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試練
知らないこと、未知の体験は不安だ
それが一般的なことであっても
一般的であればあるほど周囲からの情報も入るから
「マズイ」
「苦しい」
「辛い」
だいたいこういう評判
概ね不評だ。いや不評ばかりだ
さらに不安が増す、控えめに言って恐怖
数年前からずっと回避しようと思っていた
思っていたのだが、屈した。
またしても大人の階段を登った(すでに十分過ぎるほど大人なのだが)
バリウム検査の話だ。数年前から恐れていた
これは人に言った事がないのだが
以前の職場で「バリウム検査してお腹の調子が悪い」と言う上司がズボンの後ろに白いシミを付けているのを見たことも恐怖の要因だった(よく覚えていないが早退していた気がする)
他人事ではない、検査後に下剤を飲む予備知識もあった
私は下剤を飲んだ事がない
効き過ぎてお腹を壊したらどうしよう、紙パンツを履こうかギリギリまで迷った。
とにかくバリウム検査を回避しようと思っていたのだが
何だか断ったり別の検査を手配する事がその時期とてつもなく億劫に感じられた。
検査当日、初めてだと分かるのだろうか
「大変でしょうが、バリウム検査がありますね」
それはそれは哀れみの目の向けられた
2度3度と言われると恐怖は確信に変わる
問診でも「あー、初めてですね、大変ですが。下剤出しますので。」お腹を壊さないか不安を打ち明ける
「いや、出ればいいんです、お腹が痛くなっても。出ない事が問題です!」
そりゃそうですね…と思いつつ
悲しみが顔に表れたのか直後「すみませんね!」と謝られた。いや、不満に思った訳ではなくただ恐怖だった
その後は流されるまま粉と液体を飲まされ寝かされ回された。ただ検査の担当の方も優しかった
丁寧で事細かく動きを指示して具合が悪くないかも気遣ってくれた。
結果、案外大丈夫だった。
大量の水を飲み干す、お腹も壊さなかった。
一仕事終えた事を安堵し
帰宅して夫に自慢した
凄いでしょう?
褒めてくれても良いけれど?
「どうして褒めるの?俺も何回も受けたよ。」と笑われた。
年上夫は何年も前から受けている。
そうかみんな、なんて事なくこなしているのか
年上への敬いが増した。