コンビニのセルフレジで学ぶ!オブジェクト指向とタスク指向
こんにちは、ajikeでUI/UXデザイナーをしているすえです。
今回は「身近なUIについて分析したら面白いかも?」と思い立って実践したところ、面白い結果が見えてきた “コンビニのセルフレジ” のUI/UX分析と、その分析結果に伴う “オブジェクト指向・タスク指向” について記事にまとめました。
セルフレジには大きく2種類ある
初めにセルフレジについて、ちょっとした知識をご紹介。
皆さんは、セルフレジには2つの種類があることをご存知でしょうか?
その2つとは
商品の読み取りから清算までの全工程を顧客が行う「フルセルフレジ」と、商品の読み取りは店員が行い清算は顧客が行う「セミセルフレジ」です。
言葉には馴染みがないかもしれませんが、「セルフレジには確かにこの2種類があるな」と感じる方も多いかと思います。
今回のUI/UX分析ではセルフレジの中でも「フルセルフレジ」であるコンビニのセルフレジを対象にしました。(セミセルフレジであるセブンイレブンなどは対象としていません。)
コンビニ4社のフルセルフレジを比較
今回は、フルセルフレジを導入しているこちらの4社のセルフレジを分析しました。
分析、といってもコンビニのセルフレジは「商品を購入する」という具体的かつただ一つの目的が決まっており、タッチパネル画面内の要素や構造に大きな違いはなさそうです。一体どこを分析したら面白いのでしょうか?
そこで注目したのが、「ユーザーの行動フロー」です。
セルフレジのゴールは「商品を購入する」ことです。これはこの4社はもちろん、どのコンビニのセルフレジでも同じです。
しかし、そのゴールまでの道のり。つまり、ユーザーの行動フローは4社とも異なりました。
4社のセルフレジにおけるユーザーの行動フローをまとめると、
となりました。
この4つの行動フロー、2つに類別することができそうではないでしょうか?
それは、最初にとる行動が「購入する商品を読み取る」なのか、「支払い方法・ポイントカードを選ぶ」のどちらなのか。
つまり、最初に「対象となる物を決める」のか「自分の行動を決める」のか、の2つです。
そしてこの2つが、今回のタイトルにも入っている「オブジェクト指向」と「タスク指向」なのです。
「商品を読み取る」という、目的のもの(今回だと購入する商品)を最初に決める(=読み取りをする)のが「オブジェクト指向」。
「支払い方法・ポイントカードを選ぶ」という、自分の行動を最初に決めるのが「タスク指向」となります。
つまり、NewDaysとミニストップのセルフレジは「オブジェクト指向」、ローソンとファミリーマートのセルフレジは「タスク指向」と言えます。
「オブジェクト指向」と「タスク指向」を簡単にまとめると…
コンビニのセルフレジでなんとなく違いが見えてきた「オブジェクト指向」と「タスク指向」。
わかりやすいように日常生活で行っている行動に当てはめると、
となります。さらに、アプリ(例:写真共有SNS)に当てはめると、
といったものになります。
オブジェクト指向とタスク指向がどういうものか、簡単にではありますがわかってきたかと思います。
それでは、この2つにはそれぞれどのようなメリットがあるのでしょうか?
オブジェクト指向のメリット
・日常生活での多くの作業と同じ感覚で操作できる
・構造がシンプルになり、手順が少なくて済む
タスク指向のメリット
・オブジェクトが単一の場合、シンプルでわかりやすくできる
・ユーザーの行動が決まってない場合、選択を絞り混乱を避けられる
オブジェクト指向とタスク指向は「どちらかが良い」というものではなく「それぞれに異なるメリットがあり、得意な場面がある」のですね。
セルフレジではオブジェクト指向とタスク指向、どっちがいいの?
オブジェクト指向とタスク指向には、それぞれ良さがありました。それでは、今回のような「セルフレジ」ではどちらの方が適切なのでしょうか?
今回分析した結果、「オブジェクト指向」の方が適切であると感じました。理由は2つあります。
理由1
セルフレジ以外のレジでものを買うとき、私たちは「店員さんが商品を読み込む」→「支払いをする」という順番で買い物を行います。これは、オブジェクトである「購入する商品」を先に決定し、その後に行動である「支払い」がきている、オブジェクト指向の流れになります。
つまり、「ものを購入する」時の慣れ親しんだ行動フローと同じなので、オブジェクト指向のセルフレジは使いやすく・心地よいと感じたからです。
理由2
セルフレジを使うとき、ユーザーは「“もの”を購入する」という明確な行動が目的となっています。その場合、行動を選択する「タスク指向」よりも、行動の目的である“もの”を最初に決められる「オブジェクト指向」が向いていると言えます。
以上で今回の記事は終わりです。
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