葬儀の種類
はじめに
日本における葬儀は、文化と信仰に根差した多岐にわたる慣習と儀式から成り立っています。主に仏教、神道、キリスト教の三つの宗教がそれぞれ異なる形式で葬儀を行います。
仏教では、故人が「成仏」して来世で仏の弟子になるよう祈り、神道では家族の守り神になることを願います。キリスト教では、死は天国での安息として祝福されるものとされます。それぞれの宗教において共通するのは、故人とのお別れと、その人生を偲び尊重する心です。こちらでは、これら三つの宗教の葬儀における慣習と儀式の違いと共通点について記載していきます。
仏教
日本では葬儀の9割以上が仏式で行われています。
僧侶が読経をし、故人が「成仏」して来世で仏の弟子になるよう祈ります。そして仏様になった故人の導きと冥福をお願いするという儀式です。
■ 日程
前日:通夜(読経・焼香・喪主挨拶等)
当日:葬儀(読経・弔事・弔電朗読等)告別式(一般会葬者焼香・喪主挨拶等)
通夜は遺族や故人と生前親しくしていた人が参列します。遺族や親族のみで葬儀を行い、一般会葬者は告別式からの参列となります。
■ 席
祭壇に向かって右側が親族。左側が友人、知人となります。
親しい関係から、前に座る形となります(通夜、葬式ともに同様の席順)
神道
神道儀式は日本に古くからある伝統的な儀式です。
斎主が司り、祖先の霊に故人が亡くなったことを知らせ、故人の霊魂が祖先の霊と共に家に留まり家族の守り神になってくれるよう祈ります。
■ 日程
前日:通夜祭・遷霊祭り
当日:葬儀祭(祝詞奏上・玉串奉奠等)/ 火葬祭(火葬祭・帰家祭・埋葬祭等)
通夜祭は遺族や故人様と生前親しくしていた人が参列します。一般の方は告別式からの参列となります。
■ 席
神前に向かって右側が遺族や親族、左側が知人の席となります。
玉串奉奠のときも、喪主、遺族、故人と深い関係の人の順に行います。
キリスト教
キリスト教の葬儀には本来決められた形式はなく、日本の習慣を取り入れた形で行われています。キリスト教では、死は「召天」「帰天」といって、神に召されて天国で安息を得る喜ばしいことであると考えるため、「ご愁傷様でした」などというお悔やみの言葉はタブーとされています。
■ 日程(カトリック)
前日:通夜(通夜の祈り・献花等)
当日:葬儀(聖書朗読・聖歌等)/ 告別式(散水・散香の儀式・埋葬式等)
■ 日程(プロテスタント)
前日:通夜(礼拝・遺族の挨拶、献花等)
当日:葬儀(賛美歌・牧師による祈祷等)/ 告別式(献花・昇天記念日・埋葬式等)
一般会葬者も遺族や親族とともに葬儀の最初から参列します。教会への入席は一般会葬者が一番はじめになります。
■ 席
祭壇に向かって右側が遺族、左側が知人の席となります。一般会葬者は左側後方に座り、あとから入場してくる遺族を静かに見守ります。
おわり
それぞれの宗教が持つ独自の価値観や儀礼は、故人との最後の別れを深く尊いものとし、生者と死者とのつながりを象徴しています。
また、参列者の席順や作法は、故人との関係性を大切にする日本の社会性を反映していると言えるのではないでしょうか。葬儀はただの儀式ではなく、故人への感謝と尊敬の表現、そして未来への願いを込めた行事であり、その多様性は日本の文化の豊かさをも体現しています。
この機会に、自分にとって何を大切にし、どのように故人に別れを告げたいのかを考える契機とすることも意義深いかもしれません。弊社では、茨城エリアで葬儀社を営んでおりますので、お気軽にご相談いただけますと幸いです。
(※)本記事は筆者個人の見解となりますことご了承下さいませ