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気になるあの子|ショートストーリー

今日も同じ時間、同じ道であの子に会う。
随分前にこの辺りに引っ越してきた子らしい。

ふわふわとした髪の毛に、笑うとできる笑窪が印象的なあの子の名前を僕は知らない。
「やぁ、君。今日もここにいるのかい」
あの子にんまりと笑って、今日あったことを話してくれたりする。僕はそれをじっと聞く。
あの子の声はやわらかくて、やさしくてとても心地がいい。
最後にちょっとおやつを分けてもらって、さよならをする。それが最近の日課だ。

彼女は時折とても疲れたような顔をしていることがある。なにやら資格を取らねばならぬらしく、毎日勉強をしているのだとか。
何だかわからないが大変そうで、気になってしまった僕は雨の日もその場所に来てしまった。

「あれ、君。今日は寒いよ、おうちに帰りなよ」
あの子は傘をさして、僕に言う。
「濡れちゃってるな、何で雨なのにいるのかな」
僕は君が心配だよ。だけど伝わらない。
「よし、うちにおいでよ」
ヒョイと彼女に持ち上げられて、僕はびっくりして「ニャア」と鳴いた。

毎日会っていたあの子が、今日から家族になった。

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suga
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