僕と妻のポーランド日記4
さて初日の二つの授業。ポーランドで最も一般的なスーパー「ビエドロンカ」の大きな買い物袋を持って臨みました。ビエドロンカとはテントウムシの意味です。赤い地に黄色の字で「Ide do Biedronki」と書いてあります。それぞれ20人弱の初級の学生・市民クラスです。
「イエステム(私は)…」と言って袋を掲げます。みんなきょとんとした顔で「ビエドロンカ(テントウムシ)???」。「ニエ イエステム ビエドロンカ(いいえ、私はテントウムシではありません)」と僕。そして、やおら「イエステム IDE(私は井手です)」と言います。学生たちは「オウー」と声をあげました。IDE は「私は行きます」という意味の動詞で、みんなそれが名前だとは思わなかったのです。この袋は「イデ ド ビエドロンキ」と読み、「私はビエドロンカに行きます!」と書いてあるのです。かくして僕は「テントウムシ先生」になりました。
学生は、おじさんが1人、あとはみんな若者ばかり。筆ペンで字を書く人、どこで習ったのか「はいです」と答える人、日本のファッションが好きというフリフリの服を着た女性、漢字を習いたいという青年、もちろん知っている言葉は「ばかみたい」というゲーム好きや「鬼滅の刃」を読んだという子も。でもみんな礼儀正しく親切な人ばかり。日本から持ってきたミッキーの指し棒であてると、好奇心いっぱいの目で答えてくれます。妻を紹介し、家族や友達の間では「おはよう」「おはよう」、もし妻が上司だったら僕「おはようございます」、妻「おはよう」と、日本のおじぎをしてコントをやったら笑ってくれました。