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頭が沸騰するほど、熱い体験。
頭が沸騰しているように熱く、その緊張や興奮を解くためだろうか、自然と大きなため息がこぼれる。全面ガラス張りの窓の外は、だいぶ日が落ちていて、灰色に濃い赤が混じったような色に染まっていた。そのまま体を後ろに倒してソファーにもたれかかり、天井を向いてまぶたを閉じた。
人の話を真剣に聴くのは疲れる。
これはぼくの、正直な気持ちだ。もしかしたら、話すことよりも大変なことかもしれない。それも、その道の一流の方であればなおさらのことだ。仕事をし、生きてくるなかで感じ、思い、考え、体験してきたことの総量がものすごいからである。水にたとえるならば、バケツいっぱいくらいの人もいれば、お風呂いっぱいになみなみと溜まっている人もいる。一流の人はというと、プールいっぱいで溢れるほど、という感じだろうか。
そうして、話を聴いている人に、その水、、いやお話がドバァ〜ッと注がれる。だから、聴き手の人もその器を問われる。その器の大きさやら深さの分しか、注がれた水を受け止めることができないからだ。そういう意味で、本気で話を聴くというのは真剣勝負そのもので、終わったあとには疲れ果てる。
ということで、昨日のインタビューは疲れた。その対談相手は、チカツタケオさんというイラストレーター、デザイナーだ。聞いたり、目にしたことがないお名前かもしれないが、彼が手がけた作品は多くの人が知っていると思う。
写真のようにも見えるこの絵・・・、最後はこのような形に仕上がる。
そう、チカツタケオさんは、小説家である村上春樹さんの『騎士団長殺し(新潮社)』をはじめ、湊かなえさんや東野圭吾さんなどの装幀画を数多く手がけているのだ。
夢のようで真剣勝負な時間。
目の覚めるような気づきの連続。
じぶんの一部が生まれ変わるほどの体験。
意味もなくカッコつけて書きたくなるくらい、ほんとうに貴重な場だった。さて、そんな沸騰状態の頭を冷やして、充分に熟成させてからインタビュー記事へとまとめていこう。
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こんなインタビューもやってきました。
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◉ 人の心をつかむ著者の条件:編集者箕輪厚介さん
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