【シェイプ・オブ・ウォーター】異種愛って良い
アマプラで「シェイプオブウォーター」を観た。
大変にいい映画だった。
研究所に掃除婦として働くイライザが、研究所に捕らえられている人魚に音楽を聴かせながら一緒に食事をするシーンで理由もなく涙した。
なんだかとても美しいものを見たような気がした。
グロテスクと紙一重の造形美の人魚を見て、わたしはなぜか飼い猫に似ていると思った。表情に愛嬌があるのだ(瞬きするときに瞬膜が見えるところ、喉を鳴らすような声も猫っぽい)。
イライザが人魚をごく自然に恋人として愛するようになることにも納得してしまう。
人魚を研究所から海に帰す計画に尽力したロシアのスパイであるディミトリ博士が、人魚を生体解剖に回そうとするリチャードに向かって言う
「あの複雑で美しい生き物を殺したくない。」
という本音に唸った。
利己的なことばかりの現実の中にも、
「これは損なってはいけない」と思える領域がある。
それが人によって人だったり物だったり記憶だったり千差万別ではあるけれど。
この映画の中の、人魚を研究所から海に帰す計画に協力した人々は、イライザの人魚に対する愛情に自分が失いかけている損いたくないものを託しているように見えた。
理由や打算が介在しない二人の愛。
目には見えない美しさってこういうものよな。
対外的に見せる用の愛が蔓延る世界に逆行していた。