マイペース男と崖っぷち女の噛み合わない駆け引き
※この小説は2016年に連載を開始したものであり、当時の世相を反映し、絶妙にダサく古臭いと思われるものも散見されます。
それに輪をかけて、百鳥ユウカは痛い女ですので、精読に耐えないものがあるかもしれません。
しかしながら、編集部および著者の見解として、当時の貴重な文化遺産的な
側面を評価し、連載当時のまま掲載いたします。
「大ちゃん、この前はゴメンね〜。急に呼び出したりして」
目の前に座ってる大輔は、目をキョロキョロさせている。この間の私の態度から180度変わったことに驚いてるみたい。私がこんなに愛想よくしてるんだから、もう少しいいリアクションをしなさいよ。
「それに今日はこんな素敵なお店の予約までしてくれて、ありがとう」ダメ押しとして今日のお礼も丁寧に伝える。
しかし大輔は「うん」と少し間を空けて答えただけだった。
大輔は手持ち無沙汰みたいで、いそいそとメニューブックを広げてみている。
ユウカは5日前に振った(はずの)男、大輔と麻布に鉄板焼きを食べに来ていた。
「ごめん、予約いっぱいでカウンターが取れなくて」
大輔は申し訳なさそうに言ったが、ユウカは優しく答える。
「ううん、ぜんぜん気にしないで。むしろ、二人でゆっくり話せていいじゃない。テーブル席」
「ならよかったけど」
鉄板焼きは本当はカウンターで食べた方が絶対美味しい。シェフから素材や調理の仕方などを聞きながら出されたものをいただくと、やっぱり一味違うし料理はエンターテインメントだな、なんて思うけど、今日のユウカにとっては、それは二の次。
いちおう、大輔と真剣な話をしようと思ってやってきたのだ。こんなことくらいで責めるつもりはない。
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昔からかなりモテてきたOLの百鳥ユウカさん(34)。しかし寄る年波に勝てず、自分の価値の低下に嘆く日々。本気で婚活活動に励むものの失敗ばか…
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