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狩猟日記:2024年11月10日(村上春樹を読まない読書会)

6:30に農家の滝沢さんから電話が鳴る。「鹿がかかってるからとりにきてくれ〜。」とのこと。急ぎ着替えて家を出る。朝のりんご畑は霜がおりていた。りんご畑で鹿が1頭かかっていたが、滝沢さんとの約束の時間があるのでいったん放置。

鹿毛は保護色であることが分かる写真

滝沢さんの畑に向かう。滝沢さんは都会で勤め上げ山で悠々暮らしている面白いオジサンなので狩猟日記でいつか紹介したい。畑に着くと木がグラングラン揺れているで大きな鹿だとすぐに分かる。近づくと3段角(オスの大きな鹿で角が3つに分かれている)。滝沢さんに「今日は時間がないから明日に取りに来る。許して🙇‍♂️」。と挨拶しりんご畑に戻る。

メス1歳の鹿
イノシシが踏み外したと思われる罠

りんご畑の子鹿を捕獲。すぐ近くの罠が作動している。そして近くにイノシシが新しく掘り返した形跡がある。丁寧に罠を再設置したので明日の見回りに期待。鹿を積んでジビエ処理場に向かう。

菅平のジビエ処理場。手前が解体小屋。奥の鹿マークがある小屋は精肉と保管コンテナ。

到着したのが9時。急いで解体をし10時に作業を終える。最近は子供のサッカー大会の送迎以外は、狩猟、解体、精肉、お肉の発送以外していないのだが今日は2ヶ月に1度の趣味の時間。

村上春樹を読んだことがない人が集まり、ノルウェーの森を妄想しようという読書会。

僕が大学生の頃1996年〜2000年、猛烈に村上春樹は流行っていた。友達も読んでいた。社会人になっても広告代理店にいたので、直接聞いてはないが読んでいた人は多かったと思う。みんなが読んでるなら僕は読まなくていいかと、最初の1ページを開かなったことで今まで1度も村上春樹を読んだことがない。ちょっとは本を読む方で、村上龍、鷺沢萠、沢木耕太郎、三田誠広、とかは思い出せる。昔は取材(出張)の度に1冊本を読んでいた。最近1番面白かったのは元上司から勧められた「火山のふもとで(松家仁之)」。好きな漫画は「キーチ(新井英樹)」。

本屋さんが会場

イベントの様子は主宰の岳さんのfacebookを引用する。普段は鹿としか話していないので、全く脳の違う部分が刺激された。

『読まずに読む/読む前に読む』
ついについに【村上春樹を読まない】を開催。
憧れの「読まずに読む読書会」です。
村上春樹に鬱屈を抱えた人、言い掛かり的に村上春樹に嫌なバイブスを感じとり読んで来なかった人、読んだけど忘れちゃった人、皆が読んでるからと手に取らなかった人、買って読んでみたけどなんか違和感があり少し距離を取った人などなど
……村上春樹との距離感がそれぞれの参加者にめぐまれました。
小出しにされる情報を頼りに、頼れるオブザーバーの力も借りつつ、犯罪捜査みたいに登場人物や得られた情報をボードに貼り出しつつ、読んでいきました。
オブザーバーさんの情報の出し方が絶妙でした。作品世界のみならず刊行当時の時代背景とか同時代の他の作家とか村上春樹の作家性、また村上春樹がノルウェイの森で試したことなども適宜話してくださり、未読者の我々は「ほほぅ」と感心することしきりなのでした。
とは言え、提供される情報は限定的で未読者たちは一生懸命、
「そもそも装丁がクリスマス的でムカつく」
「主人公がイケ好かないな」
「うーん、思い出せない」
「結局ノルウェイの森に行くのか、行かないのか」
「え、日本でのお話なの?」
「井戸で他殺の線もありうるね」
「これは村上春樹的夏目漱石の「こころ」のカバーなんじゃないか」
「タッチの達也が独りぼっちで終わるパターンなのでは?」
「こいつはただのモブキャラだね」
「え、私小説じゃないんですか」
……などなど未読者故の迷妄、臆見、憶測、拭えない先入観、イチャモン、混乱、トンデモ、独断、偏見、が渾然一体となって、読んでないのに、また読む前なのにかなりの情報密度というか濃ゆい読書体験となりました。
これは……かなり楽しい。
で、ここまでやるとやはり正典を読みたくなるわけで、読んだら答え合わせをしたくなるわけで……
年明けに【村上春樹を読んだ】の開催が決定致しました。まぁ、ただの読書会なんですけど(笑)
「読まずに読む読書会」は想像以上に面白い読書会でした。他の作家・作品でもやってみたいものです。
非常にオススメの遊びです。
やってみて欲しいわー

細井 岳 2024年11月10日のfacebook投稿より

ということで、明日は大きな鹿がまっているので寝る。今日も駄文をここまで読んで頂いた方に感謝🙏