六花の舞う空に①
ときは遡り、雪が深々と積もる。
雪乃は土地神の衰えを心配していた。
集落に降り積もる雪は、美しいものの……実際は危機的な状況に陥っている。
土地神が健在なときは、こんなことはなかった。
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「雪乃、お前に頼みがある」
「仰せのままに」
頭を深く下げて、雪乃は答える。
「お前も察している通り、私の力は消えつつある」
「…………」
「もともと強い力はなかったからな。さて、雪乃にこの手紙を隣の湖の水龍に届けて欲しい。アレはとても強い。一度は断られてしまったけれど、私はこの里を愛している」
一度溜め息をついて、雪乃へ手紙を渡す。
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