#1『名もなき人たちのテーブル』マイケル・オンダーチェ
今年の春に買った本がある。
1943年スリランカ生まれの小説家、マイケル・オンダーチェの著書『名もなきひとたちのテーブル(cat's table)』だ。
この本は、第一回日本翻訳大賞を取った作品だ。
11歳の少年マイケルが故国スリランカからイギリスへ向かう3週間の船旅の冒険譚である。物語はこんな一文から始まる
『その夜、彼は11歳で、世間のことなど何も知らぬまま、人生で最初にして唯一の船に乗りこんだのだった。まるで海岸に新たに都市が作られ、どんな町や村よりも明るく照らされ