#5『流転する風景Ⅱ』斎藤朱門
景色に吸い込まれそうな写真。
斎藤朱門さんの写真展に行った感想を書き残そうと思った私はこの一言がまず出てきた。
2019年の12月のとある日の休憩時間。
たまたま見ていたサイトで一枚の写真に目が止まった。
壮大なイタリアの風景、そして展示が思いの外職場の近所でやっていたことから、早速その展示に行くことにした私は、残り少ない休憩時間に少し早足で展示会場に向かった。
途中から、なんだか小走りで来てしまったので息を整えてから、よしと気合を入れて会場に足を踏み入れる。
会場を見渡すと、ちょうど時間帯的に人はまばらで、私ともう何人かが各々好きに写真を眺めていた。
私もひとまず端っこから写真の前にいく。
「え…?」
驚いた。ぐわりとその景色に飲み込まれそうになるような感覚、気がつくとイタリアのどこかの丘に私は立っていた。
なんだこれ、すごいぞ。
どこかの風景を目の当たりにしている、という感覚。
雲が、空が、草木が揺れているように感じる。
写真がOKな展示だったので、一通り見てからスマホで2枚ほど。
実際に写真の前に立った時のあの驚きは新しい感覚だ。
仕事の休憩中だということも忘れるようなその光景はまたひとつ写真の側面を知れるものだった。疑似体験という言葉もあるが、この展示はなんとなく実体験だと言えるものだと、私は感じた。
斎藤 朱門 さいとう しゅもん
2013年カリフォルニアにて、とあるランドスケープフォトグラファーとの出会いをきっかけにカメラを手に取り活動を始める。海外での活動中に目にした作品の臨場感の素晴らしさに刺激を受け、自らがその場にいるかのような臨場感を出す撮影方法や現像・レタッチテクニックの重要性を感じ、独学で風景写真を学び始める。
カメラ誌や書籍、Web等を通じて自身で学んだ撮影方法やRAW現像・レタッチテクニックを公開中。
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