"支援"ではなく"協働"するということ
ソシオファンド北九州の活動の柱の1つが「びびんこ」。
「この活動をやろう!」ということでソシオファンド北九州が立ち上がった、現在でも中心的な活動です。
「びびんこ」とは、社会課題の解決に取り組む社会起業家に対する
○メンバーによる約1年間の経営サポート
○最大50万円の資金提供
4~5名のメンバーでサポートチームを編成して、社会起業家との1~2週間に1回程度の定期的なミーティングをしながら、社会起業家の抱える課題や悩みごとを一緒に考え、時には汗をかきながら解決していきます。
同じようなサービスを提供している公的機関や組織もあって、それらは「経営支援」や「伴走型支援」といった言葉で紹介されています。
ただ、ソシオファンド北九州では、「支援」ではなくあえて「協働」と表現しています。
「支援」という言葉には、どこかむずがゆさというか、居心地の悪さを感じてしまうんですよね。
それにはいくつかの理由があります。
まず1つ目の理由は、私たちがプロのコンサルタントではないこと。
メンバーはそれぞれ本業を持っていて、様々な専門性や経験、人的ネットワークを持っています。
と言いつつも、必ずしも社会起業家が抱える課題や悩みを解決できる専門的な知識や経験を提供できるわけではありません。
そんな時には、それぞれが持っているものを出し合いながら、、時には一緒に悩み、時には真剣に議論しながら、一緒に取り組んでいくというスタイルです。
支援する側・される側といった関係ではなく、社会起業家のみなさんと同じ立ち位置で事業に取り組む。
「こうすれば良いですよ」と一方的に答えを提供することはできないけれど、「協働」だからこそ生み出すことができる成果があると考えています。
2つ目は、私たちも学んでいること。
協働先の活動は、すでに知識や経験がある分野もあれば、まったく初めてということも。
協働チームに参加したメンバー自身も、社会課題を知り、身近に感じることができるようになっていく。
さらに、協働に参加している他のメンバーの知識やスキルからも学ぶことも。
そうすることで、協働を通じて私たちメンバーも学んでいく。
そんな理由から、私たちの活動は一方的な「支援」ではなく、あくまで一緒に取り組む「協働」だと考えています。
協働事業「びびんこ」の説明をすると、
「自分にはそんなことはできない」
「提供できるような専門性や知識は持っていない」
と言われる方がいらっしゃいます。
ただ、私たちも活動をスタートした時には、こういった活動をしたことがあるメンバーはほとんどいませんでした。
「本当に協働先に何か提供できるものがあるだろうか」
「ちゃんと成果は出せるだろうか」
と不安でいっぱいの船出でした。
それから6年。
活動を通じた実感としては、「何かを生み出すことができている」ということ。
それは目に見える成果の場合もあれば、まだ目に見える形にはなっていない場合も。
時には私たちが成果と思っていなかったことに成果を感じてもらえることもあります。
協働先や活動内容や組織体制、そして抱える悩みによって、協働のやり方は毎回異なります。
こうすれば成果が出せるという決まった「型」がないことは、難しさでもあり、やりがいでもあります。
そして時には、まったく専門外の知識や経験が役立つことも。
建設業の知識が保育の現場に活かされたり、子育ての経験がないからこそ、子育ての問題に気づけたり、趣味でやっていたことがヒントになったり。
そんなふうにして専門外のメンバーが関わるからこそ、思いがけないヒントが見つかったりすることも多々あります。
専門性が必要となる「支援」とは違って、「協働」では、協働先のために何か力になりたいという思いがあれば、きっと役立つことができることがある、そう感じています。
「協働」だからできること、そして「協働」は誰にでもできること。
私たちはそう考えています。
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