男爵家五男の気鬱な一日
普段の自分なら、こんな時にどう振る舞うだろう。着なれないタキシードのきつい首周りに手を遣って、エドワードは思案する。まず後部座席へ乗り込むと同時にコートを脱ぎながらこう話しかける、やあどうも、君もご苦労様だね、こんないい天気の日には公園のベンチに座って焼きたてのベーグルなんかを頬張ってるのが一番いいよ、いけ好かない金髪男の送迎なんざやめにしてさ。かく言う僕も向かう先には全くなんの関心もなくて、いま通り過ぎたドラッグストアのほうがまだ興味が湧くという始末だ、いや、シェービング