの感染者は50名に及び、そのうち3名が死亡したそうだ)
 さて、彼女が実際に作っていたアイスクリームがどんなものだったのかネットで調べてみたところ、イギリスでフランス人シェフによって考案されたピーチ・メルバ(Peach Melba)というのが出てきた。

 本当にこれだったのかについては記録がないので定かではないが、典型的なピーチメルバのレシピを見るに、バニラアイスクリームの上には確かにシロップ漬けの桃が載せられラズベリーソースがかけられている。う〜ん、おいしそう()
 まさか彼女も自分の料理が結果的にこれだけ多くの人を苦しめることになるとは思ってもみなかっただろう。

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