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大衆の中のアート――アメリカンポップアートを通して考える「歴史」
1950年代後半から1960年代にかけて、アメリカで広まったアメリカンポップアート。消費社会や広告、日常のイメージを作品に取り入れ、既存の美術の枠組みを揺さぶったこの運動。
アンディ・ウォーホルという名前を知らなくても、カラフルなマリリン・モンローの顔が何枚も並ぶ作品を目にしたことがある人は、きっと多いです。それくらいポップアートは、私たちの日常にも溶け込んでおり、身近な存在です。
このウォーホルの「マリリン・モンローシリーズ」が制作されたのは、モンローが悲しい最期を遂げた直後のことだったそうです。これに対して、「彼女を侮辱している」と美術界から大きな批判が集まりました。(そう感じるのも無理はないと思います。)
ただ、こうした反応も、芸術運動としてはある意味で当然だったのかもしれません。ポップアートは、既存の価値観や美術の権威に対して挑戦する運動だからです。しかし、大衆からはむしろ称賛され、「アメリカンポップアート」という新しいジャンルが確立されました。そして、それまで美術界の一部の層に限られていたアートが、一般の人々の手に届くものとなりました。
こうして「ポップアート」は、ただの流行ではなく、消費社会と大衆文化の象徴として現代にも続いています。
アートの歴史は人類の歴史。もしかしたら、私は単に作品を見たいのではなく、「歴史」を見たいのかもしれない――そう感じています。
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