Life Story 1:防衛大学校を卒業した人の97%は自衛隊に行く
私が大学を卒業した時は約400人の卒業生のうち、自衛隊に行かなかったのは13人だった。
つまり私が選択したのは、残り3%の道だ。自衛隊には行かず、IT企業に入社するという選択をした。
選んだ大学は「防衛大学校」
私は愛知県で生まれ育ち、神奈川県横須賀市にある防衛大学校、つまり『 幹部自衛官を養成する 』ための大学に入学した。
防衛大学校を選んだ経緯は、経済的な事情だった。
母子家庭で育ったため、大学に行く金銭的な余裕はなかったからだ。
「防衛大学なら、大学の学士は取れるし、学費はかからないし、衣食住は提供されるし、しかも給料も支給されるらしいよ!」
知人からそんな情報を得て、目をキラキラさせた母は、私に何としても防衛大学に行ってほしいと懇願した。
正直、乗り気ではなかった。でも我が家に経済的余裕がないことも分かっていた。
奨学金で行こうと思っていた第一志望の国立大学には受からず、最終的には入学を決意した。
全寮制で過ごす4年間の大学生活は、想像を絶する厳しさだった。
毎朝6時に起床ラッパで目覚め、上半身裸の乾布摩擦と掃除から一日が始まる。
毎日、上級生からの厳しい指導を受け、「はい」以外の選択肢はなく、どんなに理不尽でも絶対服従。しかも当時は暴力指導も黙認状態(今はもちろん無い・・・らしい)etc
正直しんどかったけど、この4年間を乗り切った自信が、その後の人生を支えてくれた。途中で何度も辞めようと思ったけど、振り返ればこの大学で本当に良かったと思う。
「なんで自衛隊に行かないの?」
周りの人からは、自衛隊に行かない選択を不思議がられたし、社会人になってからもよく聞かれた質問だ。
多くの人から、こんな事を言われた。
「幹部自衛官だよ!エリートだよ!」
「せっかく4年間訓練したのに、無駄になるよ!」
「一生安泰なのに、もったいない!」
確かに、4年間の大学生活を経て、自衛隊は素晴らしい仕事だと思うようになっていた。国防は重要な仕事だし、やりがいもあるだろうと思う。
じゃあ、なぜ自衛隊を選択しなかったか。
・・・一言でいえば、「ワクワクしなかった」から。
自衛隊に行った場合の、40年間の人生を想像することができた。安定した人生は手に入るし、給与も退職金も計算できる。
でも私が求める人生は、「安定」ではなく「自由」だった。
その想いから、自衛隊ではない社会に飛び出すことを決めた。
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