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青桜さら/久稀
2019年3月7日 14:43
ときは遡り、雪が深々と積もる。 雪乃は土地神の衰えを心配していた。 集落に降り積もる雪は、美しいものの……実際は危機的な状況に陥っている。 土地神が健在なときは、こんなことはなかった。**「雪乃、お前に頼みがある」「仰せのままに」 頭を深く下げて、雪乃は答える。「お前も察している通り、私の力は消えつつある」「…………」「もともと強い力はなかったからな。さて、雪乃にこの手紙を隣
2018年8月31日 00:43
「となり里から参りました、雪乃(ゆきの)でございます」 凛としたあたりに響く声。女性は巫女の服装をし、湖の淵に立っていた。「里神からの手紙を預かってまいりました」 これが雪乃との最初の出会いだった。*** 近くにある里の神は、何度もこちらにお願いをしに来ていた。『もう自分には里を守る力はない。存在自体が尽きる寸前だ。たのむ、後任を……』 何度も断っているのに、今回は巫女とはいえ……人