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松本への旅
松本十帖へ
2024年の年末に、近畿地方から長野県松本市に一人旅で出かけました。松本市は以前夫と訪れたことがあったのですが、今回はある目的があって行きました。それは、「松本本箱」というホテルに泊まることです。備忘録も兼ねて、その時のことを書きます。感想は個人的なものなので、参考程度に。中々長いですよー。(笑)
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普段の旅では、高くても1万円台のビジネスホテルを早めに予約して泊まる、ということが多いです。でも、今回は思い切って贅沢してみました。前述しましたが、本屋が併設されたホテルに泊まりたかったからです。
読書が好きで、いろんなジャンルを読んでいると思うのですが、地方に住んでいる者としては、近所の本屋だと本の量が物足りなく、ネットは古本を探すのは便利ですが、やはり大きい本屋でのんびり本を選びたいという気持ちが時々湧いてきます。他県で「近所に本屋はもう無い」「あったが閉店してしまった」という声を聞きます。それと比べると、まだ恵まれた環境だなと思いますが・・・
時々、ホテルの検索サイトを見ていると、「おすすめの宿」で「松本十帖」が出てきました。宿泊代を見てみると「おーっ」とびっくりするお値段。でも、サイトの写真を詳しく見てみると、宿泊者は本のコーナーに自由に出入りでき、購入もできるらしい。・・・いいなあ。予約を入れてから少し迷い(3カ月くらい)もあったのですが、思い切って家を出発し、松本へ。
「松本十帖」は浅間温泉内にある、ホテル・カフェ・外湯の総称です。「松本本箱」は、その中の本屋が併設されたホテルです。松本駅から市内の循環バス「ぐるっとまつもと」で約三十分、「浅間温泉入口」で降り、のんびり歩くこと十分ほど。一枚目の写真の通り、「松本十帖」の駐車場が見えてきました。
私は、自家用車は使わなかったのですが、駐車場そばにあるカフェでチェックインとのこと。へぇ、ホテルの中ではしないんだ⋯と2階に案内されると、古民家を改造した黒と茶色で統一されたおしゃれなスペース。お昼半ばで到着した時は、ほとんど満席でした。ちらりと観察すると、周りは若いカップル、家族連れが多く、そりゃこの年末に一人で来る人はあんまりいないだろうなぁ、と心の中で呟きました。お店のスタッフの方から、ホテルの概要を聞いて簡単な地図をもらい、サービスの紅茶とおやきをいただきました。その後、ホテルまで徒歩で向かいます。
気付いたこと
・チェックインの場所からホテルまでは3、4分の歩き。周辺は細い坂道が多いので歩きの観光が中心。
・私は「浅間温泉入口」で降りましたが、チェックインしたカフェの1番近くのバス停は「浅間温泉」でした。
・おやき、美味しかった!味は2種類から選べて、私はつぶあんにしました。もう一つは忘れてしまった。笑
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ホテルにチェックインする前に、少し先の坂を上がったところにある「哲学と甘いもの」というカフェでお茶でも飲もうかなと思いました。でも、お店の窓を外から覗いてもほとんど満席で、お茶は飲めず。ただ、店内に沢山ある本も見学と購入は自由とのことで、食事中の人たちの間を通って、哲学入門の小さい本を購入しました。その後、松本本箱に戻りフロントでアーリーチェックインの希望を伝えました。荷物を預かってもらい、通常のチェックインの3時まで、本のコーナーを散策します!
入口は小さいゲートになっていて、QRコードが印刷された紙をセンサーにかざして入場します。入ってすぐは、女性誌やブルータスなどのおしゃれな雑誌がたくさん。しばらく歩くと、「靴をお脱ぎください」とのお札があり、ブーツを靴置き場に置いていよいよ本格的に入場です。
ここは古い旅館を改築したそうで、部分的に畳や障子を使っています。階段がやや急だったりするのですが、床は赤いじゅうたんを敷いてくれているので、転ぶ恐れは無し。でも、たくさんの本に見とれていると、急に階下への段差があったりして、初めてならびっくりします。
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本のコーナーの隅にミッドセンチュリー風?というのか、丸いカプセルの椅子があって、つい長い間座って読書してしまいました。そして、「こども本箱」というコーナーでは、絵本を入れている本箱を組み合わせて壁や通路を作り、迷路のようになっていました。そして奥を良く見ると、ここはお風呂場だったようで⋯
本棚の横の浴槽に、小さいボールがいっぱい敷き詰められた遊び場が!はじめに行った時は親子連れがいたので遠慮しましたが、夜誰もいない時に、しっかり中に入ってボールに埋もれてきました(笑)楽しいな〜。本だけを置くのではなく、憎い演出。そして、天井から下がっているライトの傘は、銭湯で良く見かけた(今でもあるのかな?)黄色い「ケロリン」の洗面器!ユーモアたっぷりです。
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思ったこと
・「こども本箱」のところは、敢えてノンジャンルで本を置いているようです。今の時期なら、部分的に「1月におすすめの本」のコーナーなどを作ってもいいのでは、と思いました。
・「こども本箱」の近くに、ジェンダーレストイレ(誰でもトイレ)があったのですが、ドアの取っ手が丸くくり抜かれてるだけで、ドアを横に引くのか、他の方法なのかよくわからず、少し時間がかかりました。結局、押すタイプだとわかりました。時間がかかったのは私だけなんだろうか?笑
次に向かったのは「おとな本箱」。ここも元お風呂場ですが、こちらは浴槽の中にクッションがあり、壁面全部が本棚!一番上の本はどうやって取るんだろう〜。踏み台はありますが。本棚にはアート系の本がすらり。これは、夜中に来たら本を読みながらウトウトしてしまうかも。私は、室内の写真をとるのに必死で、眠くはならなかったんですが。あー、こんなに静かに、のんびり本を探すなんてはじめてだなぁ。
本のコーナー全体を振り返ると、靴を脱いで入ってすぐの本棚は「コロナ後の世界」や「松本という磁場」など、ジャンル分けしていますが、「おとな本箱」の入口前などは、料理、子育てなど、ゆるくジャンル分けしてあるのだけなので、堅苦しくなくていいなと思いました。
階段を上り降りして、うろうろしているうちに、あっというまにお部屋にチェックインの時間です。エレベーターで上がって行くと⋯
エレベーターの扉が開いたすぐ正面にも本棚が。そして、お部屋に着く前の廊下には、おつまみや浴衣、湯たんぽまで用意されています。必要ならばお部屋にお持ちください、というスタイルです。部屋を出てすぐのところにあるのが有り難い。顔を洗った後に、フロントまでおつまみを取りに行くのはちょっとね。(笑)部屋着を持って来たので、私は利用しませんでしたが、長野地方の染色方法で染められた浴衣だそう。次に来る時があれば、是非着てみたいと思いました。
お部屋は、一言で言うとミニマリスト風というか、壁はコンクリートむき出しなのですが、ソファのよこに和紙を用いたライトが置かれています。かっこいいなぁ。ごくシンプルなんですが、一つひとつのデザインが選ばれてこの部屋に置かれているようです。
そして、なんといっても素晴らしいののが、ベランダにあるお風呂と、そこから見える景色!食事の前に、お風呂にすぐ入っちゃいました。ちなみにお風呂のそばには引き戸があるので、外からは覗かれません(笑)
そういえば、このホテルは朝食やディナーの食材も地元の物を使っているそうで、「ローカル・ガストロノミー」というらしい。お食事も素晴らしかったのですが、私は特別グルメではないし、ここで書くと長くなるので割愛します。ついでに、写真もいっぱい撮ったのですが、どこまでネットに掲載してもいいのが正直わからないし、初めて行く人のお楽しみを無くしてしまうのもどうかな?と言う理由で、たくさんは載せていません。
夕食後、もう一度「おとな本箱」と「こども本箱」へ。不思議なもので、夜にたくさんの本箱に囲まれていると、昼に本を選んでいるときとは違う気持ちになります。エッセイをじっくり読んでみようか、それともイラスト入りの哲学の本か⋯近所の本屋に行く時とは全然違う。これはやはり、いろんなジャンルの本があるということと、本の置き方が工夫されているからだろうな、と思いました。
翌日チェックアウトは11時だったのですが、松本駅に向かうバスに乗るまで1時間近くあったので、フロントで荷物を預かってもらい。再び読書。図書コーナーに時計はないので、スマホで時間をたしかめながら、ギリギリまで料理本を見ていました。普段手の込んだ料理をしないのに。(笑)
あっというまに、バスの時刻が近づき、フロントの荷物を確認してバスに乗り込みました。あー、楽しい時間は早く過ぎるなぁ。
旅行後の感想
・お値段的に、頻繁には行けませんが、読書好きの人、グルメの人にはおすすめしたい宿です。
・電車・バスで行く人は、時刻表をよく確認した方がいいです。特に、浅間温泉を通るバスは本数が少ないので、乗り遅れると後の予定を変更しなければならないかも。
・自動車で行く場合、雪道に慣れていない人は運転に注意が必要だと思いました。前述の通り、駐車場はホテルから離れていて、ホテルの近所は坂道もあります。今回は夜に数センチの積雪がありました。日中は車道の雪は溶けていましたが⋯。
滞在中に購入した本を読んでいると、ホテル内や周辺の景色を思い出して
しまい、また行きたい!と思います。うーん、危険だ。(笑)家から遠い
場所で却って良かったかも。でも、今度は2泊したぐらい、近いうちに行きたいです。
ここまで、もし読んでくれた人がいたら、感謝します。ありがとうございます。