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逆算したらうまくいかない物事は?

『逆算思考』と呼ばれる方法がある。

ご存知かもしれないが、
「ゴールと期限を定めてから現在に向け逆算し、目標達成のための手順を洗い出して実行していく考え方」
のことだ。


確かに、ある種のことは逆算思考でやったほうが楽だと思う。

レシピなしに料理を作るのは割と困難だし、「集合時間に間に合うためには何時の電車に乗ればよいか」は出かける前に調べたほうが良い。

じゃあ、逆算思考に適さない物事や分野は何だろう?

……こう考えた時に、私が1番自信を持って言えるのは「子育て」だ。


逆算でやろうとして失敗した例

例えば私は、数年前から「子どもと料理」についてこう計画していた。

私は子どもの頃にお手伝いを経験せず、大人になってから大変な思いをした。我が子にはそういう風になってほしくない。

元々私は食への興味が薄いし、料理が苦手だ。最近は仕事も忙しく、家事と仕事の両立が大変になってきている……

週7日あるうち私が担当するのを週4日にして、週3日は他の家族(夫と子2人)に任せようかな? 子どもの非認知能力を高めることにもなるし、いいことづくめじゃないか!

誰に相談するわけでもなく、勝手に自分の中でこう決めていた。

時折この計画を家族に話していたけれど誰からも賛同されず、うまくいくようには思えなかった。

でも、家族は時々レシピ本を読んでいて。先日はチャーハンを作っていた。……結構おいしかった。

それに彼らは私よりよっぽど食に前向き

「まぁ、うん……これでも別にいいんじゃないのかな?」
と、私もやっと気づいたのだ。


子育てを逆算したらどうなるのか?

「子育て全般を逆算する」とはどういうことだろう?

例えば、こんな思考。

大人になったらお金に苦労せず、楽しく過ごしてほしい。早いうちに大切なパートナーを見つけて子や孫に恵まれ、末永く幸せに暮らしてほしい。

そのために潰れないような一流企業や官公庁に入ったほうがいいし、年々厳しくなる就活を勝ち抜くためには有名な大学に行った方が有利だ。結婚相手に出会えるような大学・就職先も良いかもしれない。

大学受験を確実に成功させるために、受験で結果を出している高校に入ったほうがいいだろうな。いや、最近は中高一貫がいいとも聞くから、早いうちから中学受験の対策をするべきだろうか?

となると机に向かうことを習慣化させたほうが有利だから、今日から1日1時間は勉強させようかな? そうだ、将来有利になりそうな習い事もそろそろ始めよう。

これも逆算思考の1つと呼べるだろう。

遠い将来の実現したいことを目標にし、逆算していく。途中にマイルストーン(中間目標地点)を置き、到達したらいったん安心する。
……という方式だ。


だからこういう思考の親は「○○学校合格」などに重きを置くし、その中間地点で上手く物事が進まないと焦る。

時には、子ども自身にも危機感を持ってほしくて
「○○くんは●●の学校に行ってるらしいよ」
「△△ちゃんは先月結婚したんだって」
「□□さんのとこ、もう子どもが生まれたんだってね」

なんて話をすることも。

そう、逆算思考の人間はつい収穫を焦ってしまうのである。


私自身も、子育てで早期の収穫を求められて結局ダメになってしまった例かもしれない。今は考え方を転換させていて結構幸せだが、当時は辛かった。

でも、そんな私も陥りそうになった。

さっきの話だけじゃなく、実はこんな風に考えていた時期があったのだ。

会社が倒産しても食うのに困らないようにすごいスキルを身に着けてほしいし、どんな場所でも生きて行けるようになってほしい。何より、毎日楽しく生きてほしい。

そのためには、いっそ右肩下がりの日本を脱出したほうがいいだろうな。海外のほうが人が優しくて生きやすいってよく聞くし。となると日本の大学じゃなくて海外の大学に行ったほうがいいのか?

あとは、普通の公立小学校じゃなくて自由な校風のフリースクール・オルタナティブスクールに行かせてもいいんじゃないか?

方向性は真逆かもしれないが、これはこれで超逆算思考だ。

結局は子ども自身に反対されて計画が頓挫。

当時の私は、先だけを見ていた気がする。目の前の本人を置いてけぼりにして。


順算の「肝」

本当は、子育てで1番大事なのはその時その時の本人の様子

今この瞬間どうなっているか、何を考えているのか、どう感じているのか。そこを無視せず、スルーせず、親が気づけるかどうか。

子どもの楽しさ、そして親である自分の楽しさ。

それを無視してしまっては、おそらく良い結果にならないだろう。


この瞬間瞬間を大事にしていくのが、逆算思考の反対の「順算思考」(「積み上げ思考」などとも呼ばれる)だと思う。

実は順算思考は、長期的に見たら結構良い方法だ。逆算思考と違って疲労が圧倒的に少なく、我慢することによる反動が来ないから。


ごく短期的・具体的な出来事は逆算思考で進めても問題ないが、子育てなどの長期的・抽象的な物事に関しては逆算思考をすべきではない

少なくとも、私はそう思う。


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