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木こりのジレンマ〜開発プロセスとコミュニケーション〜

「木こりのジレンマ」という話がある。

木こりが一生懸命木を切っていた。でもノコギリの刃が鈍くなって作業効率が下がっていく。
「ノコギリを研いだら?」と聞かれたが、「そんな暇はない!木を切らなきゃ!」と答えた。

効率を上げるための時間を取らずに、ひたすら作業を続けてしまうジレンマの話。
これ、開発プロセスやコミュニケーションの改善にも当てはまると思う。

「このやり方は非効率だな」と思いつつ、改善せずに目の前のタスクをこなし続けることで、
じわじわとチームの生産性が下がっていく。



開発プロセスの木こりのジレンマ

開発チームでは、こんなことが起こりがち。

  • CI/CDが遅いけど、見直さない

    • 「ビルドに15分かかるけど、直すの面倒だしこのままで」

    • 1回の待ち時間は小さいが、積み重なると大きなロスになる

  • 毎回同じ問題で手戻りが発生する

    • 「この仕様、また認識ズレてた」

    • 仕様の確認プロセスを整備せず、繰り返し手戻りが発生する

  • 技術的負債を放置し続ける

    • 「リファクタリングしたいけど、今はそれどころじゃない」

    • 放置するほど影響範囲が広がり、結果的に改修コストが跳ね上がる

どれも改善すれば開発スピードが上がるのに、
「今はそんな余裕がない」と後回しにされがち。


コミュニケーションの木こりのジレンマ

開発プロセスだけでなく、チーム内のコミュニケーションも改善されずに停滞しがち。

  • 無駄なミーティングが続いている

    • 「この定例、いるのかな?」と思いながらも、なんとなく続いている

    • みんな時間が取られているが、誰も見直そうとしない

  • 質問しづらい環境がそのまま

    • 「この仕様、誰に聞けばいいのか分からない」

    • 問い合わせの手間が増え、同じ質問が何度も繰り返される

  • ドキュメントが整備されない

    • 「この情報、どこにある?」と毎回探し回る

    • でも「ドキュメントを作る時間がない」と改善しない

こうした問題も、時間をかけて整理すれば解決できるのに、
「今はそんな暇がない」と後回しにされてしまう。


改善の時間を確保するには?

開発もコミュニケーションも、改善の時間を確保しないとジレンマから抜け出せない。

1. まずは課題を見える化する

  • 「どこに無駄があるか?」を洗い出す

  • 例えば、「ビルド時間」「手戻り回数」「ミーティングの頻度」などを可視化

2. 小さな改善から始める

  • いきなり大きな改革をしようとせず、「1つのミーティングを試しに減らしてみる」くらいの規模で試す

3. 改善を定期的なタスクにする

  • 「手が空いたらやろう」ではなく、「週1時間は改善の時間」とルール化する

  • 定期的に「改善の余地はないか?」を振り返る


結局、改善しないと開発スピードは落ちる

開発プロセスやコミュニケーションの問題は、
「今は忙しいから」と後回しにしていると、
その影響でどんどん非効率になっていく。

短期的には目の前のタスクを優先するのが正解に見えるけど、
長期的に見ると「ノコギリを研ぐ時間」を意識的に取ることが大事。

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