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トイレットペーパーホルダーの紳士

今朝、”トイレットペーパーホルダーのふたの力って、絶妙よね”と思った。

強すぎず、弱すぎない。トイレットペーパーが引き立つような、ちょうど良い加減で押さえてくれている。

人間がいくらかの"角度"と"勢い"をつけて上へ引っ張りあげさえすれば、ペーパーが切り離されたい位置で(人間が切り離したい位置で)切れる。

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たまにペーパーがうまく切れない場面に出くわす。経験上、ふたに問題のあることが多い。

ふたの押さえる力が強いと、ペーパーの望まないところで破れたりする。

もっとひどいときは、ふたがブレーキとなってペーパーが回らない、なんてことも。

逆に力が弱いと、ペーパーはコロコロと回り続けることになる。

(たまにペーパーに寄り添ってるだけのふたもいるが、あれはなんだろう。なんだか可愛く思えてくる。そもそもホルダーのふたは、いつから押さえてくれるようになったんだろう。ふたの開発担当者がいるとしたら、何を基準に押さえる強さを決めているんだろう。力だけでない。素材やふたの厚さ、切り口の形状も関係しているだろう。考え出したらキリはない。)

ストレスとまで言わなくても、どちらもあまり歓迎すべきものではない。

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家のトイレはどうだろう。

多少、強弱に不満はあるかもしれないが、安心だ。

なぜなら、ホルダーのふたの出方を心得ているから。

ペーパーを切るのに失敗することは少ない。

”ホルダーのふたの出方を心得ている”

これって無意識にふたと息を合わせていることなんじゃないか、と思う。

掛け声もなくビシッと合わせている。

「黒人のバンドに入ったとき、カウントもなしに演奏を始めた。それがぴったりと合っていて驚いた」

以前知り合いのミュージシャンが話していたことを思い出す。

これって結構すごいことなんじゃないか、とさらに思った。

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しかし、外に出れば、そこにはあらゆる形の、あらゆるふたの強さのペーパーホルダーがある。

都度、それらと息を合わせてペーパーを扱わなくちゃいけない。

相対したときに(もしくはペーパーをつまんだ瞬間に)そのホルダーの出方を察し、そして、ペーパーがストレスを感じない形で穏やかに切り取ってあげられる人であるにはどうすればいいのだろう。

トイレットペーパーホルダーのふたのように、黙々と誰かの為に動いてくれている人がいることに思いを馳せることからじゃないか。

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来たるべきwithコロナ時代。
ホルダーに触れることなく必要最低限のペーパーを手にとる術を。
Paper and Roll!


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