お仕事がもらえる!イラストレーターになろう!【就活編】
0.はじめに
こんにちは、sue02です。
今回は、これまでのゲームイラストの監修経験を踏まえて、
発注しやすいイラストレーターの特徴を考察したいと思います。
まずは簡単に、ゲーム関連のイラストのお仕事の種類と、
ゲームイラストを受注した後のよくある流れをご紹介します!
1.よくあるゲームイラストの仕事6つ!
自分の絵柄を生かして0から描く仕事を想像される方が多いと思いますが、
それ以外のイラストの方が圧倒的に多いです!
今回は、よくある6つの仕事をご紹介します!
■1.テイスト自由の書き下ろしイラスト
キャラクター指示書の形式は、
文字だけ、参考画像だけ、 文字と画像両方…
一言設定だけ、細かい設定たくさん…
などなど、案件により様々です。
キャラクター指示書がどのくらい幅広いのか、
私の経験でいうと、
一番簡素な依頼は『強キャラっぽいドラゴン』という一言で、
一番難解な依頼は『ハロウィン要素を全部詰め込んだ女子(参考画像大量)』でした。
■2.テイスト合わせの書き下ろしイラスト
ソーシャルゲームをご想像いただければと思いますが、
昨今のゲームイラストの依頼はこのタイプがほとんどです。
塗り方の指定だけのときは合わせやすいのですが、
昨今のゲームは制作ルールがどんどん厳しくなっています。
クリエイターやユーザーの目が肥えてきたためだと思いますが、
高いクオリティ(?)を求める案件が増えています。
ブラシ、塗り方、配色などのわかりやすい指定のほか、
線の微妙なゆらぎやニュアンスなど、
部外者にはわかりにくい修正がくる案件もあります。
■3.差分作成
サンタ衣装や水着衣装など、
季節モノのイラストをご想像いただくとわかりやすいかと思います。
新規キャラクターは、人気イラストレーターが担当することが多いです。
多忙ゆえに実装スケジュール通りに依頼ができない場合や、
別の新規キャラクターを依頼する場合が多いため、
ほとんどの場合は元絵のイラストレーターとは別の方が、
テイストを真似して描いています。
■4.クリンナップや微調整
エフェクトの量やイラスト全体のトーンを合わせる必要があるため、
テイスト合わせのゲームやレアリティ差分があるゲームに多い依頼です。
ほとんどは制作時のFBや依頼主の社内で完結する作業ですが、
依頼主が小さい会社の場合、
イラストレーターがいない会社の場合、
リリース直前に大量調整が必要になった場合などには、
外注イラストレーターにも話が回ってくることがあります。
■5.分業作業
テイストを合わせて0〜100まで描くのは非常に高度な技術です。
そのため、イラストレーターの得意な作業に応じて、
依頼を分けて発注することがあります。
同様のキャラクターで様々なシーンを作成する、
アイドルゲームやスチルイラストに多い制作方法です。
■6.アニメーションパーツの分離作業
加筆が発生するため、一応イラストの仕事に入れてみました。
Vtuberモデルを作っている方はイメージしやすいかと思います。
ほとんどは社内のイラストレーターやアニメーターが行うと思いますが、
大量のキャラクターのアニメーションを作成する場合や、
装飾が入り組んでいて分離作業に工数がかかる場合は、
外注イラストレーターにも依頼が回ってくることがあります。
2.すぐにゲームイラストの仕事をしたいなら…
■イラスト制作会社に登録してみよう!
興味がある方は、まずは副業代わりに挑戦してみてはいかがでしょうか?
ただし、登録したら必ず仕事が来るわけではありません。
登録審査をする会社さんも増えていますので、
登録すら出来ない…という場合もあるかもしれません。
業界歴が割と長い私でもたまに落ちます笑
そういうときは、そのイラスト制作会社が今求めているスキルとは、
乖離しているのかもしれません。
イラスト制作会社はたくさんありますので縁がなかったと諦めるか、
スキルアップをして再挑戦しましょう…!
■未経験の方はメンタルに超注意!
装飾や配色などの調整だけではなく、
個性のダメ出しに近い指摘が来ることもあります。
複数回のリデザインが発生したり…
提案とは全く異なる調整案を提示されたり…
クオリティ未達などの理由で依頼キャンセルになる場合もあります。
中には伝え方や気遣いが下手くそな人もいます。
強靭な心や幸運の持ち主以外は、
少なからずメンタルがやられると思いますので、
強い気持ちとストレス発散方法を身に着けてがんばってください…!
更に詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ↓↓↓
■社内絵師は狭き門!でも長く仕事にしたいならオススメ!
以前はイラストレーターをたくさん雇い、
社内にイラストチームがある会社が多かったのですが、
今はイラストのクオリティを非常に重視されている一部の会社くらいです。
社内イラストレーターは何をしているかというと、
UI 作成や赤入れなどのアートディレクション業務や、
組み込み作業などの『描く』以外の業務が増えています。
ネットで神絵師と言われる方々がたくさん裏方業務をしています。
『すぐにでもゲームのイラストを描きたい!』という方には、
ゲーム会社への就職は遠回りに感じるかもしれません。
でも、下積みと考えればメリットはたくさんあります。
・『仕事としてのイラスト』を見る目が養われる
・絵を見てくれる先輩がたくさんいるため、画力が上がる
・ゲーム作りのノウハウや絵の基礎知識をたくさん知れる
・社会人としての当たり前が身につきやすい
などなど…
これの何が良いかというと、
様々な案件にスムーズに対応できるようになります。
疑問を持てるようになるため、変な案件に引っかかりにくくなります。
仕事内容の幅も増えるため、様々な案件を取りやすくなります。
なにより、業界人とのつながりができることが大きいです!
更に詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ↓↓↓
3.ゲームイラストの仕事の流れ
実際にゲームイラストを制作する際の進行フローについてお話します。
イラストレーター視点と依頼主視点の両方をまとめてみました。
■ 受注するイラストレーターの流れ
【1.依頼相談】
発注日の3ヶ月前~1ヶ月前が定番ですが、
前日や当日にくることもたまにあります。
【2.発注】
契約書を交わしたら、
キャラクターの指示書や世界観設定の資料などが届きます。
発注日から作業に取り掛かれるように、
発注日当日までに来ることが多いです。
【3.ラフ〜線画〜着彩】
ラフ、線画、着彩などの確認提出タイミングは、
イラストレーターの描き方や知名度、案件の仕事内容により変わります。
例えば、、、
厚塗りの場合、『大ラフ→清書50%→清書100%』など段階的に提出したり、
分業作業の場合、途中確認は無く、完成データの提出時に調整が入ります。
ベテランイラストレーターの場合、『調整は無し』ということもあります。
各工程でのFB(調整、チェックバックともいう)は、
依頼主のOKが出るまで、同じ工程を複数回繰り返します。
【4.納品】
納品データにも指定があります。
制作に取り掛かる前に、納品形式やサイズを確認しましょう!
特にカラーモードは要注意です!
RGBとCMYKではかなり色が変わってしまいます。
■ 依頼主が発注から実装するまでの流れ
あくまで『仕事』だよ!と先程念押しした理由が、
こちらをご覧いただければお分かりいただけるかと思います。
【1.キャラ決め】
おおよそ実装日の半年前に動き出します。
依頼するキャラクターと、依頼するイラストレーターに目星をつけます。
決め方はチームの構成によりますが、
大規模チームの場合は、複数人で会議をします。
少人数チームの場合は、アートディレクターが独断で決めたり、
少人数の簡単な話し合いで決めます。
【2.交渉】
イラストレーターに交渉します。
断られた場合は、確保できるまで他のイラストレーターに交渉します。
発注日の1ヶ月〜3ヶ月前に交渉する案件が多いですが、
急ぎの場合は、発注日の即日〜1週間前の場合もあります。
アニメーションや3Dにする場合は、
その担当者とも相談し、スケジュールを押さえておきます。
その際に、イラスト制作時の仕様上のルールも確認します。
例えば、翼は2対まで、関節の追加は不可、逆さ構図はNGなど、
そういった制限もここで確認し、キャラクター指示書に落とし込みます。
【3.資料作成】
依頼するイラストレーターが決定したら、発注の準備をします。
多くの案件は1日~1週間程度の期間で作成しますが、
管理が厳重なチームでは、テイストの統一や倫理確認があるため、
社内確認の工程が入ることがあり1週間〜1ヶ月かかることもあります。
【4.発注〜納品】
『受注するイラストレーターの流れ』の段階です。
スケジュール内で納品できるように、FBを頑張ります。
FBは担当のアートディレクターが作成する場合が多いため、
即日〜3日で返答が来ることが多いのですが、
複数人で確認する場合や、
倫理確認などが発生する場合は数日~数ヶ月かかることがあります。
【5.実装】
イラストをUIに組み込むだけのゲームは、
テイスト統一のための微調整やアイコンへの組み込みなどを経て、
納品から実装まで1週間~1ヶ月程度かかります。
アニメーションや3Dを作成する場合は、
納品から実装までに1週間〜3ヶ月程度かかります。
4.依頼しやすいイラストレーターの3つの特徴
依頼しやすいイラストレーターには共通点があります。
※画力や経験は申し分ない前提!
※有名イラストレーターさんは集客力があるため、例外です!
■ 特徴1:日頃から世界観に近いイラストを描かれている
世界観に近いイラストをすでに描かれている方は、
完成イメージがつきやすいため、依頼がしやすいです。
近未来系やファンタジー系や歴史系などの定番イラストを、
一度は描いておくと仕事をもらいやすくなります。
やりたい案件のテイストを模倣したイラスト制作も有りです!
ただし、可愛い女の子を描くイラストレーターは非常に多いです。
もしそちら方面を目指す方は、激戦区であることをお忘れなく…
■ 特徴2:SNSが平穏
トラブルを回避するため、
発注前にSNSでどういう方なのかを調べることが多いです。
私も人のことを言えたTwitterではないですが笑、
悪口や非難ばかりつぶやいている方は、ちょっと心配になります。
クオリティ重視で人間性は問わない信条のアートディレクターもいますが、
そういう考えの方は少ないと思います。
ちなみに、SNSのフォロワー数やバズリ具合を参考にして、
ゲームイラストを依頼することは私の経験ではほとんどありません。
というのも、映えイラスト≠売れるイラストではないからです。
ゲームイラストは様々なポーズで全身を描くことが多いですが、
映えイラストは顔アップ+配色や加工でエモい感じにする傾向があるため、
求められるスキルが違います。
このあたりの質問をよく頂くので、別記事でお話したいと思います。
■ 特徴3:素性がなんとなくわかる
SNSを確認することと同じ理由です。
相手を全く知らない状態で依頼することもありますが、
少しでも知っている方の方が依頼しやすいです。
ゲームイラストの仕事を増やしたいのであれば、
SNSのフォロワー数やバズリ具合を気にしなくてもいいと思いますが、
親近感を持ってくれる人を増やすという目的で、
SNSを活用するのはとても良いと思います!
前回の記事↓↓↓でコネのお話をしましたが、
コネはあった方が良い!とお話した理由もここに付随します。
5.継続依頼しやすいイラストレーターの5つの特徴
初回依頼後、継続して依頼をご相談させていただく方には、
5つの特徴があります。
■ 特徴1.要件に合わせたイラストを上げてくれる!
例えば、下記の依頼書を二人のイラストレーターに頼んだとします。
下記のような2パターンのラフが上がってきました。
Q:どちらの方がゲームの世界観に合うでしょうか?
A:右(黄色)です。
継続依頼しやすいイラストレーターさんは、初稿から右を上げてくれます!
継続依頼を見送るイラストレーターさんは、初稿で左を提出しがちです。
依頼書には『ターゲットは男女』『クール』『3Dゲーム』とあります。
『ターゲットは男女』
ある意味当たり障りのない顔や体型の描き方が求められます。
『クール』
一般的にクールと言われるキャラクターを参考に、
キャラ作りをするスキルが求められます。
『3Dゲーム』
3Dの場合は動きがつくため、
動いた時に映える衣装の考え方が必要になります。
2Dでも動きが付く場合は同様の考え方をします。
ゲーム機能により映えるキャラクターは違います。
好みに引っ張られすぎたり、依頼書の一部分だけをピックアップせずに、
なにを表現してほしいのか把握しましょう!
ターゲットによるキャラクターデザインの考え方は、
下記の記事を参考にどうぞ↓↓↓
■ 特徴2.資料をしっかり見て描いている!
イラストを描くときは、必ず資料を見て、取り入れましょう!
手癖で描くと、厚みがなく、構造に違和感がある衣装になりがちです。
装飾のバリエーションも固定化しがちなため、
違うキャラクターを描いたつもりでも、
他人には同じキャラクターに見えてしまうかもしれません。
キャラクターデザインの細部には意図が大事です!
資料を見て描く癖をつけると、スランプもなくなります。
■ 特徴3.調整要件を的確に反映してくれる!
継続依頼しやすいイラストレーターさんは、
疑問がある場合、着手する前や途中の段階で相談してくれます。
もしくは、調整の提出とともに別の調整案も付けてくれたりします。
継続依頼を見送りやすいイラストレーターさんは、
調整工数が高すぎてしまう方が多いです。
◎実際依頼してみたら、ゲームイメージとの乖離があった…
◎一部の調整しか対応してくれなかったため、納品後に大幅調整が発生した
などの理由があります。
調整はイチャモンを付けるために行うわけではありません!
イラストレーターさんに奴隷になれ!といっているわけでもありません。
イラストレーターさんのスキルを活かしていただきながら、
一緒に良いキャラクターを作るための作業の一つです。協力しましょう!
■ 特徴4.スケジュール管理ができている!
納期を守らないイラストレーターが大半ではありますが笑、
継続依頼しやすいイラストレーターさんは、
納期遅延をしそうになったら事前連絡をくれる方が多いです。
事後連絡ましてや、納期が過ぎても何日も連絡がなかったり、
数週間後…数カ月後にしれっと送ってくださる方もいたりしますが、
お仕事としてそりゃーないでしょと思わざるを得ません。
それほど有名ではないイラストレーターであれば尚更です…(失礼)
もしやらかしそうになったら、
『依頼主が発注から実装するまでの流れ』の工程を思い出してください。
事前に連絡せねば!!と思えるはずです。
納期遅延を前提に数日分は余裕のあるスケジュールを組む事が大半ですが、
実装までのスケジュールは決まっていることが多いです。
イラストレーターの仕事はイラストを描いて終わりですが、
実装するには、まだまだやることがあります!
納期を信じて待っています!
■ 特徴5.責任感がある!
イラストは、こだわりや丁寧さが目に見えてわかるものです。
継続依頼を見送る方は、適当さがわかりやすい方が多いです。
そうなってしまうよくある理由は、
『複数回の調整により気力がなくなったから…』
だからといって、雑な調整を上げることは自分の首を絞めるだけです。
求められたクオリティできちんと納品することが仕事です!
早く納品して立ち去りたいとしても、印象良くお別れするようが良いです。
本当に受け入れられない調整なら、辞退した方がマシだと思います。
責任感といえば…
最近はお仕事配信やメイキングをアップする方もいます。
それは事前に了承を得たものでしょうか?
ほとんどのゲームは、実装前のイラストの公開はNGです!
それ、割と見られていますよ…!
公開されてしまうと後戻りはできません!ネットからも消えません!
お気をつけください!!
6.まとめ
イラストを描くことは個人作業ですが、ゲームイラストはチーム作業です!
『仕事』であること、『良い商品を作る気持ち』をお忘れなく。
ゲームイラストの仕事について簡単にまとめてみました。
ゲームイラストの仕事をしてみたい方、
ゲームイラストの仕事がなかなか増えない方は是非参考にしてみて下さい。
ゲームイラストの仕事をする方法は、他にも多々あるかもしれません。
ゲーム会社の仕事をするには画力不足であれば、
同人ゲームを作って感覚を味わってみるというのも手です。
自分の画力がどの程度かわからない場合は、
プロイラストレーターの絵と比較して、客観的に見てみてください。
もしゲームのイラストレーターになれた暁には、、、
神絵師が爆発的に増えてライバルがたくさんいる昨今なので、
生き残りをがんばりましょう…!