逆算したらうまくいかない物事は?
『逆算思考』と呼ばれる方法がある。
ご存知かもしれないが、
「ゴールと期限を定めてから現在に向け逆算し、目標達成のための手順を洗い出して実行していく考え方」
のことだ。
確かに、ある種のことは逆算思考でやったほうが楽だと思う。
レシピなしに料理を作るのは割と困難だし、「集合時間に間に合うためには何時の電車に乗ればよいか」は出かける前に調べたほうが良い。
じゃあ、逆算思考に適さない物事や分野は何だろう?
……こう考えた時に、私が1番自信を持って言えるのは「子育て」だ。
逆算でやろうとして失敗した例
例えば私は、数年前から「子どもと料理」についてこう計画していた。
誰に相談するわけでもなく、勝手に自分の中でこう決めていた。
時折この計画を家族に話していたけれど誰からも賛同されず、うまくいくようには思えなかった。
*
でも、家族は時々レシピ本を読んでいて。先日はチャーハンを作っていた。……結構おいしかった。
それに彼らは私よりよっぽど食に前向き。
「まぁ、うん……これでも別にいいんじゃないのかな?」
と、私もやっと気づいたのだ。
子育てを逆算したらどうなるのか?
「子育て全般を逆算する」とはどういうことだろう?
例えば、こんな思考。
これも逆算思考の1つと呼べるだろう。
遠い将来の実現したいことを目標にし、逆算していく。途中にマイルストーン(中間目標地点)を置き、到達したらいったん安心する。
……という方式だ。
だからこういう思考の親は「○○学校合格」などに重きを置くし、その中間地点で上手く物事が進まないと焦る。
時には、子ども自身にも危機感を持ってほしくて
「○○くんは●●の学校に行ってるらしいよ」
「△△ちゃんは先月結婚したんだって」
「□□さんのとこ、もう子どもが生まれたんだってね」
なんて話をすることも。
そう、逆算思考の人間はつい収穫を焦ってしまうのである。
私自身も、子育てで早期の収穫を求められて結局ダメになってしまった例かもしれない。今は考え方を転換させていて結構幸せだが、当時は辛かった。
*
でも、そんな私も陥りそうになった。
さっきの話だけじゃなく、実はこんな風に考えていた時期があったのだ。
方向性は真逆かもしれないが、これはこれで超逆算思考だ。
結局は子ども自身に反対されて計画が頓挫。
当時の私は、先だけを見ていた気がする。目の前の本人を置いてけぼりにして。
順算の「肝」
本当は、子育てで1番大事なのはその時その時の本人の様子。
今この瞬間どうなっているか、何を考えているのか、どう感じているのか。そこを無視せず、スルーせず、親が気づけるかどうか。
子どもの楽しさ、そして親である自分の楽しさ。
それを無視してしまっては、おそらく良い結果にならないだろう。
この瞬間瞬間を大事にしていくのが、逆算思考の反対の「順算思考」(「積み上げ思考」などとも呼ばれる)だと思う。
実は順算思考は、長期的に見たら結構良い方法だ。逆算思考と違って疲労が圧倒的に少なく、我慢することによる反動が来ないから。
ごく短期的・具体的な出来事は逆算思考で進めても問題ないが、子育てなどの長期的・抽象的な物事に関しては逆算思考をすべきではない。
少なくとも、私はそう思う。
*
この記事を投稿しているnoteマガジン『ユタカジン』には、自分らしい時間的豊かさを追求する人達が毎日寄稿中。気になったらぜひフォローを!