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「超・温暖化」の地球をどうすればいいのか(全4回)                第2回 過去の地球温暖化とは何が違うのか

地球は長い歴史の中で温暖化と寒冷化を繰り返してきました。しかし、今回の温暖化はこれまでのものとは異なり、人間の生産活動によってイレギュラーに発生したものとされています。そしてあまりにも急激に進行した温暖化が、深刻な気象災害を引き起こしているのです。 

温暖化と寒冷化を繰り返しているメカニズム

 日本で縄文時代にあたる7000年前から4000年前頃、地球は間氷期(温暖化の時期)にあり、気温は2~3度高かったと見られています。そのため海面は今より3~5m高く、関東平野では内陸深くまで海が入り込んでいました。これは「縄文海進」と呼ばれています。
 
 しかしそれ以前の7万年前から1万年前頃の地球は、気温が最大7~8度低い氷河期にあり、海面は今より120mも低下していたといいます。
 このためベーリング海峡が陸続きになり、人類の一部はアジアからアメリカ大陸へと渡ってゆきました。
 
 このように地球はもともと温暖化と寒冷化を繰り返しているのですが、その変化に周期的法則性があることを、20世紀前半にミランコビッチという科学者が提唱しました。

 それによれば、地球の気候変動は3つの変動周期が合体しているといいます。
 ひとつ目は、約23度傾いている地球の自転軸が、コマの首振りのように1周する動きであり、2.6万年周期といわれています。
 次に自転軸の傾き角度が2度ほどの変動を繰り返している動きで、これは4万年の周期といわれています。
 そして最後は太陽の周りを回る楕円の公転軌道が、形の変化を繰り返している10万年の周期変動です。
 地球はこの3つの組み合わせによって氷河期と間氷期がやってくるのです。
 つまり太陽と地球との距離の変化と太陽光の照射角度の変化により、地球全体およびその地域が受ける日射量が周期的に変動しているため、温暖化と寒冷化が起きているのです。

今の温暖化が引き起こしている異常気象

 しかし、今の温暖化はこれまでのサイクルとは違うイレギュラーのものであり、あまりにも急激な温暖化が「異常気象」をもたらしています。
 異常気象とは単純に大雨が降ることや、猛暑日が続くことをいうわけではありません。例えば日本で普通にある梅雨なども、他の国に置き換えれば異常気象になるでしょう。
 異常気象とは、その地域でそれまでまれにしか起きなかったレベルの気象が頻繁に起きることを指します。
 その結果として、例えば降雨でいえば、その土地の川のキャパを超えて洪水になったり、その土地の斜面保持のキャパを超えて土砂崩れが起きたりするのです。

 近年は頻発する豪雨により災害が多発し、多くの人が亡くなるとともに、甚大な経済損失を引き起こしています。
 氷の融解と海水の熱膨張による海面上昇も大きな問題であり、今後は沿岸地帯に集中する都市や農地で高潮や洪水被害の頻発が予測されます。
 さらに世界規模でみれば、気温上昇や干ばつ、洪水によって生ずる食料不足は、貧困国の食料問題や国家間の安全保障問題にまでつながるでしょう。
 
 今後は異常気象の災害に対応したインフラの再整備にも、大きな予算を費やす必要が出てきます。果たしてこれからの日本に、どれだけの経済的余裕があるのか、それも懸念されるところです。

 次回は温暖化がもたらす最大の問題、「生態系の破壊」について考えてみます。

(#006 2023.08)
第1回 地球温暖化のメカニズムを知る

第3回 深刻さを増す生態系の破壊

第4回 なぜ温暖化対策は進まないのか


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