工場へ行こう🏭を話そう!〜美濃和紙ソックス東洋繊維編〜*5/15加筆修正
こんにちは、主に愛知県で俳優・音楽活動をしてます菅沼翔也です。
不定期でテレビ愛知「工場へ行こうpartⅡ」再現ドラマに出演しています。
これは、撮影の舞台裏やオンエアを見て気づいたことなどを、出演俳優の目線で話していくページです。
過去のはマガジンにまとめていますので、よろしければご覧ください。
1. 工場へ行こうとは?
「工場へ行こうpartⅡ」
東海エリアの工場に潜入し、時に美しく、アイデアの詰まった製造現場の裏側を紹介する番組。毎月第1土曜午後2時50分からテレビ愛知で放送中!
ナレーション:平泉成さん、坂口陽香さん
※放送をご覧になった方がわかりやすいと思います。
※取り上げるのは「再現ドラマ」のみ。
※あくまでも個人の見解です。
2. 放送回
テレビ愛知「工場へ行こうpartⅡ」
2020.5.2(土)14:50〜
1足2,000円!?美濃和紙でつくる靴下の秘密 東洋繊維
↑無料でご視聴いただけます
3. あらすじ(再現ドラマ)
“靴下ブラザーズ”の異名をとる「東洋繊維」の3代目・水谷兄弟。廃業の危機を救うため、“美濃和紙ソックス”の開発に着手。しかし和紙の糸は切れやすく、開発は困難を極めた。ようやく商品化に辿り着いたものの、客には「水に溶けやすい」と誤解され、全く売れない日々が…。果たしてこの難局を“靴下ブラザーズ”はどう乗り越えたのか?!起死回生の一手とは?(番組HPより)
4. 衣装決め
「スーツの下とネクタイをご用意いただけますか?上着は工場の作業着をお借りします」
そのように指定されることの多い工場ドラマの衣装。今回はちょっと違いました。監督から台本と共に送られてきた一枚の画像…。
肩を組んで微笑むふたり。どことなく雰囲気が似てる…?こんな文言が添えられていました。
「今回のドラマの主人公となるご兄弟です。右が兄・顕治さんで、左が弟・陽治さん。菅沼に演じてもらうのは右側のお兄さんになります。」
そう、靴下ブラザーズの異名をとる東洋繊維の三代目社長と専務おふたりだったんです。
「衣装ですが、写真でお兄さんが着ているような服、持ってませんか?」
とりあえず、タンスから似ている色味の服を選びだし、床に並べ、写真撮影。数パターン送るとすぐに返信が。ベージュのチノパンと紺のジャケット、そしてインナーには…、弟と差をつける為、あえての白シャツで決定!
ほどなく、弟・陽治さん役をつとめる伊藤玄紀くん(玄ちゃん)へ連絡すると、
「工場ドラマよろしくお願いします!で、衣装のことなんだけど…」
「ちょうど今、村瀬監督と連絡取り合ってる!」
お互い監督へ送った衣装の写真を送り合い「よし!これなら差が出るね!」と確認。なぜなら、今回は"性格の異なる"兄弟役。パッと見ただけでもキャラクターを見分けやすい方が良いと思ったからです。
しかし、撮影当日、最終チェックの段階で東洋繊維さん用意して下さった上着をお借りすることになりました。
それにしても良い写真!自分にも兄がふたりいますが、久しく写真撮ってません。肩を組んで最後に写真を撮ったのはいつだろう。
5. おはようございます!
今回の舞台は岐阜県関市にある「東洋繊維」。到着し、車を降りるやいなや「おはようございます!!!」どこからともなく大きな声が…。その方を見ると、玄関付近に笑顔の男性がふたり。どことなく見覚えが…、そうだ!靴下ブラザーズだ!!
まさか社長と専務が直々に出迎えてくださるとは思ってもなく(いろいろな会社はお邪魔させてもらいましたが、僕の知る限り初めてのことでした)驚きとともに、"あの靴下ブラザーズ"に出会えた喜びもありました。
瞬時にして場が明るくなったのも感じました。朝早く、かつ、長めの車移動でちょっとまどろんだ頭が一気にクリアに!(役者のことを事前にネットで調べてくれていたそうで。話もどんどん振って下さり、朝から大盛り上がり)
今日は良い撮影(時間)になる!と確信。それくらい現場の指揮をあげる「おはようございます!」だったんです。
そうそう、番組の最後に挿入されたお出迎えのシーン(別日に撮影したものです)。ナレーションとテロップで「お元気!」と説明してましたが、これホントです!!
だから、でしょうか。社内の雰囲気もとても良かったです。働いてらっしゃる方が伸び伸びとしているような印象を受けました。きっと、あの挨拶があるからに違いない!と勝手に思ってます。(撮影後に突如サイン会が行われたのも、社内の雰囲気の良さを物語っています笑)
あいさつ繋がりでもひとつ。工場へ行こうの話ではないですが、撮影の数日前「今一度挨拶をしっかりしましょう」と喝が入る場面にたまたま居合わせました。つい気を抜くと、なーなーになってしまいがちな挨拶。身をもってその大切さを感じた瞬間でもありました。(挨拶のない人には、人は心を寄せませんし)
話を戻します。
最高の出だしで再現ドラマ撮影は始まりました。
オンエア振り返っていきます。
6. 靴下ブラザーズ、登場!
糸を棚に並べる兄・顕治。(裁縫しないですけど、大量の糸を前にテンション小上がりしました)
そこへ、駆け込んでくる弟・陽治。
勢いそのままに椅子へシット・オン!無駄のない動線。滑らかな動き。これが舞台「弱虫ペダル」で鍛えた脚力なのだと感心しました。
父親である東洋繊維の二代目が、地域を盛り上げるために昔作ったという美濃和紙でできた靴下。(靴下越しにも土踏まずのラインがわかる…、アップで映すには理想的な足の裏!これも弱虫ペダルで育まれたのでしょうか。)
オンエアをみて、初めて背景の棚のカラフルさに気づきました。現場では意識してなかったところです。棚がきっちり収まるような画角によるところが大きいのかもしれません。
7. まっすぐな瞳
ゴワついた靴下を改良し自社製品にしよう!と兄に提案する場面。元々スノーボードをするために世界を回っていたというアクティブな弟・陽治さん。この、まっすぐな視線、陽治さんの想いが素直に表れていると思いました。(ぜったいしっかりと挨拶をする人)
8. ベテラン登場!
開発を決めふたりが向かったのは...
先代のときから勤めるベテラン職人神山のもとでした。(演じるのは田中靖浩さん)
駆け寄るところは「ちょっと急いでる感じでいきましょうか!」と監督の演出がありました。速すぎず、遅すぎず、自然にみえるスピードで。かつ、ふたりで速度を合わせなくてはならない。意外と気をつかうところでもあったりします。
神山さんご本人も現場にもいらっしゃって、編み機の奥から撮影を見守ってくれてました。撮影の合間にさらりと耳にした「つくれない靴下はない」というお話。あまりにもカッコ良く響きました。
9. 絶対的な信頼
インタビューでこんなことも語られてました。
信頼するって大事なんだと。部下とかできたら、信頼して仕事を任したい!と思いました。
10. 切れちゃう
ふたり、壁にぶち当たります。
食い下がる弟・陽治。編む速度を遅くすれば、和紙糸も切れることはないんじゃないか!?と提案し試してみるも失敗。しびれを切らし、職人さんはどこかへ去ってしまいます。
誰かいる!!!
兄・顕治でした。弟と神山さんのやりとりの一部始終を見ていたんですね。
11. ふたりのディスタンス
信頼していた職人に無理だと言われ、肩を落とすふたり。雨の中、工場の外をとぼとぼ歩くシーンへ。(このシーン、細かいですけど、"雨音"先行で始まるところがよかったです!)
不穏は的中。早々に意見がぶつかるふたり。
(チノパン+白シャツ、かろうじてお判りいただけるかと)
このロングショットは現場で急遽決まりました。技術車両のハイエースを移動させ、後ろ扉を開けてそれを屋根代わりに、雨で濡れた地面スレスレにカメラを設置。監督とカメラマンが「この画はいいぞ!」と気持ちを高揚させているのが遠くにいても伝わってきました。
オンエアを確認し、引いて捉えることで、どんどん離れていく二人の物理的な距離、そして、心の距離までも効果的に映し出しているように感じました。
この部分、カットがかかるまで結構な時間があったよう記憶してますが、気持ちを途切れさすことなく、彼、よく集中してたんじゃないでしょうか。
12. ちょっと待ったほうがいい!
この思いはインタビューで赤裸々に明かされました。
「ものづくりってその場で対策が生まれたり、すぐに結果が出るもんじゃないんですね」という言葉は、覚えておきたいと思います。(インタビューの背景、まるで水面に光が反射しているときのような輝きです。)
早く開発したい!という弟・陽治と、ときに待ち、じっくりと進める兄・顕治の性格の違いが色濃くでたシーンでした。
13. ハイゲージで完成!
霧吹きを吹きかけながら編む!というアイデアにより、晴れて和紙糸を切らすことなくハイゲージで靴下を作ることに成功したのです。
14. ぼう然
…ところが、まさかの暗転。
全然売れていないという報せが入るシーン。このシーンの気持ちを作る上で、売れ残ったグッズのダンボールを運んだときの自身の体験が役に立ちました(笑)あの重みは、ここでいきるものだったんだ。
15. ダンボールルーム
倉庫でのシーン。通路以外、空間すべてダンボール。「これ、ドラマの小道具で用意しようと思うと大変だよ!工場ドラマはありがたいね。実際の空間を使わせてもらえるんだもん」待ち時間に玄ちゃんとそんな話をしてました。
「そうだ!(物産展で実演販売しよう)」
「え?(なんて?)」
ダンボールから顔ひとつ分出る感じ。よし、イメージ通り。うまくいきました!
16. 実演販売
そのあと、物産展のシーンへ。会社二階の一室をお借りして、物産展コーナーを再現。机に貼ってある「和紙靴下」の紙、これも監督が一枚一枚貼って準備していたこと、剥がすお手伝いをする時になって初めて気づきました。(背景の靴下のセッティングも)気が回らなかったこと後悔してます。
(一人目のお客さんを演じたのは名古屋の女優しなこさん。待ちに待っての出番でした!)
ほかのお客さん役は、従業員の方々です。お忙しいところ協力してくださいました。和紙ソックスへの興味が伝播していく感じがとてもリアルでした。
17. まとめ
顕治さんの言われた”ものづくりは時にちょっと待つことも大事だ”ということと、陽治さんの立場関係なく”良さを伝えきる姿勢”を学びました。あとは、気持ちの良い挨拶!近いところこそ丁寧に、を当たり前に。
(顕治さんご本人とツーショット撮らせていただきました!兄弟仲良くする秘訣はなんですか?と聞くと、自分にないものを持ってることを認め合うことだと思います、と笑顔で答えて下さいました。)
工場へ行こうを話そう!東洋繊維編は以上です
(↑美濃和紙ソックスこちらから買えるそうですよ!)
(撮影終わりに頂いた美濃和紙ソックス履かせてもらってますが、ほんとサラリとした履き心地がよくて、ヘビロテしてます)
最後まで読んで下さりありがとうございました。
撮影スタッフ・共演者のみなさん、お世話になった東洋繊維のみなさん、番組作りに携わっている全ての方へこの場を借りて感謝します。
18. クレジット
テレビ愛知「工場へ行こうpartⅡ」
ナレーター:平泉成、坂口陽香
出演:伊藤玄紀、菅沼翔也、田中靖浩、しなこ
構成:松永英隆、宮崎祐人
撮影:福原元気
照明:北川雅紀
音声:宮本和也
編集:杉浦充樹
音効:北原健太
協力:東洋繊維、大福製紙、茶久染色、ライン繊維、美川刺繍、松久永助紙店、NIPPONIA美濃商家町、岐阜県産業技術総合センター、ファクトリエ
編成:那須義元(テレビ愛知)
広報:仁村満里(テレビ愛知)
ディレクター(監督):村瀬敬士
プロデューサー:藤城辰也(テレビ愛知)、仲尾義晴(ホーボーズ)
チーフプロデューサー:深井紀行(テレビ愛知)
制作協力:ホーボーズ
制作:テレビ愛知