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ファスト映画というニーズと映画会社はどう向き合うか?

2021年、ついに警察が「ファスト映画」の摘発に本腰を入れ始めた。司法では、配信者が権利者から巨額賠償を請求される事例も出てきている。

ファスト映画とは、映画本編を短く再編集し、勝手に解説やナレーションを付けてネット上にアップロードされた動画のことだ。どっかの情報商材屋が売り出したのか、2019年頃からYouTubeなどの動画共有サービスに大量に上がるようになった。

長ったらしい映画をスキマ時間に手軽に「無料」で見られるとあって多くの登録者を獲得していたが、いわば「漫画村」の映画版。著作権も翻訳権もあったもんじゃない、他人のふんどしを無断で借りて汚して返すとんでもねぇクソコンテンツだった。

「要約した映画」に底堅い需要がありそう

しかし、間違いなく視聴者のニーズがあったのも事実である。「有名どころは知っておきたいけど、忙しくて2時間も取れない」「簡潔にまとめて一気に見たい」といった需要が確実にある。いくら映画制作者や出演者が崇高な理念を説いたところで、家事も仕事も複雑化・高度化した現代社会に、旧来の映画の届け方が通用しなくなっている。

せっかくお金を払ってNetflixやアマプラを契約し、膨大な作品を公式配信で見られるにもかかわらず、結局、玉石混交のYouTubeの短い動画を見てしまうという人は少なくないはずだ。この一見すると割に合わない行動にこそ、ファスト映画が蔓延した要因が潜んでいるのだろう。

作り手が丹精込めて世に送り出した作品にタダ乗りするファスト映画の連中がつるし上げを喰らうのは至極当然だが、悪貨は良貨を駆逐する。映画産業はどのようにファスト映画の需要を取り込むべきだろうか。個人的には、公式で過去の名作のダイジェストムービー配信サービスがあるとうれしいけれど、きっと権利面や収益面に難しいんだろうな。そして、仮にそんなサービスが出てきてもYouTubeとか見ちゃうんだろうな。

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